「Artisan 零 Mid」レビュー。初動が軽くて滑りと止めのバランスにも優れたゲーミングマウスパッド

本稿では、Artisanのゲーミングマウスパッド「Artisan 零 Mid」のレビューをお届けします。

ファーストインプレッション
零はスポンジ硬度によって滑りの速さがそれなりに変化します。Midは滑りと止めを両立したバランスタイプ。滑走速度の割には初動が速く、しっかりと止められます。また縦横の滑りの差も少なく、かなり扱いやすいマウスパッドという印象を受けます。
品質の高さはArtisan製マウスパッドならではですが、スポンジ硬度がMidだと底面の滑り止めラバーがうまく機能しない可能性があります。硬度のあるラバーウッド天板には吸着しづらく、マウス操作時に腕の擦れによってマウスパッドが動いてしまいます。
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製品仕様とスペック
材質 | 布製 / ポリエステル | 表面 | – |
---|---|---|---|
サイズ |
S:240 x 210 x 4mm
M:310 x 240 x 4mm
L:420 x 330 x 4mm
XL:490 x 420 x 4mm
※全サイズ共通でMIDは3mm厚
|
エッジ | ステッチ加工 |
ベース | 滑り止めラバー | カラー | ブラック |
パッケージと内容物
完全にフラットなパッケージに入って届きます。内容物はマウスパッドのみ。
バリエーション
カラー
ブラックのみ。
サイズ
サイズは以下の4種類を展開しています。
- S:240 x 210 x 4mm ※MIDは3mm厚
- M:310 x 240 x 4mm ※MIDは3mm厚
- L:420 x 330 x 4mm ※MIDは3mm厚
- XL:490 x 420 x 4mm ※MIDは3mm厚
スポンジ硬度
スポンジ硬度はMid、Soft、Xsoftの3種類をラインナップ。以下はArtisanが公開している性能表です。
硬度 | スピード | 止めやすさ | 移動安定性 |
---|---|---|---|
MID | ◎ | △ | ◎ |
SOFT | 〇 | 〇 | 〇 |
XSOFT | △ | ◎ | △ |
スポンジが硬いとマウス操作中の摩擦の変化が少なくなり、安定した操作感が得られます。逆にスポンジが柔らかいと、マウス操作中に圧を掛けてスポンジにソールを沈み込ませることで摩擦を増大させ、強いストッピング性能が得られます。しかし摩擦が変動しやすいので、操作の安定性には欠けます。
滑走速度や安定性を重視してMidを選択するか、止めやすさを重視してXsoftを選択するか、中間のSoftをとるか。理想とする操作感に合わせてスポンジ硬度まで選択できるのはArtisanならではの長所です。
パフォーマンス
巻き癖
完全にフラットなパッケージに入って届くので、巻き癖は一切ありません。
滑走面
零 Midはポリエステルで織られた丸編み生地の滑走面を採用しています。ポリエステル素材はナイロンと比べて湿気や摩耗に強く、快適に扱えるのが特徴です。
布製マウスパッドらしい柔らかい手触りですが、表面にはわずかな凹凸があり、指でなぞるとザラつき感があります。薄い衣服やアームカバーは引っ掛かりやすく、手首が擦れると少し痛いです。
操作感
零 Midはバランスタイプに属するゲーミングマウスパッドです。「零 Soft」は一段階滑りが遅いコントロールバランスタイプに分類されますが、Midはスポンジが硬いぶんスムーズに滑走します。
スポンジの沈み込みを利用するのではなく、表面の抵抗感に頼ってマウスを止めるタイプの操作感です。滑り出しは非常に軽いです。零と滑りの速さが同等でも、初動の速さに劣るマウスパッドは多いです。
マウスを滑らせている間は常に一定の抵抗を感じます。滑走面にわずかな凹凸がある織り方が影響し、マウスに圧を掛けると引きずり感が若干強くなり、マウスをピンポイントで止める動作をアシストします。
また、SoftやXsoftではマウスに圧を掛けたときに中間層のスポンジまで同時に沈み込むぶん、摩擦感がいっそう強くなって滑走速度が安定しづらいというデメリットがありますが、Midはスポンジが硬いので滑りの変化が少なく、操作が安定しやすいです。
縦横の滑りの差は厳密には存在するものの明確に感じるほどではなく、水平軸のエイムが主体となる『VALORANT』から垂直方向にもマウスを動かす必要のある『Apex Legends』まで、あらゆるゲームタイトルに適応します。
