本体重量わずか23gのカーボンファイバー製マウス「Zaunkoenig M1K」に迫る。Zaunkoenig創設者によるAMA(質疑応答)まとめ

本体重量わずか23gのカーボンファイバー製マウス「Zaunkoenig M1K」に迫る。Zaunkoenig創設者によるAMA(質疑応答)まとめ

2019年9月8日、とある国内クローズドコミュニティにて、Zaunkoenigの創設者のひとりであるPatrick Schmalzried氏によるAMAが行われました。

Zaunkoenig M1Kとは

Zaunkoenigによって発表済みのプロダクト「Zaunkoenig M1K」は、かなりニッチなゲーミングマウス。本体重量わずか23gという驚異的な軽さを実現するため、トップシェルには軽くて頑丈なカーボンファイバーが採用されています。

カーボンファイバーのコストの関係上、販売価格が高額とはなるものの、一部の層にとっては非常に興味深い製品であることは間違いありません。そもそも「ごく少数のユーザーにとってかけがえのない製品を作りたい」と制作サイドが語っていることからも、その本気度が伺えるプロダクトとなっています。

センサーにはPixArt PMW3360、マウスソールにはHyperglide(Logitech MX300用ソール, 直径7mm, 厚さ0.6mm)を採用。サイドボタンやマウスホイールは実装せず、メインスイッチのみというシンプルな構成となっています。ファームウェアは書き換え可能なオープンソースで、ユーザーやコミュニティによる改良が行えるとのこと。

現段階では発表のみで、今後Kick Starterにてクラウドファンディングを控えているM1K。「既に知っている」というユーザーはまだ少ないと推測します。本稿では、そんな謎のプロダクト「Zaunkoenig M1K」の全貌を明らかにするAMAの内容をお届けします。

Zaunkoenig M1K: AMA

私はZaunkoenig M1K の創設者のパトリックです。兄弟でM1Kを開発しています。
M1Kというマウスはつまみ持ちの究極の姿を求めて出来た製品です。ホイールとサイドボタンを外し、縦にも動かしやすく短くしました。

Q. Kick Starter(海外最大手のクラウドファンディングサービス)はいつ頃開始される予定ですか?

A. M1KのKick Starterは約10日後に開始される予定。

Q. 当プロジェクトは既に発表から数年経っているとのことですが、製品版の発売までにあと何年掛かる予定ですか?

A. 来年(2020年)の販売開始を予定している。

Q. m1kの予定販売価格は€249(約3万円)、クラウドファンディングでも€149(約1万8000円)と、ゲーミングマウスの中では非常に高価であると言えると思います。zaunkoenigはいわゆるローエンドモデル等を展開する構想はありますか?

A. ローエンドモデルの展開は考えていないが、M1Kの他にハイエンドモデルを作る予定。

Q. サイドボタンやマウスホイールを実装する予定、またサイズの大きい つかみ持ち(claw grip)に適した形状のモデルを出す予定はありますか?

A. M1Kよりも大きいサイズを展開する可能性はあるが、つかみ持ち用ほど大きくする予定は無い。
サイドボタンは実装する予定は無い。マウスホイールは可能性があるが、現状では答えられない。

Q. マウス底面のカラーは自分で選べるのか、ランダムなのか知りたいです。

A. 基本的にはブラックで考えているが、後々カラーバリエーションモデルを展開する予定有り。単色のみではなく、複数色を混ぜたものも考えている。
マウス自体のカラーバリエーションモデルを出す予定は無い。

Q. 日本国内からの購入は可能ですか?(Kick Starterと製品版の両方で)

A. Kick Starterは規律の関係上難しいが、個人輸入および海外取り扱い店での代理輸入で入手することができそう。将来的には日本正規代理店を構えることも考えている。

Q. ゲーミングマウスのメインスイッチはセパレートタイプの方が優れていると考える人が多いですが、m1kはどこからどこまでがメインスイッチと想定されている(マウス先端から何cm)のか、またボタンを押下する位置ごとのクリック荷重に違いはありますか?

