「Logicool G PRO X Wireless Headset」レビュー。豊富な機能を備える、高音質な無線ゲーミングヘッドセット
本稿では、Logicool G(ロジクール)のゲーミングヘッドセット「Logicool G PRO X Wireless Headset」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: Logicool
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製品仕様と外観
Logicoolがプロゲーマーと共同で開発を進めるPROシリーズから、無線ゲーミングヘッドセット「Logicool G PRO X Wireless Gaming Headset」が登場しました。以前に発売された有線モデルとほとんど同仕様のまま無線化したものとなります。
ワイヤレス化してもソフトウェア「Logicool G HUB」による制御は可能で、マイクにリアルタイムエフェクトを掛けて音質を改善する「Blue VO!CE」も引き続き利用できるなど、かなり期待できる仕様。早速見ていきます。
内容物は G PRO X Wirelessヘッドセット本体、USBレシーバー、着脱式マイク、充電用ケーブル (USB Type-A to USB Type-C、1.8m)、交換用イヤークッション (標準で備わっているものも含めてPUレザー製、布製の2種類)、持ち運び用ケース。
ヘッドセット本体から見ていきます。プラスチック部分はマットな質感、スチール製のヘッドバンド、ハウジング部分には綺麗に処理された金属が使用されていたりと、高級感のあるデザインとなっています。
本体重量は公称値370gで、決して軽量とは言えない数値です。
ヘッドセット自体はコンパクトに見えますが、イヤーカップは大型で、耳全体をすっぽりと覆います。
ドライバーは有線モデルのG PRO Xにも搭載されていた 第2世代PRO-G 50mm。主なスペックは、周波数特性20~20,000Hz、インピーダンス32Ω、感度91.7dB SPL @ 1 mW & 1cm。
イヤークッションは肌触りの良いPUレザー製で、十分な厚さが確保されています。また、交換用として布製イヤークッションが付属しており、好みに応じて選択できます。
ヘッドバンドはPUレザーで覆われており、こちらもクッション性が十分に感じられる厚さとなっています。
マイクは着脱可能で、ポップガードが標準で搭載されています。指向性はカーディオイド(単一指向性)、サイズは6mm、周波数特性は100~10,000Hz。
有線モデルのG PRO Xから引き続き、Blue Microphonesと共同で開発した「Blue VO!CE」テクノロジーを搭載。マイクで入力した音声にリアルタイムでフィルターを掛け、ノイズ低減や声色のチューニングなどを行えます。
左イヤーカップの側面にはコントローラーが搭載されており、電源ON/OFF、ボリューム調整、マイクON/OFFが手元で行えます。
セットアップは付属のUSBレシーバーをPC本体に接続するだけで完了。バッテリー駆動時間は最大20時間で、ワイヤレス通信可能範囲は最長15m。
以前から発売されている同社製ワイヤレスデバイス (例えばG Pro WirelessやG913など) のUSBレシーバーよりも大きいので注意すること。
その他、Logicool製デバイスの統合ソフトウェア「Logicool G HUB」に対応しており、イコライジング、バーチャルサラウンド設定、マイク設定などの詳細設定が可能です。
スペック&ギャラリー
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Logicool G PRO X Wireless Headset 製品仕様 対応機種 PC 接続 LIGHTSPEEDワイヤレス (USB) ドライバー 第2世代PRO-G ネオジム磁石50mm径 周波数帯域 20~20,000Hz インピーダンス 32Ω 感度 91.7dB SPL @ 1 mW & 1cm マイク指向性 単一指向性 〃駆動方式 エレクトレットコンデンサー 〃サイズ 6mm 〃周波数帯域 100~10,000Hz バッテリー駆動時間 最長20時間 通信可能範囲 最長15m 価格 22,700円 (本稿執筆時点) - 製品イメージをチェックする (開閉できます)
