Pulsar Xlite V3 (Size 2) / Xlite V3 eS (Size 2) レビュー

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Pulsar Xlite V3 (Size 2) / Xlite V3 eS (Size 2) レビュー

この記事では Pulsar Xlite V3Pulsar Xlite V3 eS のレビューをお届けします。

レビュー用サンプル提供:Pulsar Gaming Gear

PulsarXlite V3
販売価格:13,860円
PulsarXlite V3 eS
販売価格:17,820円

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この製品について

Pulsarの人気エルゴノミクスマウス Xlite V2シリーズの後継機として、Xlite V3シリーズおよびXlite V3 eSシリーズが登場。 Xlite V3 (Size 2)が2023年11月29日、Xlite V3 eS (Size 2)が2023年12月1日に発売されました。

まずはミディアムサイズ的な立ち位置のSize 2から販売され、現在はサイズ1、サイズ1.5、およびサイズ3のバリエーションが開発されており、2024年に発売予定とのこと。なんと全て出揃うと4サイズ展開となります。

Xlite V3とXlite V3 eSの違い

Xlite V3 (通常版) と Xlite V3 eS (eSシリーズ) の違いについて解説します。

Pulsar Xlite V3
(Size 2)
Pulsar Xlite V3 eS
(Size 2)
デザイン シンプル ワンポイントあり
形状と大きさ 67.0 x 122.0 x 43.0mm (共通)
本体重量 55g 65g
4Kドングル 別売り 専用ドングル同梱
MCU Nordic Nordic
+ NXP
ポーリングレート 無線 4000Hz
有線 1000Hz
無線 4000Hz
有線 8000Hz
バッテリー 300mAh 500mAh
バッテリー寿命 最大100時間 最大100時間
(70~100時間の表記)
センサー PixArt PAW 3395
スイッチ 光学式
ホイール プラスチック 金属
エンコーダー Pulsar Blue
ソフトウェア 対応 不要
コーティング

一見すると上位モデルに見えるeSシリーズですが、おそらく上位や下位の概念はなくターゲットが異なるだけだと思います。「eS」はe-sportsシリーズという意味合いで、仕様からもプロプレイヤー向けに配慮して設計されたモデルであることが分かります。

最も分かりやすいのが、本体の操作のみで設定を変更でき、OLEDパネルによって設定状況をすぐチェックできるという点。オフライン大会では不正防止の観点で外部ソフトウェアに対する制限があることを考慮したうえで、通常版と分かりやすく差別化したのだと思われます。

一般ユーザーからすると、ソフトウェアを導入できない(したくない)特別な理由が無い限り、OLEDパネルの恩恵はあまり無いように感じます。個人的に、自宅でいつもの環境で使う分にはOLEDパネルが便利とは感じませんし、PCの画面上でソフトウェアで設定できたほうが自然で良いです。

本体重量

一般ユーザーが選ぶときに決め手となりそうなのは本体重量の違いです。人それぞれ操作しやすいと感じる重さが異なるので、通常版の50g台とeSの60g台のどちらが好みかで選ぶのは良い方法だと思います。

ちなみに、代表的なミディアムサイズの左右非対称マウスの本体重量を並べてみると、Sprime PM1 44g、LAMZU Thorn 52g、BenQ ZOWIE EC2-C 73gとなります。ちょうど60g台の席が空いている状況です。

ここにラージサイズも含めるとなると Razer DeathAdder V3 Pro 64g、OUTSET AX Wireless 73g、BenQ ZOWIE EC1-C 80gなど、グッと選択肢の幅が広がるのですが、ミディアムサイズに絞ると意外とまだまだ少ないです。

50g中盤あたりがちょうどいいと感じる人にとってXlite V3、軽すぎるエルゴノミクスマウスは違和感があるという人にとって60g台中盤のXlite V3 eSは良いところを突いていると言えるのではないでしょうか。

バッテリー

eSシリーズのほうがバッテリー容量が大きいのに最大動作時間が同じなのは、OLEDパネルの搭載により消費電力が上がっているからです。いずれにせよバッテリー持ちは競合製品と比べて同じか長いです。

ポーリングレート1000Hz設定時、Xlite V3が300mAhのバッテリーで最大100時間の動作を謳っているのに対し、Xlite V3 eSはより大きな500mAhのバッテリーで最大100時間(70~100時間)の動作を謳っています。

eSシリーズのほうがバッテリー容量が大きいのに最大動作時間が同じなのは、OLEDパネルの搭載により消費電力が上がっているからです。いずれにせよバッテリー持ちは競合製品と比べて同じか長いので、無線ゲーミングマウスとしての使い勝手は悪くないと言えます。

