「Logicool G Pro-X ヘッドセット」レビュー。同価格帯のゲーミングヘッドセットとは一線を画すマイク性能

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「Logicool G Pro-X ヘッドセット」レビュー。同価格帯のゲーミングヘッドセットとは一線を画すマイク性能

本稿では、Logicool(ロジクール)のゲーミングヘッドセット「Logicool G Pro-X」のレビューをお届けします。 [no_toc]

レビューサンプル提供: Logicool

Logicool Pro X Gaming Headset
タイプ:密閉型ドライバー:第2世代Pro-Gドライバー周波数帯域:20Hz~22,000Hzインピーダンス:39Ωソフトウェア:対応サラウンド:7.1ch対応接続:3.5mmシングル4極,デュアル3極マイク:単一指向性重量:約320g(ケーブル除く)メーカー想定価格:17,500円(税抜)

製品仕様と外見

「Logicool G Pro-X」は、従来のPROゲーミングヘッドセットの新型モデルです。最大の特徴は、Logicoolが買収したBlue Microphonesと共同で開発された Blue VO!CE(ブルーボイス)機能が搭載されている点。マイク音声にリアルタイムでエフェクトを掛けることで、クリアな声を届けられるだけでなく、普段とは違った声へのカスタマイズも可能となります。

より良いヘッドセットを求めるゲーマーだけでなく、配信機材に迷うストリーマーにとっても気になる製品仕様となっています。まずは外見からチェック。

クッション部はPUレザーで覆われ、フォークにはアルミニウム、エンクロージャーには金属素材を採用。それなりの高級感があり、各部の耐久性に関してもかなり安心できそうです。

ドライバーは第2世代のPro-G 50mmへ刷新されており、音質面の強化も期待できます。周波数特性は20Hz~22,000Hzで、インピーダンスは35Ω。

イヤークッションは標準で備わったPUレザー製のほか、布製のものが同梱されています。音抜けやフィット感、肌触りなどの好みに応じて選択できます。どちらもクッションの厚みは十分で、耳をスッポリと覆うほどの内径が確保されています。

本体重量は320g(ケーブル除く)と一般的な重たさ。ヘッドレストは十分に厚く、天辺から側面までクッションが敷き詰められています。これにより、頭頂部に重たさを感じづらく、長時間のゲームプレイに適した装着感となっています。側圧はそれなりに強めで、密閉感はかなり高いです。

長さ調節スライダーは両面に目盛りが打ってあり、一度決めた場所でしっかりとロックされます。

付属のUSBサウンドカードを通して接続することで「Logitech G HUB」ソフトウェアを利用でき、バーチャル7.1chサラウンドやイコライザー調整、および前述のBlue VO!CE機能などを利用することが可能となります。よってG Pro-Xを最大限に活用したい場合、別のUSB接続アンプと併用できないことは留意しておいてください。

ケーブルはPC向けとスマートフォン向けの2種類が付属しています。PCケーブルにはボリューム調整ノブとマイクON/OFFスイッチが、モバイル端末ケーブルには1ボタンのコントローラーが搭載されています。ヘッドフォンとマイクジャックを分割するデュアル3極への変換ケーブルも同梱。

マイクは単一指向性(カーディオイド)のエレクトレットコンデンサー方式で、周波数特性は100Hz~10,000Hz。サイズは6mmで、先端にはポップガードが標準で備わっています。前述したBlue VO!CE機能によるマイク品質およびエフェクトの効果については後述します。

パフォーマンス

Logitech G HUBによる設定

G Pro-Xは、Logicool Gの統合ソフトウェア「Logitech G HUB」に対応しており、イコライザー調整やDTS Headphone:X 2.0ベースのバーチャル7.1chサラウンド、マイク音声にエフェクト効果を適用するBlue VO!CE を利用可能です。

ソフトウェアを通して、3つに分かれた設定項目「マイク」「イコライザー」「音響」を直感的に操作できます。以下からそれぞれの設定方法を詳しく解説しながら、G Pro-Xのパフォーマンス検証を行っていきます。

音質、イコライザー調整

G Pro-Xはイコライザー調整によって各音域の強弱が行え、手軽にゲームタイトルに適した音響にカスタマイズできることが最大のメリットです。G Pro-Xの音の傾向として、繊細と言うよりはまとまった音が鳴る傾向にあります。ゲーム内の細かな音は細かな音としてそのまま再現されるので、イコライザー調整によって強調してあげる必要があります。

デフォルト状態(イコライザー値をすべて0に設定)では、中音域>低音域>高音域の順番に強く、高音域がやや埋もれています。しかしイヤークッションを布製に変えると一転、音抜けによって低音域が弱まり、埋もれていた高音域が若干ではあるものの復活します(このあたりの細かな特徴は、強いこだわりのある方でない限り、イコライザー調整でどうにでもできる部分ですが)。

イコライザー調整で重要なポイントとなるのは、聞き取りたい効果音が含まれている音域を上げ、逆に不要な音域は下げてあげること。FPSの足音や銃声を強調させたい場合は80や6600を、その他の環境音などはゲームによって異なるので割愛します。新規にイコライザープリセットを作成することも可能で、設定をゲームタイトルごとに切り替えて使用するのが望ましいでしょう。