A. セパレートのパーツは無く、カーボンファイバー素材の特性上、パーツを分けることが困難。カーボンファイバーは硬いが、クリック感が硬いわけではない。素材が薄いから。

Q. トップシェルの素材は何製で、厚さはどれくらいでしょうか?

A. カーボンファイバー製。前0.4 横0.6 サイドは耐久性を考慮して少し厚くしている。数人のマウスレビュアーは「m1kは頑丈かつガワが薄いのでクリック感が良い」と言っていた。
M1Kに搭載されているスイッチは オムロン製 D2F-01F(https://www.fa.omron.co.jp/product/item/7915/)。他国の製品は品質が劣っていると感じた。これがベターだ。

Q. 本体にハニカム状の穴を開けた超軽量ゲーミングマウスが流行しているが、それに対する考えと、カーボンファイバーに目をつけた理由を教えてください。

A. 本体に穴を開けたプロトタイプは5年前に作っていたが、汚れやすいのが欠点だと感じた。
その後、コストは高いが丈夫で軽いカーボンファイバーに出会った。

Q. 好きな日本食は?

A. 刺身。寿司よりも刺身の方が魚の味が分かる。

Q. 海外では魚を生で食べることをあまり好まないですが、どう考えています?

A. 僕はなんでも食べるよ。

Q. センサーにPixArt PMW3360を選択した理由をお聞かせください。

A. マウス本体のサイズを考えると3360 3389の2択だった。
ちなみに、センサーの選定はそこまで重要ではないと考えている。大事なのは形と重たさ。

Q. 以前話したときに日本語が喋れる友人を連れてくると言っていましたが、寝坊したんでしょうか?

A. 私は彼が今何をしてるのか分からない(笑)。

Q. PixArtセンサーの購入先を教えてください。

A. PixArtからセンサーを直接購入している CODICO という会社から。

Q. m1kのリフレッシュレートはオーバークロック時には最大8,000Hzまで対応しているとのことですが、何のために実装された機能なのでしょうか?

A. 1,000Hzも8,000Hzも製造コストは変わらなかった(追加料金を払わずに実装できる機能)ので、とりあえず実装してみた。ちなみに、もともとマウス自体は8,000Hzで処理しているが、PC側のオーバークロック技術が未成熟なのか、2~3時間掛かってもPC側を8,000Hzまで引き上げられなかった。
M1Kを8,000Hzで使用すると、1,000Hz時と比較して入力ラグが平均で0.4375ms短縮される。

Q. 自身で製作された製品以外で最も好きなマウスは何でしょうか。

A. Microsoft IntelliMouse Exploler 3.0(IE3.0)。

Q. M1Kの標準ケーブルをパラコードなどの柔らかいものにする予定はありますか?

A. パラコードケーブル等を作る予定は無い。ケーブル交換についてはユーザー側で対応できると思う。
一般的なマウスケーブルは7つのワイヤーから成るが、私たちが作っているケーブルは19のより細かなワイヤーによって作られており、いわゆるパラコードケーブルよりも柔らかいと感じている。素材はPolyurethane(PUR ポリウレタン)。