デザイン

eSシリーズが特徴的なのはアルミニウム製のホイールを採用している点です。また、本体後部にはワンポイントの赤いタグが入っています。サイドボタン横のLEDインジケーター、左メインボタン手前のPulsarロゴは共通です。

本体の質感も少し違います。同じブラック同士で比較して、Xlite V3よりもXlite V3 eSの方がシェルが漆黒に近く、表面に光沢感があって高級感があるように見えます。

コーティング

この光沢感の差はおそらくコーティングの違いからきています。しかしグリップ力にほぼ差はなく、どちらの方が滑りづらいか優劣をつけるのは難しいです。

最近のPulsar製ゲーミングマウスのコーティングは優秀で、表面が滑りづらく、指先や手のひらを一度決めた場所で保持することができます。汗や皮脂による汚れが目立ちやすく、触った部分に跡が残りやすいですが、これは高いグリップ力とのトレードオフと言えるかと思います。

ビルドクオリティ

シェルはとても頑丈です。普通にグリップするくらいでは何ともありません。両手の親指を使って強めに側圧を掛けると僅かにたわみますが、その他9割の軽量ゲーミングマウスはこれよりも深くたわみます。

グリップしたときに軋むような音が鳴ったり、本体を振るとカラカラと音が鳴ることもありません。

シェルの成型精度は非常に高いです。トップシェルとボトムシェルの間に隙間はなく、しっかりと噛み合っています。トップシェルとサイドシェルの継ぎ目はほぼ見えず、段差になっている部分もありません。

それぞれのスイッチは適切に取り付けられており、フィーリングは良好です。

形状と大きさ

形状と大きさはXlite V2がベースとなり、一部分が改善されています。

Xlite V2はメインボタンのシェルがサイドシェルに覆い被さるような形になっていました。この構造では、薬指を伸ばしてグリップしたときにボタンの隙間に指先がめり込んでしまい、右クリックの妨げになってしまうことがありました。

Xlite V3ではこれを改善するために両サイドの先端付近の形状が変更されています。薬指を伸ばして好きな場所に置いても右クリックに干渉することはありません。単純に指を置けるスペースが増えたので、Xlite V2では不可能だった持ち方も可能になりました。とても良い改善だと思います。

これ以外はXlite V2と同じです。そもそもXlite V2がどのような形なのかというと、古くからあるエルゴノミクスマウス BenQ ZOWIE EC2のクローン形状となっています。

Xlite V3 / Xlite V3 eSとZOWIE EC2とで形状が異なると感じる部分は二つあります。

まず一つは、Xlite V3 / Xlite V3 eSの方が左メインボタンの付け根の部分(Pulsarのロゴがある辺り)の背が少し高いという点です。かぶせ持ちしたときに人差し指の付け根に触れる部分が盛り上がっています。おそらく1mmくらいの差ではあると思いますが、確実にこちらの方が背が高いと認識できます。後方から見比べてみると、僅かではあるものの違いが見て取れます。

もう一つは、Xlite V3 / Xlite V3 eSの方がメインボタンがアルファベットのUのように深く窪んでいるという点です。ZOWIE EC2よりも窪みが深いので、指を載せるだけで自然に沿わせられ、フィット感が強く得られます。

結論、EC2クローンとしての再現度は90%くらいです。本家よりも人差し指と中指のあたりのフィット感が強めに得られることを気に入る人もいるかもしれませんが、そこまで大きな差はありません。

寸法は66 (eSは67) x 122 x 43mmで、ミディアムサイズに分類できます。クローン元であるBenQ ZOWIE EC2のほかにサイズ感の近いエルゴノミクスマウスを挙げるとすれば、Sprime PM1やLAMZU Thornあたりになると思います。

かぶせ持ちは平均的な手の大きさでジャストフィット。つかみ持ちであれば手が大きめの方でも問題無く使用できます。普段からやや小さめのマウスを好んで使用している場合、サイズ1.5を待つことをお勧めします。

Xlite V3は66mm、eSは67mmと表記されている通り、本体幅に1mmの違いがあるみたいですが、筆者はその違いに気付けませんでした。表記されている数値は最も幅の広い部分、つまり後方になるので、どちらにせよグリップ感にはあまり影響を及ぼさなさそうです。

