「AJAZZ i309 Pro」レビュー。約4000円と安価なGPWLクローン形状のワイヤレスマウス
本稿では、AJAZZのゲーミングマウス「AJAZZ i309 Pro」のレビューをお届けします。
DPQPの読者限定で5ドル(約500円)割引、AJAZZ i309 Pro購入時のみ使用可
ファーストインプレッション
AJAZZはいわゆる中華メーカーで、製品による当たり外れが激しい印象です。過去に当サイトで優れた製品として紹介したi303 Proに続き、今回紹介するi309 Proも当たり枠になるのかなと。とにかく造りがチープではあるものの、約4,000円という価格を考えると総合的に見て悪くないワイヤレスマウスです。
シェルの剛性に問題を抱えているほか、ホイールやサイドボタンが揺れるなど、ビルドクオリティは価格相応です。ただクリック感は悪くなく、センサーの性能も十分で、カジュアルなゲームで使用するぶんには一切困らない操作性・性能を備えています。
安価なワイヤレス機器では動作の安定性が懸念されますが、数十時間の動作テストの中で問題は見られず、最大50時間持続する大容量なバッテリーと高速充電が可能なUSB Type-Cポートを備えます。
配信アーカイブ
製品仕様とスペック
カラー | ブラック | 表面処理 | – |
---|---|---|---|
形状 | 左右対称 | サイズ | 63.4 x 125.0 x 39.3mm |
本体重量 | 78.6 | ボタン数 | 6つ |
センサー | PixArt PAW3338 | 解像度 | 200 ~ 16,000DPI |
最大加速度 | 40G | 最大速度 | 400IPS |
レポートレート | 1000Hz | LoD | 実測値1.3mm |
プロセッサ | – | オンボードメモリ | – |
接続方式 | 2.4GHz無線 / USB2.0有線 | ケーブル | パラコード/1.8m |
スイッチ | – | エンコーダー | – |
ライティング | RGB | ソフトウェア | 対応 |
メーカー保証 | – |
パッケージと内容物
紙製のパッケージ。内容物は i309 Pro本体、着脱可能なパラコードケーブル、USBドングル、取扱説明書。
USBドングルはマウス本体に格納することができないので、管理に少し困るかも。
パフォーマンス
ビルドクオリティ
i309 Proは価格相応のビルドクオリティを備えています。とにかくチープです。
本体を激しく振るとカタカタと音が鳴ります。これは主にホイールの揺れが音の発生源であることが多いですが、i309 Proはホイールの他にもサイドボタンが前後にカタカタと動きます。クリック感に大きな影響はありません。
シェルを強く握ると軋みます。また、サイドシェルは若干沈み込み、親指に力を込めて強く押し込むとサイドボタンが押下されますが、普通にグリップしている限りは再現されません。
形状と大きさ
中型サイズの左右対称ゲーミングマウス。寸法は63.4 x 125.0 x 39.3mm。
装飾的な部分があって分かりづらいですが、i309 Proの方がコンマ数mmだけ背が低いことを除き、ほぼ完全なG Pro Wirelessのクローン。つまり、あらゆる持ち方で干渉しづらい安全な形状です。
本体重量
公称値は78.6g(ケーブルを除く)、実測値は76.9g。軽い。
グリップ性能
表面にコーティングは施されておらず、本家G Pro Wirelessと似たような質感。
両サイドは斜め方向に切り込みが入っていますが、これといってグリップ性能の向上は実感できず。装飾的なものだと思っておいてください。
持ち方の相性
代表的な3種類の持ち方 かぶせ持ち・つかみ持ち・つまみ持ち との相性をチェックします。
筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があります。
かぶせ持ち
かぶせ持ちとの相性は悪くありません。細かな窪みなどがない無難な形状なのでフィット感には欠けますが、本体幅・背の高さは適切で、しっかりと握り込むことが可能です。
サイズ感も多くのユーザーにリーチしやすいもので、筆者の手の大きさでは窮屈には感じません。
つかみ持ち
つかみ持ちは相性が良いです。本体後部のギリギリまで膨らんでいるので、手のひらの置き場に困りません。また、両サイドには指の配置を妨げるような凹凸や傾斜はなく、指先を自由に配置できます。
つまみ持ち
つまみ持ちも相性が良いです。サイドボタン下部あたりがほんのわずかに窪んでおり、指先の動きがマウスに伝わりやすいです。
ただし、つまみ持ち用マウスとしては全長125mmはやや長い部類に入ります。手のひらとマウス本体後部が干渉してしまうため、指の関節を大きく使うような操作方法にはあまり適していません。
スイッチ
メインボタン
AJAZZ製マウスでは馴染みのある、5,000万回耐久のHuano製マイクロスイッチ。
手ごたえのある粒の大きなクリック感が特徴で、「カチッ」と大きな音とともに一気に押し込まれます。押し心地は固すぎず柔らかすぎず、余分なストロークもほぼありません。
サイドボタン
小さめで中央が膨らんだサイドボタン。どの持ち方でもアクセスしやすい配置です。やや固めでチープな押し心地。手前側よりも奥側の方が固いですが、押下時にそこまで気になるほどではありません。
ビルドクオリティの項目でも触れた通り、サイドボタンが前後にカタカタと動きます。
ホイール
縦に線が入ったゴムリングは、水平方向へのグリップ感があります。
常に若干の抵抗感があるのと、回したときに粒が大きくて弱めのノッチ感があり、操作感はそこまで悪くありません。1ノッチ正確に回すのも高速なスクロールもそれなりにこなせます。
