仕様・スペック
| サイズ | M |
|---|---|
| 形状 | 対称 |
| 幅 | 61.2mm |
| 全長 | 118.4mm |
| 高さ | 38.6mm |
| 重量 | 51g |
| MCU | |
|---|---|
| センサー | Logicool HERO 2 |
| 解像度 | 44,000DPI |
| ポーリングレート | Max 8,000Hz |
| LOD | |
| Motion Sync | 調整不可 |
| ボタン数 | 5 |
| スイッチ方式 | 光学 |
| スイッチ名称 | Omron D2FP-FH1 (Logicool LIGHTFORCE) |
| デバウンスタイム | 0ms (調整不可) |
| クリック遅延 | 0.199ms |
| 接続 | 無線 |
| バッテリー容量 | 300mAh |
| バッテリー持続時間 | |
| 充電端子 | USB Type-C |
| ソフトウェア | 統合型ソフトウェア |
| カラー | ブラック、ホワイト |
|---|---|
| デザイン | 単色 |
| 表面仕上げ | マット |
| 滑りづらさ | B |
クリック遅延
クリック遅延 (1kHz) 比較
クリック遅延 (8kHz) 比較
Logicool G Pro X Superlight 2c レビュー
今回はLogicoolのゲーミングマウス G Pro X Superlight 2c (以下、GPX2c)について詳しく解説します。
レビュー用サンプル提供: Logicool
形状と軽さ
この”c”はコンパクトの略です。つまり、本家”ジープロミニ”がようやく登場したということです。
GPX2と実際に寸法を比較してみると、幅と高さに対して全長が多めに削られており、サイズの違いにはすぐに気づくことができます。
素直な感想としては「思ったよりも小さい」です。ただ、幅が狭すぎず、高さも十分あります。そのため、手が小さい人やつまみ持ち専用とはなっておらず、使い手が限定されないように考えられて調整されているように感じました。
前述の通り、全体的に丸みを帯びたシルエットはGPX2から受け継がれています。
あえて違いを挙げるなら、GPX2cは全長が短くなった影響からか ”くびれ感が強調” されています。そのため、親指の収まりが若干良くなっています。かといってそれが劇的な変化を生むかと言われると、そうでもないように感じました。
GPX2がうまく小型化されている、という印象を受けました。それ以上でも以下でもありません。
また、本体が小さくなった影響で60gから51gへの軽量化も実現しています。
GPX2と約10gも違うとなると、その軽さをすぐに体感できます。操作感の違いはマウスを動かし始めるとき、あるいは方向転換して左右どちらかに切り返すときに特に顕著に感じられます。
ただし、これはあくまで前作と使い比べたときの話です。
現在は、軽量マウスは決して珍しいものではなく、似たサイズ感でも50gを切るものが多数存在します。色々なものを試してきた筆者にとって、このマウスの軽さは決して特別ではありません。
とはいえ、「サイズと重量とのバランスがうまく調整されていること」は高く評価したいポイントです。
マウスの最も優れた重量については人によって意見が大きく分かれるところだと思いますが、個人的にGPX2cは軽さを実感しつつも安定性を欠かずに操作できる適切なバランスに調整されているように感じました。これは内部での重量配分の最適化なども影響していると思います。
当然ながら、サイズが少し小さくなったことで操作感は変わっています。
全長が短めに調整されている影響で、日本人の手の大きさでも手のひらが圧迫されにくいです。手のひらとマウスとの間にゆとりが生まれることで、指先のみでマウスを上下左右に動かすのが容易になり、微調整のしやすさが向上していることを実感できました。これは主にVALORANTのマイクロフリックやリコイルコントロールで役立ちました。
普段から小さなマウスを好んで使う方だけでなく、(筆者のように)GPX2のような少し大きなサイズが手に合うという方も試してみる価値があると思います。
性能
クリック遅延はとても少ないです。(ポーリングレート1000Hz設定時 0.6ms、8000Hz設定時 0.2ms)
クリック遅延
特に、8000Hz設定時のレスポンスの速さは驚異的で、ワイヤレスマウスの中で最速クラスです。
クリック遅延 (8kHz) 比較
このシリーズを手に取ったときに必ずチェックしてほしいのが「LIGHTFORCEスイッチの設定」です。
ロジクールのPRO X 2シリーズには、制御方式をオプティカルとハイブリッドの2パターンから選べる「LIGHTFORCEスイッチ」が搭載されています。
- オプティカルのみ:消費電力が上がるのと引き換えにクリックの反応が最速に
- ハイブリッド(省電力):クリック遅延がわずかに増えるがバッテリー持ちが良くなる
消費電力も増加もそこまで大きくないので、FPSで使用する場合は「オプティカルのみ」に設定してクリックの反応性を高めることをおすすめします。
センサーのパフォーマンスも良好です。以前は、特定のマウスパッドとの相性問題が指摘されていましたが、現行ファームウェアではおおむね改善されています。また、ユーザー側で問題に対処するためのオプションもいくつか追加されています。
バッテリー持ちに関しても他社より優れていると評価できます。前述のLIGHTFORCEスイッチ設定によって多少変動しますが、消耗が激しい「オプティカルのみ」でもポーリングレート1000Hzで最大92時間の連続動作が可能で、ポーリングレートを上げても急激にバッテリー消費が激しくなることはありません。
充電速度も早いので、大半の人が快適に使える可能性大です。
ハードウェア
マウス本体のクオリティは全体的に向上していますが、まだ少し残念な部分も残されています。
シェル