音の定位、バーチャル7.1chサラウンド

バーチャル7.1chサラウンドを有効化すると、音に薄いリバーブが掛かって音場が広がったように錯覚しますが、その残響感によって定位がぼやけてしまうということは否めません。通常の2.1chで使用しているとピンポイントに定位を掴めたはずが、7.1chに切り替えた途端に「大体このあたり」と曖昧なものになってしまいます。

よって、『Counter-Strike: Global Offensive』のような定点で銃声が鳴り続ける傾向にあるゲームでは、音の鳴った位置が瞬時に判断しづらく、定位の掴みやすさを助長するどころか邪魔してしまうという結果になります。しかし一方で、『Apex Legends』の戦闘時や『PUBG』で車両が走行している時など、プレイヤーやオブジェクトが音を立てながら長距離を移動するゲームの場合、音の位置関係や動きをある程度把握しやすいと感じます。

個人的には、バーチャル7.1chは有効化しない方が定位感を掴みやすいと感じます。FPSをはじめとした効果音で多くの情報を得るゲームでは、イコライザー調整で足音や銃声を強調しつつ、2.1chで運用するのが最適解なのではないかと思います。これはG Pro-Xに限った話ではなく、バーチャル7.1ch全般に言えることでもあります。

その他のゲームや映画鑑賞で”没入感を得たい”という場合はぜひ活用してほしい。ちなみにバーチャル7.1chサラウンド有効時は、それぞれのスピーカーの音量を0~11の12段階で強弱できるので、自分が聞き取りやすいようチューニングするのも面白いかもしれません。

マイク品質、Blue VO!CE設定

有名マイクメーカー Blue Microphonesと共同で開発された「Blue VO!CE」機能は、ざっくりと言ってしまえば、ヘッドセットで録音した音声にリアルタイムでエフェクトを掛け、声を聞き取りやすくする機能。つまり、その大元となるマイク品質がイマイチだと、この機能は最大限に活かされないということになります。

という訳で少し心配だったのですが、G Pro-Xのマイク品質はかなり良好です。大半のゲーミングヘッドセットは角を取ったような丸い声となってしまう(声質にもよる)のですが、G Pro-Xでは声の輪郭がハッキリとしており、細部まで聞き取れるという印象です。

Blue VO!CEは、声に対してコンプレッサーやノイズリダクションなどのエフェクトを掛けたり、イコライザーによって各音域を強弱することで、より聞き取りやすい声にカスタマイズしていくという機能です。「マイクテスト」のRecボタンから自分の声を録音しておけば、設定によって声がどのように変化したかをリアルタイムで確認できます。

声の高低に応じた設定やプロゲーマーの設定など、あらかじめ豊富なプリセットが用意されており、ここから自分に合ったものを選択するだけでもかなりの効果が望めます。プリセットの各項目をいじって新規に保存することもできるので、色々と試しているうちにピッタリな設定が見つかるかと思います。

筆者の声質に最も適していたのは「Broadcaster 2」で、エフェクトを微調整する形で設定を済ませました。一度ソフトウェア上で録音した声は自動でループ再生されるので、イコライザーやエフェクトによる変化を一瞬で聞き取れ、スムーズに設定を進められます。

繰り返しとはなりますが、ゲーミングヘッドセットとしては非常に声が聞き取りやすく、もはやBlue Microphones Yetiと遜色ないです。USB接続コンデンサーよりも感度は低く、周囲の音を拾いづらいので、環境によってはG Pro-Xの方が優れているとも言えます。

装着感

イヤーカップ同士がくっついていることからも分かる通り、側圧はそれなりに強め。頭全体にピッタリと密着するタイプです。構造上かなり密閉感が高く、耳全体をすっぽりと覆い、周囲の音をしっかりと遮ってくれます。

レビュー執筆にあたって連続装着テストを行った結果、4~5時間辺りまでは気になりませんでしたが、1日中の連続着用となるとやや窮屈に感じました。ティッシュ箱などに長時間挟んでおき、側圧を弱めてみるのも良いかもしれません。

結論とターゲット

G Pro-Xは、イコライザー調整を使いこなせばゲームに最適なオーディオ環境を目指すことが可能ですし、音質に関しては可もなく不可もなく。あえて言うならば、DTS Headphone:X 2.0によるバーチャル7.1chサラウンドへの過度な期待は禁物、といったところでしょうか。

Logicoolが発売する人気のゲーミングヘッドセット、例えばA40 + MixAmp Proセットは実勢価格3万円前後です。一方でG Pro-Xは、USBサウンドカードを同梱しながら1万7000円前後と、ブランド内では比較的やさしい価格設定。

最も評価したいのは、同価格帯のゲーミングヘッドセットとは一線を画したマイク性能。これまでボイスチャット環境に悩まされていたゲーマーや、普段使いもできる配信機材を探していたストリーマーにとっては有力候補に挙がるのではないでしょうか。

Logicool Pro X Gaming Headset
タイプ:密閉型ドライバー:第2世代Pro-Gドライバー周波数帯域:20Hz~22,000Hzインピーダンス:39Ωソフトウェア:対応サラウンド:7.1ch対応接続:3.5mmシングル4極,デュアル3極マイク:単一指向性重量:約320g(ケーブル除く)メーカー想定価格:17,500円(税抜)

以上、Logicool(ロジクール)のゲーミングヘッドセット「Logicool G Pro-X」のレビューでした。

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この記事を書いた人

ミオニ
eスポーツ向け ゲーミング周辺機器のレビュアー
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