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パフォーマンス
サウンド
G PRO X Wirelessのサウンドについて、ステレオ・イコライジング・バーチャルサラウンドの3項に分けて解説します。
ステレオ
まずはG PRO X Wirelessのステレオ再生での音質傾向ですが、フラットかつ低音は弱い傾向にあります。また、音域ごとの距離感というか前後がハッキリとしている印象。中音域が少し前に出てくるので、リスニングではボーカルが聞き取りやすいです。
また、音量を確保しなければ重低音が拾えません。小さめの音量でトラップミュージックを聴くと、キックは拾えてもベースの最も低い音が鳴らない、もしくは非常に弱々しい音が鳴ります。ゲームの効果音を聞き取るには影響を及ぼしません。
どの音域も量感がそこまで多くなく、どの音域も特に強調されていないため、聴き疲れしづらいサウンドであると言えます。一方で、ステレオ再生・イコライジング無しの状態では、方向や距離感を掴むために集中して音を聴く必要があるため、イコライジングやバーチャルサラウンドを適用した音に慣れている場合は活用するのが賢明かと思います。
また細かな差ではありますが、有線版G PRO Xと比べてやや低音域が弱く、高音域が強くなっているというか、煌びやかになっているように感じます。無線ゲーミングヘッドセット全体で見ると音質は非常に良いです。
イコライジング
10の周波数を調整可能なイコライザー設定。あらかじめ用意された7種のプリセットに加え、自身の好みに合わせて調整したプリセットを保存することも可能です。
もともとフラットな音質傾向にあって主張が少ないサウンドなため、イメージ通りに再現されます。タイトルにもよりますが、FPSで足音を強調したい場合は64, 125, 250あたりを引き上げると良し。
個人的には、32~250の低音を少し足してあげるとリスニング・ゲームの両方で聴き取りやすい音になるかなといった印象。このあたりは好み次第なので参考程度に。
バーチャルサラウンド
G PRO X Wirelessは、7.1chバーチャルサラウンドをしのぐと謳う「DTS Headphone:X 2.0」に対応しています。有線版のG PRO Xにも同機能は搭載されていましたが、筆者がステレオ肯定派ということもあってレビューの際に特に深掘りしなかったため、本稿では重点的に触れていこうかなと。
ソフトウェア上の [音響] タブを開いた状態で [サラウンドサウンドを有効にする] にチェックを入れると、バーチャルサラウンドに関する各種設定が新たに表示されます。
エンターテイメント・ゲーミング・スポーツと大まかに3種類に分かれており、それぞれの方向の音量とを0~11の12段階で強弱することが可能。これは1つ上下するだけでも変化を感じ取れるもので、0にすると音が鳴りません。
その他、低音レンダリングも0~11の12段階で調整できます。前述の通り、ステレオ再生時は低音が弱く、全体的に主張の少ない音という印象を受けましたが、バーチャルサラウンドを有効にすると低音レンダリングのおかげか、低音から高音までほどよく主張の効いた音になります。
実際のゲームプレイでは、違和感のある残響音(リバーブ)などは掛からず、どの方向から音が鳴っているかが直感的に掴みやすい一方で、やはりステレオ再生と比べて大まかに区切られているように聞こえるというか、ピンポイントで位置を把握するためには慣れが必要かなと思います。
ただ、後方で鳴った音に関してはステレオよりも素早く方向を把握しやすいです。これまで試したバーチャルサラウンドの中でも正確にシミュレートされており、『Apex Legends』など視点移動が多くなりがちなバトルロワイヤルでは有利に働きます。
装着感
フィット感・密閉感に優れています。側圧がやや強かった有線版G PRO Xと比べると、ちょうどいい具合に弱まっているというか、ヘッドバンド自体が柔らかくなったように感じます。
イヤークッションは耳全体を覆う大型サイズで、ヘッドレストも十分な厚みがあり、底打ち感はありません。ただし本体が少し重たいこともあり、長時間の装着ではストレスを感じる可能性があります。
マイク
