仕様・スペック
| サイズ | L |
|---|---|
| 形状 | 対称 |
| 幅 | 64mm |
| 全長 | 125mm |
| 高さ | 39mm |
| 重量 | 45g |
| MCU | PixArt PAR2862QN |
|---|---|
| センサー | AIMNINJA |
| 解像度 | 30,000DPI |
| ポーリングレート | 8,000Hz |
| LOD | Ultra-Low / Low / Mid |
| Motion Sync | 対応 |
| ボタン数 | 5 |
| スイッチ方式 | 光学 |
| スイッチ名称 | HyperSwitch |
| デバウンスタイム | 0ms |
| クリック遅延 | |
| 接続 | 無線 |
| バッテリー容量 | |
| バッテリー持続時間 | 95h/1k |
| 充電端子 | USB Type-C |
| ソフトウェア | Webドライバー / 専用ソフトウェア |
| カラー | Black / White |
|---|---|
| デザイン | 単色 |
| 表面仕上げ | マット |
| 滑りづらさ | C |
Ninjutso Ten レビュー
今回はNinjutsoのゲーミングマウス「Ninjutso Ten / Ten Air」について詳しく解説します。
レビュー用サンプル提供:Ninjutso
Ninjutsoといえば「Sora」が有名ですが、今回は全く異なるタイプの形状に挑戦したようで、主な競合となるのはLogicool G Pro X SuperlightやRazer Viper V3 Pro、LAMZU Maya Xのような定番どころ。それでいて各レビュアーからの評価は高く、相当なクオリティが期待できそうなので詳しく検証してみました。
本体重量
今回、Ninjutsoは通常モデル 53gのTenと軽量モデル 45gのTen Air この2種類を同時リリースしており、好みに応じて選択できます。
どちらのモデルも軽さに対してバッテリー持ちが良いことが強みとして挙げられます。
| Ninjutso Ten | Ninjutso Ten Air | |
| 本体重量 | 53g | 45g |
| バッテリー持続時間 | 最大140時間 | 最大95時間 |
通常モデル Tenは本体重量53gでバッテリー持続時間140時間、一方で軽量モデル Ten Airは重量45gでバッテリー持続時間95時間です。
主な違いは上記2点ですが、スペック表にはない違いを見つけました。両モデル間ではコーティング(表面の滑りやすさ)が異なります。
軽量モデルのTen Airのほうが表面がサラサラとしていて明らかに滑りやすいです。一方で、Tenのほうは手のひらや指先をしっかりと保持できるだけのグリップ力があります。この違いは手汗をかいた状態でより顕著にあらわれるため、人によってはグリップテープで対策する必要があるでしょう。
重量とバッテリー持ちの違いだけではなく、このコーティングの違いも考慮したうえで選択することをおすすめします。
形状
寸法は64x125x39mm ミディアム〜ラージサイズに分類できるサイズ感です。
主な競合として挙がるのはLogicool G Pro X Superlight 2、Razer Viper V3 Pro(またはLAMZU Maya X)のような代表的な製品ですが、このマウスもこれらと同じく、多くのユーザーに受け入れられそうな形状をしています。
全長は長すぎず、本体幅はやや広め。
側面のくびれは控えめです。最も凹んでいる部分からマウス後方にかけての膨らみもあまりありません。Logicool G Pro X Superlightの側面に近いように感じました。
また、くびれていないだけでなく、角度もほとんどついていません。そのため、指先が引っかかりづらく、特に薬指は指先のみが触れた状態となります。この状態では、指の関節を使ってマウスを細かく動かす際に、正確にコントロールしやすいです。
これとは対照に、内側に入るように角度がついたもの(いわゆる逆ハの字の状態になったマウス)では、微調整がしづらく感じる可能性があります。確かにホールド感は向上、持ち上げ動作もしやすいのですが、薬指の指先だけでなく第1関節の付近まで引っかかっていることが邪魔をして、指先の動きにマウスが素直についてこない場合があります。
競合として挙げたマウスと同様、Tenもあらゆる持ち方に対応します。つかみ持ちやかぶせ持ちだけではなく、薬指を添わせて親指を立てる”なぞり持ち”と呼ばれる持ち方とも相性が良いです。
