「FILCO Majestouch Stingray (MX Low Profile Speed)」レビュー。”反応重視”かつ自然に入力が行える不思議なメカニカルキーボード
本稿では、FILCO(フィルコ)のメカニカルキーボード「FILCO Majestouch Stingray (MX Low Profile Speed)」のレビューをお届けします。
※本稿執筆時点では10/22に日本語配列のみ発売することが決定しており、US配列の発売日は未定。
※レビュー機はサンプル品なので、仕様が変更される場合があります。
製品仕様と外観
以前に掲載した「FILCO Majestouch Stingray レビュー」を見てFILCOの中の人から連絡をいただき、未発売のサンプル品をお借りする運びになったので、本稿にて詳しくチェックしていきます。
キーボード本来の入力性能に特化したMajestouchシリーズ、その中でもMajestouch Stingrayは一般的なキーボードと比べて薄型設計で、Cherry MXロープロファイル軸を搭載しているのが特徴。
これまではロープロファイル赤軸 (Cherry MX Low Profile Red) 搭載モデルの1種のみでしたが、今回見ていくのはアクチュエーションポイントがさらに短縮された”ロープロファイル銀軸 (Cherry MX Low Profile Speed)” 搭載モデル。
なお、今回チェックしていくのはあくまでサンプル品で、仕様はこの限りではないとのこと。また仕様に関しては不確定な部分もあるため、普段のレビューよりもソフトタッチで進めていきます。では早速見ていきます。
従来のMajestouch Stingrayと同じ、無駄な装飾のないシンプルなデザイン。
レビュー機は フルキー・英語配列(US ASCII) モデル。フルキーモデルは右上に、テンキーレスモデルは手前の側面にブランドロゴが配置されています。
キースイッチはCherry MX Low Profile Speed Switch (ロープロファイル銀軸) が搭載されています。主なスペックは 押下圧45g、キーストローク3.2mm、アクチュエーションポイント1.0mm。
一般的なキースイッチと比べて背の高さが35%短縮されているほか、以前より発売されているMajestouch Stingrayに搭載されているキースイッチ ロープロファイル赤軸 と比べるとアクチュエーションポイントが0.2mm短縮されているのが特徴です。
裏面には角度調整スタンド、滑り止めラバー。
ケーブルは取り外し不可能ですが、左・真ん中・右の3方向から引き出せる構造。
スペック&ギャラリー
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※本稿執筆時点では10/22に日本語配列のみ発売することが決定しており、US配列の発売日は未定。
※レビュー機はサンプル品なので、仕様が変更される場合があります。
パフォーマンス
Majestouch Stingray (MX Low Profile Speed)の操作感、打鍵音について詳しく解説します。
操作感
ロープロファイル軸を搭載するキーボードといえば、メンブレンを連想させるようなフニャッとした打鍵感のものもありますが、Majestouch Stingrayはメカニカルらしいキータッチです。
以前、ロープロファイル赤軸搭載モデルをレビューした際に第一に挙げた ”跳ね返りの強さ” もしっかりと感じられ、フィーリングは良好。また、銀軸はアクチュエーションポイントが短いとはいえ、押下荷重・キーストロークは赤軸と同じで、打鍵感に違いは感じられません。
ShiftやBackspaceキー、Spaceバーといった横長キーの打鍵感も損なわれておらず、心地いいキータッチです。やはりメカニカルキーボードとしてクオリティが高い印象を受けます。
ゲームでのパフォーマンスについても掘り下げていきます。ロープロファイル銀軸 (Cherry MX Low Profile Silver) は、非常に短いアクチュエーションポイントを特徴とするキースイッチ。主なスペックは、押下荷重45g、アクチュエーションポイント1.0mm、キーストローク3.2mm。
押下荷重 | 作動点 | キーストローク | 備考 | |
Cherry MX Red | 45g | 2.0mm | 4.0mm | |
〃 Speed Silver | 45g | 1.2mm | 3.2mm | |
〃 Low Profile Red | 45g | 1.2mm | 3.2mm | 高さが35%短縮 |
〃 Low Profile Speed | 45g | 1.0mm | 3.2mm | 高さが35%短縮 |
わずか1.0mm押し込んだ時点で反応するキースイッチですが、意外にもすぐ慣れます。ロープロファイル軸はキースイッチ自体の高さが35%短縮されているぶん、数値上はアクチュエーションポイントが浅いにもかかわらず、実際にキーを入力していて浅すぎるとは感じづらいです。
一方で、通常のCherry MX Red(赤軸)はアクチュエーションポイントが2.0mm、Cherry MX Speed Silver(銀軸)が1.2mmと、0.8mmもの差があります。作動点が浅すぎて慣れるのにそれなりの時間を要した方も多いと思いますが、ロープロファイル銀軸ではそういった心配は不要です。
また、ロープロファイル銀軸は、ロープロファイル赤軸と比べてアクチュエーションポイントが0.2mm短縮されています。細かな数値ではありますが、実際に使用していてキーのレスポンスが体感でそれなりに変わるように思います。
リセットポイントへ到達する速さでいえば、ロープロファイル銀軸はキーストロークと作動点の差異が0.2mm長くなっています。『VALORANT』や『Counter-Strike: Global Offensive』のようなストッピングが重要となるゲームでは、理論上はロープロファイル赤軸の方が適しています。
しかし、キー反応速度が速いうえに、キー自体の背が低くて軽いタッチで押し込めるため、FPSやMOBAに適したバランスの良いキースイッチだと言えます。キースイッチのグラつきはなく、キーキャップの揺れは僅かです。
ただ懸念点として、一般的なキーボードと比べて薄いために、手首や指のポジショニングに変化が生じることが挙げられます。特にCtrlやSpace、Z、X、C、Vあたりの手前側はかなり低めに位置しているので、人によっては慣れが必要です。
打鍵音
「スコスコ」と擦れるような打鍵音は、ロープロファイル赤軸を搭載したMajestouch Stingrayとほぼ同等。Enterキー、BackSpaceキーなども通常キーとほぼ同じ打鍵音。Spaceバーのみ多少のバネ鳴りがありますが、決して不快な音ではなく僅かなので許容範囲かなと。
とにかく安定感があり、キーを力強く底打ちしても音が響きません。
ShiftやBackSpace、Spaceバーなどの横長キーに備わったスタビライザー。ゲーミングキーボードでよく見られるタイプではないので注意。
結論とターゲット
「FILCO Majestouch Stingray (MX Low Profile Speed)」について詳しく見てきました。キータッチや打鍵音などはほぼ変わりなく、メカニカルキーボードとしての完成度は高く、1万円前半という価格帯では比較的安心して選べる製品だと思います。
ロープロファイル赤軸を搭載したモデルと比べ、キー反応を重視する方に適しています。また、背の低いロープロファイル銀軸ならば作動点が浅すぎるとは感じづらいため、通常の銀軸だと反応が速すぎると感じる方も違和感なく馴染めるかなと思います。
ただし、やはり一般的なキーボードよりも薄いことが影響して、指の立て方や手首の角度といったポジショニングに変化が生じるため、人によっては慣れが必要だと言えます。
ゲーミングキーボードのように特別な機能が搭載されていたり光ったりするわけではないですが、普段使いにも違和感なく使えて、ゲームにも適しているメカニカルキーボードが欲しい方にお勧めです。
※本稿執筆時点では10/22に日本語配列のみ発売することが決定しており、US配列の発売日は未定。
※レビュー機はサンプル品なので、仕様が変更される場合があります。
以上、FILCO(フィルコ)のメカニカルキーボード「FILCO Majestouch Stingray (MX Low Profile Speed)」のレビューでした。