シェルのクオリティについてはGPX2の時点でも高く評価していましたが、今作2cは小さくなった影響からか、さらに頑丈になっているように感じました。シェルのたわみや軋み問題に悩まされることはないでしょう。
底面のレイアウト・マウスソールの形状はGPX2とは少し異なるため、ストックしてあってもGPX2cに使い回すことはできません。
マウスソールのガイド枠の出っ張りが撤廃され、ソール形状に合わせて軽く凹んでいるのみ。これによって操作中にマウスパッドとガイド枠とが擦れることがなくなりました。主に柔らかい布製マウスパッド上での操作性が向上しています。これはとても良い改善点です。
ただし、標準マウスソールは以前と同様、エッジの処理がやや甘く、マウスパッドによっては滑り出しに引っかかりを感じることがあります。この点は前作から気になっていましたし、コミュニティでも同様の意見が散見されるため、改善が見送られたのは残念です。
ワイヤレスチャージャー兼マウスパッドの「Powerplay」との互換性のために取り付けられた裏蓋は、下部ソールの形状に大きな影響を与えています。
このPowerplay自体、非常に小さなサイズしか展開されていません。G PRO Xシリーズのようなプロ向けマウスを選ぶような熱心なプレイヤーの中に、このサイズのマウスパッドを取り入れる可能性がある人はどの程度いるのでしょうか。
個人的には、裏蓋を撤廃して代わりに大きなソールを採用するか、あるいはPowerplay自体に大きなサイズを追加すべきだと思います。
コーティング
見た目上は「G PRO X SUPERLIGHT 2」と同じように見えますが、実際にはシェル表面のグリップ力は改善されています。
前作と比べて少し滑りにくくなっており、ラバーコーティングと同等レベルとまではいきませんが、よくあるものよりも指先が引っ掛かる感じがあります。よほど多く手汗をかかない限りは、十分なグリップ感が得られるのではないかと思います。
ただし、付属のグリップテープは以前と同じ、あまりグリップ力がないもの。個人的には貼らない方が滑りにくいように感じました。
メインボタン
メインボタンはSUPERLIGHT 2と比べると若干柔らかいですが、一般的なマウスの中では普通〜やや硬めの部類に入ります。
クリックは反発感が強く、ON/OFFの切り替わりが明確で、押すたびにしっかりとしたクリック感があります。
そのため、クリック時に荷重がかかり、マウスパッドへわずかに沈み込むことでエイムのブレを抑えやすくなる副次的な効果も感じられます。個人的には、このようなやや硬めで明確なクリック感はVALORANTのような精密なフリックを多用するタイトルに向いていると感じます。
しかし、オーバーウォッチやエーペックスなどでは、マウスを狙った位置で止めるだけでなく、敵を追いかけ続けるトラッキングの動きが必要となります。その場合、クリックが軽いほうが有利だと感じます。
なので、このボタンの感触は好みが分かれやすい部分だと思います。
サイドボタン
ボタンの配置は標準的で、角が丸まっているため指と干渉することはありません。
「G PRO X SUPERLIGHT 2」と比べてプリトラベル・ポストトラベルが若干短く、”フニャッと感”が軽減されています。軽減されたとはいえストロークはまだ少し長いのですが、大分マシです。パキッと詰まったような押し心地を好むなら、これでも気になってしまう可能性はあると思います。
ホイール
ホイールスクロールは硬めで、とてもはっきりとした区切りがあります。SUPERLIGHT 2よりも硬くてハキハキしています。使っているうちに緩んでくる可能性はあるかもしれませんが、少なくとも使っているうちには変化は見られませんでした。
VALORANTやCSでジャンプを割り当てたときのような、正確な操作が求められる場合にうまく機能します。Apexのキャラコンのために頻繁にホイールを回すのには、少し硬すぎるように思います。
さいごに
ようやく登場した Logicool G Pro X Superlight 2c は、ユーザーから熱望されていた小型・軽量化に加え、いくつかの改良や新機能の追加により、前作からの進化を感じられる仕上がりとなっていました。
ただし、今の市場は異常なスピードで進化しています。そのなかで「この2cが最先端か?」と問われると、そうだと言い切るのは難しいのも事実です。
クリック遅延・バッテリー持ちといったロジクールらしい強みは健在で、ここに関しては他社よりも優れているという評価ができる一方で、明確に劣る箇所もありますし、全方位でトップと言えるほどの圧倒的な差はありません。
また、個人的に気になったのは小型化による競合の増加です。
GPX2のようなやや大きめのサイズでは、そもそも競合が少なく、形状に賛否はあれど「唯一無二」の座を確立していました。GPX2には、そういった“立ち位置の特別感”があったと思います。
それに対してGPX2cのサイズ感だと、代わりになりそうなマウスというのが普通に存在します。(たとえば、ATK F1 Extreme や Pulsar X2 CrazyLight など)
2018年にロジクールから発売されたG PRO WIRELESSは衝撃でした。あの時代に穴無し80gであれほど品質が安定したワイヤレスマウスは他にありませんでした。
しかし現在はあの頃とは違い、プロレベルの軽量ワイヤレスは色々なメーカーが当たり前にやってくる時代なので、GPX2c一強という状況にはならないでしょう。
とはいえ、これは決して悪いマウスではありません。ゲーミングマウスに求められる多くの要素をハイレベルでまとめ上げており、プロ向けマウスに相応しい仕上がりで間違いありません。「驚くほどの軽さ」や「形状の斬新さ」を求める人には刺さらないだけで、とても堅実な選択肢といえます。
特に「GPX2が少し小さくなればいいな」と感じていた人にとっては、非常に満足のいくものだと思います。
以上、ミオニでした。バイバイ。
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