「HyperX Cloud Stinger S」レビュー。ゲームに必要な機能にフォーカスした7,000円台のエントリー向けヘッドセット
本稿では、HyperX(ハイパーエックス)のゲーミングヘッドセット「HyperX Cloud Stinger S」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: HyperX Japan
製品仕様と外観
HyperXのラインナップの中でも、比較的安価なモデルが揃ったCloud Stingerシリーズ。今回見ていくのは、7,000円台でUSBサウンドカード付属・バーチャル7.1chサラウンド対応の有線ゲーミングヘッドセット「HyperX Cloud Stinger S」です。
カタログスペックを見る限り、ゲームで必要とされる最低限の機能が揃ったものとなっているため、ゲームでのパフォーマンス向上が期待できるゲーミングヘッドセットをなるべく安く手に入れたい方はチェック推奨です。早速見ていきましょう。
内容物は、Cloud Stinger Sヘッドセット本体、USBサウンドカード、取扱説明書。
安価なヘッドセットによく見られる、プラスチックで構成された本体。ややチープさは感じますが、本体重量は275g(ケーブルを除く)と軽量であることは利点と言えます。
ネオジウム磁石ダイナミック50mm径ドライバー。主なスペックは 周波数応答18~23,000Hz、インピーダンス32Ω、音圧レベル95.5dBSPL/mW(1kHz時)、T.H.D. 2%未満。
クッション部にはPUレザーに覆われたメモリーフォームクッションが採用されています。また、イヤーカップは耳全体を覆うほどの内径があります。
12段階の細かな調整が行えるスライダー。耐久性に優れているスチールが採用されています。
右イヤーカップの下部には、音量を7段階で調整できるスライダーが搭載されています。抵抗やノッチ感はほとんどなく、軽い力で操作することができます。
跳ね上げるとミュート状態になるブームマイク。主なスペックは エレクトレットコンデンサー方式、単一指向性、周波数応答50~18,000Hz、感度-40dB (1V/Pa 1kHz時)。
Cloud Stinger Sは、一般的な3.5mm接続に加えて、付属のサウンドカードによるUSB接続にも対応しています。またUSB接続時には、ソフトウェア「HyperX NGenuity」よりバーチャル7.1chサラウンドサウンドを利用可能です。
ちなみに、USBサウンドカードのケーブル長は15cmで、ヘッドセット本体から伸びているケーブルは長さが2.5mあるため、ケーブルの短さに悩まされる心配は無さそうです。
パフォーマンス
サウンド
結論から言うと、ゲーム向けにうまく調整されたサウンドです。低音域と高音域が強調され、中音域は若干ぼやけており、音質はそこまで優れていません。しかし、ゲームプレイでは重要となる音、特に高音域が前面に出てくるため、まず聞き逃すことはないといった印象です。
プラスチックのハウジングを備えていたりと、構造的にもそこまで音質に期待できない低価格帯のゲーミングヘッドセットでは、むしろこのCloud Stinger Sのように重要性の低い音域を削ぐような調整の方がゲームプレイにポジティブな影響を与えるのかなとも思います。
いくつかのタイトルで検証しましたが、『Apex Legends』では素早い視点移動によって音の鳴る方向が切り替わっても狂うことなく、必要な音にフォーカスすることが可能でした。
付属のUSBサウンドカードで接続した場合、ソフトウェア「HyperX NGenuity」よりバーチャル7.1chサラウンドを利用できます。リバーブが掛からず自然な音に聴こえますが、ステレオ再生でのゲームプレイに慣れた筆者の耳では定位感については評価しづらいです。
FPSを長期間プレイしている場合だと、音の鳴った方向や距離感をステレオ再生で容易に把握できるという方も多いでしょう。しかし、最近になってプレイし始めたカジュアルプレイヤーにとってはこのバーチャルサラウンドは手助けとなり、とても有利に働くのではないかと思います。
マイク
ストリーミングに適した品質とは言えませんが、この価格帯のゲーミングヘッドセットとしては優れたマイク性能を有しています。比較的クリアな音質で、ボイスチャットでコミュニケーションを取るうえで困ることはありません。
マイクを口元に近付けすぎると息の音が入ってしまうため、適切な位置に調整する必要があります。小さめのポップガードを用意すれば改善されるでしょう。
装着感
イヤーカップは耳全体を覆うほどの内径があり、クッションも適切な厚さが確保されていますが、上位機種と比べるとやや不足感があります。クッションのフチが絞られているため、肌に触れる面積がやや狭くなり、装着時に”耳の周りに円状の何かが触れている”という感覚があります。
とはいえ装着感は悪くなく、長時間装着していても問題ありません。ヘッドセット本体が275gと軽量ですし、側圧はちょうど良く、ヘッドレストは底に着くことなく頭頂部へのストレスを軽減してくれます。
コントロール
Cloud Stinger Sはヘッドセット本体から音量調整とマイクミュートが行えます。付属のサウンドカードからバーチャルサラウンドのON/OFFが行えない点が少し物足りないといった印象です。
音量は右イヤーカップの下部にあるスライダーから7段階で調整できます。これはWindowsシステム側の音量が変更される訳ではなく、ヘッドセット側の音量のみが上下されます。
スライダーに抵抗感やノッチ感はほとんどありません。調整幅はそれなりに広いので、あらかじめ音量を決めておくのには良いですが、プレイ中に細かな調整を瞬時に行うのは難しいです。
ブームマイクは跳ね上げるとミュート状態になります。ヘッドセット本体に対してだいたい45度あたりで「カチッ」と音が鳴り、マイクのオンオフが切り替わります。
結論とターゲット
「HyperX Cloud Stinger S」について詳しく見てきました。この製品と同じ”バーチャルサラウンド対応”で”7,000円台”という条件に絞ると、メーカー製では選択肢が限られてきます。
Cloud Stinger Sは抑えるところを抑え、ゲームに必要な部分にフォーカスした製品という印象で、価格以上のパフォーマンスを発揮します。バーチャルサラウンド対応のゲーミングヘッドセットを低価格で探している場合、特に”安さ”にこだわるという方にはとても良い選択肢になります。
もちろん、これより高価格な製品を選ぶことで得られるメリットも多いですが、ゲーム入門に必要な要素が詰まったゲーミングヘッドセットがこの価格帯で入手できるのは貴重です。始めはあまりデバイスに投資したくないという初心者の方は、まずこの製品を試してみて、後々アップグレードしていくという形が理想かなと思います。
以上、HyperX(ハイパーエックス)のゲーミングヘッドセット「HyperX Cloud Stinger S」のレビューでした。