メインボタン

メインボタンにはRAESHA製の光学式スイッチ RAESHA Optical Switch が搭載されています。光学式スイッチの強みは、二重入力(いわゆるチャタリングを含む)を防ぐための遅延を必要とせず、クリック遅延が抑えられる点です。

クリックの固さはやや柔らかめ。プリトラベルとポストトラベルは若干ありますが気にならない程度。柔らかい割にはしっかりと跳ね返ってくるので、タップとスプレーの撃ち分けがしやすいです。

押し心地は同じ光学式スイッチを搭載したX2V2やX2Hと似ています。光学式スイッチらしいパキパキとした感じ。一般的な機械式のスイッチと比べると少し粘り気があり、モタつくように感じるかも。個人的にイヤホンやヘッドフォンを装着した状態では気になりません。

左右非対称マウスはスイッチ周辺の構造が左右で異なる関係上、クリックのフィーリングに差が生じやすいです。メインボタンのシェルの高さが違うほど差が出やすいです。

Xlite V3とXlite V3 eSでクリック感が若干違います。Xlite V3 eSの方がカチッと鳴るときの衝撃が弱く、クリック音も低いです。ゲームプレイでの影響は特にありません。

今更ですが、Xlite V3のボトムシェルは肉抜きされていますが、Xlite V3 eSの方は全く穴が空いていません。これがクリック感や音が違う理由の一つになっていると思います。キーボードのカスタムをやっていると、感触や音は些細なことで変わるんだなと考えさせられるのですが、マウスのボタンについても似たような部分がありそうです。

サイドボタン

サイドボタンはXlite V2やZOWIE EC2と同じ位置に搭載されています。よほど浅めのつまみ持ちでない限りは両方のボタンに指が届きます。ボタンは本体からあまり飛び出ておらず、親指をスライドさせても段差になっているように感じません。

クリックの固さはやや固めで、プリトラベルとポストトラベルはほとんどありません。少し押し込むとすぐに反応し、誤入力もしづらいです。重要なキーを割り当ててもうまく機能しました。

旧型 Xlite V2のサイドボタンは一般的なゲーミングマウスとは違うカコカコと詰まったような押し心地で好みが分かれるものでしたが、Xlite V3 / Xlite V3 eSでは改善されています。

ホイール

ホイールは本体からしっかりと飛び出ており、リングの外径も大きめです。ZOWIE EC2と搭載されている位置はほぼ同じですが、リングの外径が一回り大きいこともあって背が高いように感じます。

ホイールの回し心地は軽め。滑らかにスクロールできます。適度なノッチ感もありますが、どちらかといえば軽い回し心地を好む人に合いそうです。Xlite V3 eSの方がノッチ感が弱く、滑らかに回るように感じます。

ホイールクリックの固さは並みで、とても良い感触で押しやすいです。メインボタンとの固さのギャップもあまり気にならず、重要なキーを割り当ててもうまく機能しました。

(音)

センサー

PixArtのフラッグシップセンサー PixArt PAW 3395 が搭載されています。独自のテストを行った結果、センサーが正常に動作していることを確認しました。

センサーの位置はマウス本体の真ん中、Xlite V2と比べてほんの僅かに後ろ側です。

ポーリングレート

Xlite V3はポーリングレート1000Hzですが4000Hzにも互換性があり、別売りの4Kドングルを導入することでワイヤレス4000Hzでの動作に対応します。

Xlite V3 eSはパッケージに4Kドングルが同梱されており、追加で購入する必要はありません。無線接続時ポーリングレート4000Hz、有線接続時には8000Hzでの動作に対応します。

Razerが提供するPollingRateTesterApp v1.00.01で検証した結果、Xlite V3 / Xlite V3 esともに無線接続時ポーリングレート4000Hzでの正常な動作を確認しました。

また、MouseTester v1.5.3のInterval vs. Timeで更新頻度の一貫性をテストした結果、ポーリングレート4000Hzの理論値0.25ms付近を示しました。

VALORANTとオーバーウォッチ2を長時間テストプレイしましたが、カクつきやプチフリーズは一度も発生しませんでした。高ポーリングレート設定時の動作の安定性に問題はありません。

マウスソール

Xlite V3とXlite V3 eSのマウスソールは同じ形状と大きさですが、少し材質が異なります。

Xlite V3にはX2V2やX2Hと同じソールが貼り付けられています。真っ白のPTFEで、表面の質感は乾いた感じ。初動の軽さ・滑走速度ともに並み。エッジには角度がつけられていてマウスパッドの表面に引っ掛かることはありません。柔らかくて分厚いマウスパッドと組み合わせると、深く沈み込んだときにボトムシェルが擦れてしまいます。

