「ROCCAT Vulcan TKL」レビュー。メディアキーを残しつつコンパクト化されたテンキーレスキーボード
本稿では、ROCCAT(ロキャット)のゲーミングキーボード「ROCCAT Vulcan TKL」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: ROCCAT Japan
製品仕様と外観
Vulcanシリーズはこれまでフルサイズのみの展開でしたが、今回新たにテンキーレスサイズの「ROCCAT Vulcan TKL」が加わったので、本稿にてレビューしていきます。
日本語配列と英語配列の両モデル、さらに各モデルによってリニア・タクタイル・光学の合計3種類のキースイッチを展開しているため、好みに合わせた選択が可能となっています。また、サイズが小さくなってもメディアキーは健在で、フルキーモデルと同様の機能性を備えています。
最近では60%などのコンパクトなキーボードも流行していますが、テンキーは使わないけどFnキー(F1~F12)や矢印キーなどは欲しいという方は少なくないと思うので、ぜひチェックしてもらえればと思います。それでは早速見ていきます。
内容物は、Vulcan TKLキーボード本体、接続ケーブル、取扱説明書。
Vulcan TKLはテンキーレスサイズで、英語配列と日本語配列の2モデルを展開するゲーミングキーボード。フルサイズより幅が狭く、マウスの可動域を広く確保できます。
本体は薄型設計で、重量は660gと軽量なことも特徴の一つです。
表面はメタルプレートで、フチは削り出しのアルミ製。筐体からスイッチが飛び出した構造により、ライティングが目立つ設計になっています。
キースイッチはROCCAT独自開発のリニアスイッチ Titan Switch Linear で、主なスペックは 押下荷重45g、キーストローク3.6mm、アクチュエーションポイント1.4mm。
テンキーレスサイズになってもメディアキーは健在で、本体右上に音量調整ツマミとミュートボタンが搭載されています。
裏側には滑り止めラバー、角度調整スタンドが備わっており、角度を2段階で調整できます。
付属のビニール製ケーブルは取り外し可能となっています。キーボード側には主流のUSB Type-Cポートが採用されているので、交換用のカスタムケーブルなども使用できます。
ちなみに、光学スイッチを搭載した上位品 Vulcan TKL Pro は、耐久性の高い編組ケーブルが付属していることが差別化を図るポイントの一つとなっています。
ROCCAT製デバイスの統合ソフトウェア「ROCCAT Swarm」による詳細設定が可能で、対応デバイス間でライティングを同期できるAIMOライティングエンジンにも対応しています。
パフォーマンス
操作感
キータッチ
Vulcan TKLに搭載されたキースイッチは、ROCCAT独自開発の Titan Speed Switch (公式サイトの表記はTitan Switch Linearに変更済?) 。キーを押し下げるほど重たくなっていくリニアスイッチで、主なスペックは 押下荷重45g、キーストローク3.6mm、アクチュエーションポイント1.4mm。
キースイッチ名称 | 押下荷重 | キーストローク | 作動点 |
Cherry MX Red (赤軸) | 45g | 4.0mm | 2.0mm |
ROCCAT Titan Speed Switch | 45g | 3.6mm | 1.4mm |
Cherry MX Speed Silver (銀軸) | 45g | 3.4mm | 1.2mm |
上記の通り、ゲーミングキーボードでは主流のリニアスイッチであるCherry MX赤軸と銀軸の間を取ったようなスペックを有しており、キーストローク・アクチュエーションポイントともに浅すぎず深すぎない、バランスが取れたキースイッチです。
また、Cherry MX赤軸や銀軸とキーの重たさは変わらず、ほぼ同じ感覚でキーが押下できます。また、Cherry MX赤軸と比べて、わずかに軸が擦れる音が少ないといった印象。リニアスイッチが好みな方なら、とても馴染みやすいキータッチだと思います。
ビルド
ディテールをチェック。キースイッチはしっかりと固定されており、グラつきはありません。ライティング搭載スイッチなので透明のハウジング、軸は赤色。
また、軸やキーキャップのグラつきは僅かです。スタビライザーは多少擦れる音は発するものの打撃音などはなく、ShiftやSpaceなどの横長キーを斜めに押し込んでも引っ掛かりは感じません。
打鍵音
底打ち時に「カタカタ」とやや高めの音が鳴りますが、耳障りな甲高い音を発することはありません。それと比べるとスタビライザーが備え付けられた横長のキーはやや低めの音が鳴りますが、差はそこまで気になるものではありません。
Spaceバーは、中央あたりを底打ちした際にだけバネの音が目立ちます。
キーキャップ
キーキャップはグリップ感があって指が滑りづらいですが、指紋や跡がつきやすいです。
Vulcanシリーズ共通で、ホームポジションであるFとJキーだけでなくWキーにも突起があるため、FPSをはじめとするWASDキーで操作するゲームでもキーを見失いづらくなっています。
各種機能
Vulcan TKLの本体右上にはメディアキーが搭載されています。右のツマミからは音量調整が、左の-ボタンからはミュートが行えます。大半のキーボードと同様、その他のメディア機能(前へ、停止、再生/一時停止、次へ)はFn+F9~F11の同時押しで利用できます。
音量調整ツマミは回すときに抵抗感とクリック感があり、急激なボリューム変化を避け、細かな調整を行いやすいです。またキートップよりも背が高いため、アクセスしやすいとも言えます。
ソフトウェア
Vulcan TKLは、ROCCAT製デバイスの統合ソフトウェア「ROCCAT Swarm」に対応しています。以下のURLよりダウンロード可能です。
ROCCAT Swarm:https://ja.roccat.org/Support/Product/ROCCAT-Swarm
設定項目は、キー・マクロ割り当て、LEDライティング、キーリピート速度の調整です。また、互換デバイス間で同期できるAIMOライティングエンジンに対応しています。
Easy-Shiftを割り当てたキーを長押しした状態で他のキーを押すと第2のキー割り当てを反映させられる「Easy-Shift」にも対応しており、より多くの操作を割り当てることができます。
ライティング
Vulcanシリーズは、各キースイッチの透明ハウジングが剥き出しになった構造によって、ライティングがとても目立ちます。光量の面においても、スイッチがケースの外枠に覆われているような一般的なキーボードとは比べ物になりません。
結論とターゲット
「ROCCAT Vulcan TKL」について詳しく見てきました。何と言ってもライティングが派手な点が最大の特徴です。独自開発のキースイッチ Titan Switch Linear は赤軸と銀軸の中間くらいのスペックを有しており、リニアスイッチが好みな方にとっては馴染みやすいです。
本体からのメディアコントロールが可能で、ソフトウェアによる詳細設定にも対応しているため、テンキーレスサイズになっても機能性は損なわれていません。また、キーボード側にUSB Type-Cポートが採用されているので、交換用ケーブルにも対応します。
ターゲットとしては、綺麗に光るゲーミングキーボードを探していて、機能性や拡張性に優れたものが好ましいという方。好み次第ではとても条件の良い製品となっています。
以上、ROCCAT(ロキャット)のゲーミングキーボード「ROCCAT Vulcan TKL」のレビューでした。