汎用性の高い形状をしたマウスといえば真っ先にGPXが挙げられますが、GPXはトップの形状が卵のように丸みを帯びたものなのに対し、Tenは まるでVAXEE XEやLAMZU Maya Xのようにトップが平べったいデザインとなっています。
ユニバーサルデザインなGPXをベースに、XEやMaya Xのようなトップの平べったさ(受け皿の広さ)を持っているのがTenの形状、ということになります。
ただし少し気になったのが、主流のマウスと比べてセンサーの位置がわずかに後方に寄っていること(参考:EloShapes)。
センサーの位置が違うと、同じDPIやゲーム内感度でプレイしていても、エイムの質感に若干影響を及ぼします。腕や手首を支点にしてアーチを描くようにマウスを動かした際に、センサーの位置が後方に寄っているほどカーソル移動量が少なくなり、マウス感度が低いように感じることがあります。
そのため、使い始めは違和感を覚えることもあり、新しい感覚に慣れるまではエイムを合わせづらいと感じるかもしれません。
メインボタン
ボタンテンショニングシステム(BTS)というクリック機構を特徴の1つとしています。他所のレビューを見る限りなかなか好評だった点です。
クリックの固さは少し柔らかめ、反発感も少し弱いです。余計な力要らずで楽にクリックできます。
メーカーの説明によると「銅製スプリングが常にボタンプレートに圧力をかけ、スイッチプランジャーと確実に接触させることで、両者の間に隙間が生じません。これにより、クリックのプリトラベル(遊び)を完全に排除します。」とのこと。実際に、プリトラベルは長くはありませんが、完全に排除はされていないかと思います。
クリックの感触については、あまり優れていないように感じました。昔のオプティカルスイッチによくあった粘り気?のようなものが目立ちます。以前のPulsarマウス(Kailh製オプティカルスイッチを採用していた頃の)と少し似ているように感じました。
Omron Optical系の光学スイッチのようなバチッと鋭い感触、あるいはメカニカルスイッチのカチカチと歯切れのいい感触と比べると、個人的にはやや劣っているように感じてしまいました。
さらに、筆者が受け取った個体は2つとも左右メインボタンにぐらつきが見られました。最近の軽量マウスにしては揺れが大きく、ボタンの感触にも少し影響を与えていると思います。実際に、ボタンを完全に下まで押し込んだときにそのまま指が外側に流れていき、ポストトラベルが実際よりも少し長いように感じてしまいました。
シェルは軽量ながら頑丈に作られており、全体的なクオリティは高いように思えるのですが、唯一メインボタンのみ突っ込まざるを得ない状態でした。
サイドボタン
サイドボタンの固さは普通くらい。プリトラベル・ポストトラベルどちらもはっきりと認識できる程度あります。特に手前側は深くまで押し込めてしまいます。 GPXのようなフニャッとした感触で、Viper V3 Proのようなカチッと詰まった押し心地ではありません。通常使用では困らない範囲ですが気になる方は注意してください。
サイドボタンのみシェルとは異なる素材(ツヤありプラスチック)でできています。人によっては指の腹や指先が引っかかることがあるので注意。ただし、これは他社のマウスでもよく見られますし、単なる好みの問題だと思います。
ホイール
ホイール周りの機構が工夫されているようで、Ninjutsoはこれを「HyperScrollシステム」と呼んでいます。
「スクロールの段階感を明確に」と説明がある通り、いわゆるノッチ感がとてもはっきりとしています。1スクロール単位の正確な操作が行いやすく、VALORANTやCS2のようなホイールにジャンプを割り当てるタイトルと相性が良いように思います。
また驚くべきなのが、上下どちらに回しても感触に一貫性があります。 「従来の設計とは異なり長期使用でも緩まない」と説明がありますが、使い始めて約1ヵ月の時点では感触に全く変化は感じません。もしも本当にこの状態が保たれるのであれば、この設計は素晴らしいと思います。
ただし、ホイールクリックの感触に難あり。とても重くて鈍いので押し込みに相当な力を要します。ゲーム中に咄嗟に押したり、頻繁に押したりするのは難しく感じます。押すたびに手に力が入り、またマウスにも圧が掛かるので、エイムに影響を及ぼしやすいです。