Q. ケーブル素材をポリウレタンにした理由を教えてください。

テフロンは硬すぎるし、シリコンは物にひっつきやすい。PVCは時間とともに劣化して硬くなっていくので、最後に残った選択肢がポリウレタンだった。

Q. M1Kに標準で搭載されているマウスソールを教えてください。

A. Logitech MX300用のHyperglideを使用している。直径7mmで厚さ0.6mm。

Q. テストに使用したマウスパッドを教えてください。

A. 私が好きなArtisanのNinja FX 零 X-Softを使用している。Artisanは最高。
※ Artisan: 日本のゲーミングマウスパッド専門メーカー。

Q. USB HIDに対応したマイクロコントローラは様々なメーカーが出荷していますが、ATmega(AVR)を採用した理由があれば教えてください。

A. オープンソースで、自身のファームウェアをインストールするのに手間が掛からないから。

Q. マウス感度はどれくらいですか?

A. 私はつまみ持ちで、マウス感度は360°=36cmくらい。

Q. ファームウェアをオープンソースにすることで、ファームウェアをコミュニティ自身で改良していくようなムーブメントを意識されていますか?

A. はい。それによってインプットラグの軽減、マウスのプログラミング、ゴールドピンをユーザー自身ではんだ付けしたり、ホイールを追加したければユーザー側で可能となる。
また、そのホイールを使うためにプログラミングが可能となる。

Q. なぜ今回のAMAを引き受けてくださったのですか?

A. このコミュニティに情熱を感じたから。
僕自身、日本の製品に目が無い。マウスパッドはArtisanだし、キーボードはHHKB。包丁も日本製を使用しているよ。

Q. 日本国内の製品で最も欲しいものを教えてください。

A. HHKB Type-S Wireless。ケーブルが取り除かれてるうえに、プログラムも可能だから。

Q. 日本に訪れる予定はありますか?

A. 是非訪れてみたいとは思うが、今のところ予定は立っていない。

Q. 使用ユーザーがコンタクトを取る方法はありますか?

A. Zaunkoenig公式サイトのコンタクトから。ニュースレターに参加するのも一つの手。

Q. 「プロトタイプの送付はもう受け付けていない」という記述が公式サイトにありましたが、プロトタイプを送付してほしいというリクエストはどれくらいありましたか?

A. これまでにカーボンファイバー製のプロトタイプを11個、プラスチック製のプロトタイプを20個、テスターに送付した。

Q. ハリボーのグミの中ではどれが最も好きですか?

A. デフォルトの。赤色、緑色の順に好き。

Q. M1Kをワイヤレス化する予定はありますか?

A. 詳しいレビュアーからのフィードバックに「マウスの本体重量が15g以下になると、ケーブルが存在することによって掛かる負荷の方が大きくなる」とあった。安定した操作が難しくなってしまうらしい。
なのでM1Kはワイヤレス化しないが、いくつか後のバージョンではより軽量になり、ワイヤレス化される可能性がある。

Q. M1Kはサイドボタンもホイールも実装しない、少数派に向けたゲーミングマウスとのことですが、マウス製造は本業ですか?

A. 現在M1Kの製造が本業となっており、経営にも影響が出そう。まずはM1Kで少人数の支持を得て、その後徐々に拡大していきたいと思っている。
妥協しない、シンプルでピュアなマウスを作りたい。

Q. 公式ブログで「スタークラフトをプレイ中に感じた不満からM1Kを考え付いた」とありましたが、実際にプロトタイプを使ってさまざまなゲームをテストプレイしていますか?

A. M1Kプロダクトに賛同し、プロトタイプをテストしているCS:GO GEのプレイヤーがいるが、もう彼はM1Kしか使用していない。私自身はスタークラフトが好きで、M1Kを使ってプレイしている。

Q. CS:GOはマウスホイールをジャンプに割り当てているプレイヤーが多いですが、どう考えていますか?

A. 友人もそのようなことを言っていた。
(創設者のホイール実装についての考えは過去のクエスチョンにて記載)

Q. M1Kに興味を持っている日本のユーザーに伝えたいことはありますか?

A. まず最初に「興味を持ってくれてありがとう」。日本と言えばミニマリズムの思想で有名だから、興味を持ってくれるとは薄々感じてはいたが、これほどまでに人が集まるとは思っていなかった。ヨーロッパと日本は相当遠いのに、こうやって僕が作るマウスに興味を持ってくれているのはとても嬉しい。
M1Kは、日本のゲーミングデバイスが好きなユーザーにも合うプロダクトだと思う。

Q. 日本では金属製マウスパッド「NINJA RATMAT」というプロダクトがあるが、(どういったものか説明したうえで)これについてどう思いますか?

A. 価格にこだわらず、自分たちの作りたい製品を作るという考えには共通点を感じる。
僕たちもコストの高いカーボンファイバー素材でしか実現できない軽さを追い求めているから。

Q. このコミュニティにはマウスソールを金属製にしているユーザーもいるが、M1Kも金属製ソールを実装する予定はありますか?

A. テフロンは耐久性の面で限界がある。
金属製マウスパッドが流通し始めた頃には、テフロン以外のソールが主流になるかもしれない。そうなった頃には別素材も検討するつもりだ。
その素材については模索中、というか企業秘密(笑)。

Q. カーボンファイバー素材でマウス以外の製品を作るという構想はありますか?

A. 今のところは無い。キーボードやヘッドセットを軽くしても、プレイヤーのAIMに直接的に影響しないだろうから。
もっとも、キーボードの重量が軽いとチープに感じるしね。

Q. Finalmouseは靴業界に移行すると言っていますが、これについてはどう考えていますか?

Finalmouseは絶対マウス業界に戻ってくるよ。これには1000ドル賭けれる(笑)。

Q. 新しいマウスを出す予定が出来たら、またこのコミュニティでのAMAに応じてくれますか?

A. もちろん!

Q. 好きな食べ物は?

A. カルボナーラ。レシピがあるから後で送っとくよ。
(後に送られてきたレシピサイト: https://www.seriouseats.com/recipes/2015/12/pasta-carbonara-sauce-recipe.html


Patrick Schmalzried氏は「M1Kはすごい独特なマウスなので、興味を持つ人がたくさんいると思う。」と締めました。このAMAは約2時間にわたって実施され、ユーザーがリアルタイムで翻訳者とのやり取りを聞くことが可能でした。AMAの様子を映した配信のアーカイブはこちらからご覧いただけます。

Zaunkoenigは、M1Kに関する情報や制作過程を公式ブログに公開しているので、興味を持った方は是非そちらも確認してみてはいかがでしょうか。

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