G PRO X Wirelessには「Blue VO!CE」という機能が搭載されており、マイク音声に対してイコライザー調整やエフェクトが掛けられます。[マイク] タブから [Blue VO!CEを有効化] にチェックを入れると、設定項目がソフトウェア上に表示されます。
あらかじめ何種類かのプリセットが用意されているほか、G2 EsportsやTeam Solo Mid所属プロゲーマーの設定も選択できます。もちろん自分で新たに設定を作成したり、既存のプリセットを元に調整することも可能です。
設定画面はこのようになっています。3バンドのイコライジング、ノイズ低減やコンプレッサーなど、とにかく設定項目が多いです。この辺りは、実際に弄ってみて変化を感じ取るのが分かりやすいかなと。
有線版G PRO Xではこれらを上手く調整することで”コンデンサーに近い質感”とも言える音を出せていたのが、G PRO X Wirelessはどう弄ってもヘッドセット搭載のマイクという域を出ないように感じました。
また、何も設定していない状態では輪郭がぼやけた細い声となるため、自分の声に合わせた調整は必須になるかなと思います。総合的に見て、マイクの品質はそこまで良くないと言えます。
コントロール
左イヤーカップ側面には 電源ボタン、音量調整バー、マイクON/OFFボタンがまとまっています。ヘッドセットを装着すると音量調整バーとマイクON/OFFボタンは奥側に位置するため、左手の親指で操作することになります。
音量調整バーにはノッチ感が無いので軽い力で回りますが、初動だけ少し抵抗感があります。ゲームプレイ中などあまり手が離せない中、瞬時に細かく調整を行うのは難しいように感じます。
マイクON/OFFボタンは「カチッ」とクリック感のあるタイプで、有効化では引っ込み、無効化にすると飛び出した状態になります。指で触れるだけでマイクの状態が直感的に分かるので便利です。
最低限のコントローラーがヘッドセット本体に内蔵されているため、不便さは特に感じません。むしろ、ケーブルが体に触れたり引っ張られることが無くなり、快適性が増したように思います。ただし、本体からプリセットを切り替えるのは不可能なので注意。
接続
G PRO X WirelessはPCにのみ対応しています。同価格帯ではBluetooth接続などのオプションが搭載されている機種が多いため、それらに比べると用途は限定的になってしまう印象。
USBレシーバーをPC本体に接続するだけでセットアップが完了しますが、前述のような詳細な設定にはソフトウェア「Logicool G HUB」を別途ダウンロードする必要があります。
ワイヤレス通信可能範囲は最長15mです。部屋をまたいだり1階から2階に上がっても通信は途切れず、広さにもよりますがヘッドセットを装着したまま家の中を動き回ることも可能です。
バッテリー駆動時間は最大20時間。ハードに使用しても2日間は持ちますし、十分な長さです。ちなみに、本体の電源をオンにした状態で放置していても、規定のデバイスに選択していなければスリープモードに移行します。
結論とターゲット
「Logicool G Pro X Wireless Headset」について詳しく見てきました。音質に関しては素直に褒められるもの。イコライジングや、まともなバーチャルサラウンドも利用できるため、よほど拘って機材を揃えている方でない限りは満足のいくものであると思います。
これらの設定には、リスニングや映画鑑賞などエンターテイメント用のプリセットが始めから盛り込まれており、ゲームだけでなく幅広い用途で活用できます。対応しているのはUSB接続のみなので、プラットフォームはPCに限られます。
本体重量こそ少し気になるものの装着感は良く、本体のビルドクオリティも良し、操作性にも難はありません。ただし、マイクの音質に関しては、コンデンサーのような質感とも感じれた有線版G PRO Xよりも劣り、ヘッドセット搭載マイクの域を出ない印象です。VCや通話には問題なく使用できますが、ストリーミング用途などで品質にこだわる場合はマイクを別途用意したいところ。
結論として、音質と装着感を重視した無線ゲーミングヘッドセットを探している方に最適です。PCのオーディオ機器をこれ一台で完結できるうえに、設定項目も豊富なため、とても好条件なゲーミングキヘッドセットであると言えます。
以上、Logicool G(ロジクール)のゲーミングヘッドセット「Logicool G PRO X Wireless Headset」のレビューでした。