Xlite V3 eSも真っ白のPTFEであることは共通していますが、表面のツヤの有無で少し材質が異なるものだと判断できます。Xlite V3のソールよりも分厚く、柔らかくて分厚いマウスパッドと組み合わせてもボトムシェルが擦れづらいです。初動はやや軽く、滑走速度もやや速め。エッジは丸められていて、マウスパッド表面と引っ掛かることはありません。

標準マウスソールに求められる品質は満たしています。

ソフトウェア

Pulsarは対応ゲーミングマウスの設定を一括で管理できるソフトウェア Pulsar Fusion Wireless Mice を提供しています。 *記事執筆時のソフトウェアバージョンはv1.2.8

Xlite V3はこれに対応しており、各ボタンへの割り当て、マクロの記録・保存、DPI(50~26,000dpiを50dpi単位で調整可能)、ポーリングレート、LoD(1mm/2mm)、Motion Sync、デバウンスタイム(最短0ms)調整などが行えます。

「ボタン割り当て」のタブにMotion Syncやデバウンスタイムのような設定項目があるなど、限られたスペースの中に各項目を無理やり詰め込んだようなUIではありますが、日本語に対応しているので設定に迷うことはないと思います。

eSシリーズはその名前の通りesportsシーンでの使用を想定されたモデルで、オフライン大会では外部ソフトウェアの使用が制限されているという事情もあるため、ソフトウェア非対応となっています。

マウス本体を操作することで設定を変更でき、底面のOLEDパネルから設定状況を確認できます。ボタンを押したときのみ表示される仕組みなので、無駄にバッテリーを消費することはありません。ソフトウェアの有り無し、どちらが便利と感じるかはその人次第だと思います。

競合製品との比較

左右非対称マウスは左右対称マウスと比べて選択肢が少ないこともあって、求めている条件にぴったり合うものが見つからないことが多いです。

vs. LAMZU Thorn

Pulsar Xlite V3 (Size 2) とLAMZU Thornはどちらもミディアムサイズで、形状と大きさは若干異なるものの決定的な違いはありません。本体重量もかなり近いです。

しかし、バッテリー持ちの面でXlite V3に軍配が上がります。特に、高ポーリングレート設定時のバッテリー寿命にかなりの差があります。また、スリープモードの判定もPulsarの方が優秀です。

長時間のゲームプレイを繰り返し行い、毎日バッテリーを充電するのは面倒に感じるという人にとって、バッテリー持ちの悪いLAMZU Thornはあまり良い選択にならない可能性があります。

結論とターゲット

Xlite V3 (Size 2)に関してはX2V2やX2Hと同じく優等生といった印象で、これといって悪い部分がないうえに比較的安価で入手できるのが強み。ZOWIE EC2ライクなミディアムサイズの左右非対称マウス、本体重量55gという点が好みとマッチすれば買って損はないと思います。

Xlite V3 eS (Size 2)は名前の通りesportsシリーズ、オフライン大会での使用を想定した設計で、Xlite V3とは明確にターゲットを分けている印象を受けました。とはいえ、ミディアムサイズの左右非対称マウスで本体重量65g付近のものは他にないので、一般ユーザー目線でも貴重な選択肢となります。

eSは高性能版というよりもオフライン大会での使い勝手を重視したプロシーンに配慮された仕様でした。一般ユーザー目線だと、重さやソフトウェアの有無、デザインなどを比べながら、好きな方を選ぶと良いと思います。

Xlite V3をポーリングレート2000Hzや4000Hzで動作させるにはPulsar 4K Dongle(¥2,690- 税込)を追加購入する必要があり、マウス本体との合計額は¥16550になります。Xlite V3 eSの方は専用の4Kドングルが付属するので、追加で購入する必要はありません。

どちらも今年出たエルゴノミクスマウスの中で最もスペックと価格のバランスに優れており、ゲーミングマウスに高い性能を求める人、あるいは費用対効果を求める人、どちらも満足させられる製品に仕上がっていると感じました。

PulsarXlite V3
販売価格:13,860円
PulsarXlite V3 eS
販売価格:17,820円

以上、Pulsar Xlite V3Pulsar Xlite V3 eSのレビューでした。

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この記事を書いた人

ミオニ
eスポーツ向け ゲーミング周辺機器のレビュアー
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