こちらもビルドクオリティの項目で触れた通り、ホイールが完全に固定されておらずカタつくのと、上側に回したときに若干の異音が鳴ります。
センサー
i309 Proのセンサーは「AJAZZ PAW3338」。これはPixArt社製センサーをAJAZZがカスタマイズしたもの。主なスペックは 最大16,000DPI、最大加速度40G、最大速度400IPS。
初期DPIは 800, 1200, 1600, 2000, 2400, 3200, 8000の7段階で、ホイール下部のスイッチで切り替えられます。400DPIに設定したい場合、ソフトウェアをインストールする必要があります。
センサーはややフロント寄りですがG Pro Wirelessと比較して数ミリの違いで、大差ありません。
例のごとく、Mouse Tester (xCount, xSumの2種)でセンサー性能を検証。DPIは400 / 800 / 1600 / 3200で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「PureTrak Talent」上でテストを実施しました。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。
MouseTester: xCounts
MouseTester: xSum
xCountsで激しい乱れが見られますが、ゲームプレイでの実際のセンサー挙動に問題は見られません。xSumの波形は綺麗で、マウスの動きをセンサーが正確に追跡できていることを示しています。
リフトオフディスタンス (LoD)
マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。使用するマウスパッドによって数値が変動する可能性があります。
リフトオフディスタンスが長すぎると、マウスを大きく振ったあと、元の位置に戻すために持ち上げたときにカーソルが余分に動いてしまい、ゲームプレイ中の精密な操作を妨げてしまいます。個人的には1.5mm以下なら〇、1mm前後であれば◎。
「PureTrak Talent」上で計測した結果、i309 Proのリフトオフディスタンスは 1.4mm でした。リフトオフディスタンスは調整できませんが、十分に短いので問題は無いかと思います。
マウスソール
黒染めのPTFEソールが3枚貼り付けられています。上側は2つに分離されており、下側は横長が1枚。
エッジは綺麗に処理されているように見えますが、角が丸まっているのはわずかコンマ数ミリ。マウスパッドにソールが沈み込むと擦れたような滑走音となり、引っ掛かりが生じます。
接続とバッテリー
i309 Proは、2.4GHzワイヤレスと USB有線のデュアル接続に対応しています。付属のUSBドングルは非常に小さいのですが、マウス本体に収納スペースが無いので管理に困るのが不満点として挙げられます。
デスク上に設置したPCにUSBドングルを接続した状態で約30時間ほど動作テストしましたが、接続の安定性が損なわれることはありませんでした。以前チェックしたi303 Proと同様、正常に動作します。
バッテリー持続時間はLED消灯時 最大50時間で、USB Type-Cケーブルによる高速充電が可能。
付属のUSB Type-Cケーブルはいわゆるパラコードケーブルとなっており、それなりに柔らかくて軽く、操作性は悪くありません。バッテリー充電中の有線接続でも快適に使用できます。
ソフトウェア
i309 Proは専用ソフトウェア「i309Pro Software」で詳細設定が行えます。以下のURLよりダウンロード可能です。
i309Pro Software:http://www.a-jazz.com/en/search.jsp?id=422&q=i309
専用ソフトウェアらしいシンプルで分かりやすいUI。設定項目は ボタンへのキー割り当て、ポーリングレート切り替え、200~16,000DPIの解像度調整、マクロの記録/保存、LEDライティング設定。
一つ注意点として、i309 Proの出荷時はマウス加速がONになっています。これは「Improve pointer precision」のチェックを外すことで解消されます。最初の1回のみで構いません。
結論とターゲット
「AJAZZ i309 Pro」について詳しく見てきました。約4,000円と驚くほど低価格なG Pro Wirelessクローン。ワイヤレス接続時の動作の安定性は良好で、LED消灯時は最大50時間のバッテリー持続時間を誇ります。USB Type-Cを採用しているのもポイント。
ただし、シェルを強く握ると軋んだりホイールやサイドボタンが揺れたりと、ビルドクオリティは価格相応です。とにかくチープ。またマウス表面にコーティングは施されていないこと、またソールはエッジの処理が甘いのでマウスパッドとの組み合わせ次第では引っ掛かりが生じます。
これらは通常使用する上で致命的な欠点とはならず、価格とのトレードオフとして許容できる範囲であると言えます。製品の耐久性やメーカー保証を度外視して、万能な形状のワイヤレスマウスをとにかく低価格で入手したいと考えている方におすすめ。俗に言う当たり枠の中華マウスかなと思います。
総合評価3.5 out of 5.0 stars
G Pro Wirelessのクローン形状
クリック感に難はない
接続の安定性に問題無し
USB Type-Cポート採用
柔らかくて軽いケーブル
驚くほど低価格
ビルドクオリティは価格相応
指が滑りやすい表面
エッジの処理が甘いソール
USBドングルが本体に格納できない
DPQPの読者限定で5ドル(約500円)割引、AJAZZ i309 Pro購入時のみ使用可
以上、AJAZZのゲーミングマウス「AJAZZ i309 Pro」のレビューでした。