滑り出しの速さを重視しつつ、滑りと止めのバランスに優れたマウスパッドを探している方に適しています。サーフェイスが気に入ったら、求める操作感に応じて異なるスポンジ硬度を選択することもできます。
他社製マウスパッドとの滑り比較
※筆者の肌感覚なので変動する可能性があります。
エッジ
エッジのステッチ加工は頑丈で、縫い終わりも丁寧に処理されています。ほつれや破れ等は見られません。
ArtisanのNINJA FXシリーズは共通して、滑走面が最も背が高くなるよう作られているので、マウス操作中にエッジのステッチ部分が手首や腕に干渉しません。他社製マウスパッドと比べて明らかに優れている点の一つです。
底面
裏面の滑り止めラバーは吸盤構造となっています。スポンジ硬度Soft/Xsoftはグリップ感に優れていますが、Midは天板の材質によっては吸着せず、グリップ性能に劣ります。木製天板(ラバーウッド)との組み合わせではうまく固定されません。
埃などが付着するとグリップ性能が落ちますが、水拭きするだけで新品同様の状態に戻ります。
センサー相性
各種マウスセンサーとの相性をチェック。それぞれの組み合わせでカーソルが正確に追従するかを確かめるほか、センサー挙動を可視化するソフトウェア「Mouse Tester」での測定も行います。
なお、使用環境やファームウェアのバージョンの違いなど、様々な要因によって結果が変動する可能性があり、この検証結果が100%正しいものではないことをお伝えしておきます。また同じセンサーを搭載していても種類が異なるゲーミングマウスでは結果は変動するので、ご参考までに。
〇 正常に動作する
△ 動作に問題は無いが、MouseTesterの波形に乱れが見られる
✖ 通常使用が不可能
主要マウスセンサーを搭載したゲーミングマウス9種で検証したところ、すべて正常に動作しました。このほか『Apex Legends』でのプレイテストも行っています。
ソール相性
端がしっかりと丸められたマウスソールと組み合わせるのが好ましいですが、そこまで相性は選ばない表面特性となっています。
スポンジが硬いので、比較的薄いソールと組み合わせても引っ掛かりは生じづらいです。また、滑走面にはわずかな凹凸があるものの、柔らかい糸で織られているのでエッジが干渉しづらいです。
耐久性・湿気への耐性
ポリエステル素材が採用されており、マウスパッドによく用いられるナイロンと比べて耐湿性に優れています。検証中、日による滑りの変化は感じず、快適に使用することができました。
耐摩耗性にも優れており、一般的なナイロン生地のマウスパッドと比べると長持ちします。しかしArtisan製マウスパッドの中では耐久性が低い部類となります。これは推測ですが、織り方が影響しているのかもしれません。
また、わずかな凹凸のある滑走面の特性上、埃が付着しやすいです。頻繁に手入れしていても完全に取り除くのが困難なので、神経質な方は避けたほうが無難かもしれません。
エッジのステッチ加工は頑丈で、長期間使用すると手首が擦れる部分に多少毛玉ができる程度です。ほつれや破れなどは発生しません。
結論とターゲット
「Artisan 零 Mid」について詳しく見てきました。滑りと止めを両立したバランスタイプのゲーミングマウスパッド。マウスの滑り出しが速く、滑走時には一定の程よい抵抗が感じられます。それに加えて縦横の滑りの差が少なく、湿気への影響も受けづらいことから、とても扱いやすい操作感と言えます。
このサーフェイスが気に入れば、SoftやXsoftなど異なるスポンジ硬度もラインナップされているため、操作の安定性よりもピンポイントで止める動作に重きを置くといった選択もできます。ただし、埃が付着しやすく取り除きづらいことと、衣服やアームカバーが引っ掛かりやすく手首が擦れると痛いことには注意。
完全にフラットな状態で梱包され、巻き癖や滑走面へのダメージが一切無い状態で届くこと、また優れたエッジのステッチ加工など、ゲーミングマウスパッドとして文句無しの品質を備えています。
ただし底面の滑り止めラバーに関しては、スポンジ硬度Midではデスク天板の相性を選ぶようなので注意。Artisanのその他シリーズも含めて確認しましたが、SoftやXsoftはラバーウッド天板にうまく吸着する一方で、Midは弾力が少ないこともあって固定されづらいです。
総合評価 4.5 out of 5.0 stars
滑りと止めのバランスに優れた操作感
滑り出しが軽い
縦横の滑りの差がほとんどない
巻き癖が無い
優れたエッジのステッチ加工
マウスセンサーを選ばない
耐湿性と耐摩耗性に優れている
底面の滑り止めが機能しないことがある
手首や腕が擦れると少し痛い
以上、Artisanのゲーミングマウスパッド「Artisan 零 Mid」のレビューでした。