ボタンとホイール周りの調整は詰めが甘いと言わざるをえません。特にホイールクリックに重要なキーを割り当てている人は注意。メインボタンは軽めに調整されているにもかかわらず、ホイールクリックはとても重たく、そのギャップに悩まされる可能性大です。
性能/ソフトウェア
Webドライバーとソフトウェアの両方が用意されており、好みに応じて使い分けられます。
どちらもUIは同じで、とてもシンプルなもの。各機能がとても分かりやすくまとまっていると感じました。
重要な設定項目をピックアップし、このマウスの性能面と絡めつつ解説していきます:
まず「システムモード」 このHighspeedが通常モードで、Competitive これがいわゆる競技用モードです。簡単に言えばバッテリー持ちが約半分になってしまう代わりにレイテンシーが低くなる・性能が上がるものとなっています。
このマウス、バッテリー持続時間がTen 140時間、軽量モデルのTen Air 95時間とかなり長いです。ちなみにTenだと8000Hzの設定でも40時間ほど。一般的な他社の無線ゲーミングマウスの約2倍ほど持ちます。競技用モードをONにしてもバッテリーが長時間持つので、気兼ねなく試せるかと思います。
このマウスに搭載される AIMNINJAセンサーは、PixArt PAW 3950をベースに、最大20%の省電力化を実現したもの。
省電力センサーといえば、LogicoolのG Pro X Superlight 2シリーズなどに搭載される独自開発のHERO 2 センサーが有名ですが、こちらは競技用モードのような機能はありません。NinjutsoはPixArtとの提携により、通常モードでは省電力かつ、必要に応じて性能を重視する競技用モードも選択できるような仕様を採用しています。
さらにマウスの性能面の核となるMCUには、PixArt製のPAR2862QNを採用しています。定番MCUと言えるNordic nRF52840と同程度の性能のものです。
PixArt MCUを搭載したマウスは徐々に増えてきています。以前Ninjutsoとコラボレーションを果たしたVAXEEも過去いくつかのモデルで採用しています。
クリック遅延については、XLATでのレイテンシー測定が不可能だったため、いつものような実測値は出せません。
クリック遅延に関わる機能で「HyperClick」というものがあります。これはクリック信号をPCに送るタイミングを通常より速め、クリック遅延を抑える機能です。Endgame GearがOP1w 4Kというモデルから採用している機能と同等のものです。
こういった機能にはスラムクリックが発生しやすくなるリスクがあるのですが、それを防止する機能も同時に実装されていました。High / Mid / Low 3段階の強度が用意されており、発生の程度に応じてユーザー側で調整が可能です。
筆者の環境では、HyperClick ON、スラムクリック防止機能Middleで完全に動作しています。
LODの設定は3段階で、LowとMediumだけでなくUltra-lowという項目が用意されています。
それに加えて、センサーの角度調整機能(Angle Tune)も搭載されています。
この機能により、「マウスを水平に振っているつもりが斜めに視点が動く」という問題を1発で解決できます。
一見とてもシンプルなソフトウェアですが、FPSプレイヤー向けの豊富な機能を備えています。ここは高く評価できる点です。
まとめ
販売価格は通常モデルTenが14,980円、軽量モデルAirは16,480円。8Kドングル同梱という点を踏まえても”激安”とまではいかないものの、大手メーカーと比べれば明らかに手に取りやすい価格設定といえるでしょう。
このサイズ帯のマウスは意外と選択肢が少なく、ジープロの代わりになりそうな汎用性の高いシェイプ、さらには重量を2パターンから選べるということもあり、かなり試しやすいモデルだと思います。
ただし、気になった点もあります。まずボタンとホイール周りは、個人的には正直うーん…という印象。ホイールスクロール以外はそこまで感触が良いとは感じず、左右ボタンには気になるレベルのぐらつきもありました。数年前のマウスでよく見られた問題が、ここにきて再び見えてしまった点は残念でした。ボタンの質感にこだわりがある人は注意が必要かもしれません。
総じて、細かな気になる点はいくつかあるもの、価格相応の完成度で、形状が良く、さらに重量を選べる点は大きな魅力です。ただ、個人的には最上位ティアではないと感じました。これが現時点での率直な評価です。
























