「FinalMouse Starlight-12 Phantom M」レビュー。とにかく軽量でバッテリー持ちに優れる希少性の高いゲーミングマウス
本稿では、FinalMouseのゲーミングマウス「FinalMouse Starlight-12 Phantom M」のレビューをお届けします。
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この製品について
Starlight-12 Phantomは、FinalMouseが数量限定で販売するStarlight-12シリーズの1種で、限定25,000個販売されました。シリーズはどれも即完売で、フリマアプリ等ではプレミア価格で取引されています。 *筆者は入手できておらず、今回のレビュー機はお貸し出しいただいたものになります。
Starlight-12シリーズはSmall, Mediumの2サイズ展開となっており、手の大きさや持ち方に合わせてユーザー側で選択できます。両サイズともに40g台と超軽量で、バッテリー容量は250mAhとそこまで高くないものの、徹底した省電力設計により連続160時間の動作に対応します。
トップシェル・サイドシェルにはマグネシウム合金を採用し、シリーズごとに異なる柄をあしらうなど、既存のゲーミングマウスには見られない仕様もプレミア要素の一つとなっているように感じます。これらが実際にどのような操作感をもたらすのか、本稿で詳しくチェックします。
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製品仕様とスペック
カラー | 6種類 | 表面 | マグネシウム合金 |
---|---|---|---|
形状 | 左右対称 | サイズ | 124.2 × 66.8 × 38.2mm |
本体重量 | 47g | ボタン数 | 5つ +DPIボタン |
センサー | Finalsensor | 解像度 | 400, 800, 1600, 3200DPI |
最大加速度 | – | 最大速度 | 450IPS |
レポートレート | 1000Hz | LoD | – |
デバウンス | – | バッテリー | 最大160時間 |
接続方式 | 2.4GHz | ケーブル | Micro-USB |
スイッチ | Kailh GM 8.0 | エンコーダー | – |
ソール | PTFE | ライティング | 非搭載 |
ソフトウェア | 不要 | メーカー保証 | – |
バリエーション
Starlight-12は、Pegasus(白金)・Phantom(黒青)・Achilles(金銀)・Ares(赤銀)・Hades(黒金)・Zeus(銀金)の6色に加え、それぞれSmall・Mediumの2サイズを展開しています。
価格はすべて189.99ドルとなっています。
パッケージと内容物
Starlight-12 Phantom Mのパッケージは上蓋を開けるだけのシンプルなデザインになっています。
パッケージの内容物は以下の通りです。
- Starlight-12 Phantom M マウス本体
- Micro-USB to USB Type-A ケーブル
- ワイヤレスレシーバー
- 取扱説明書
パフォーマンス
接続とバッテリー
接続方式
Starlight-12 Phantom Mは2.4GHzワイヤレス接続に対応しています。
付属のワイヤレスレシーバーとケーブルを繋ぎ合わせた状態でPCに接続し、マウス本体底面のスイッチを切り替えることで動作します。マウスとUSBドングルとの距離を近付けた状態で使用できるので安心です。
ワイヤレス接続時の通信は安定しており、長時間の動作においても問題は見られません。
バッテリーと充電
Starlight-12は最大160時間の連続動作に対応しています。搭載されているバッテリーは250mAhと容量は少ないながらも、より大容量なバッテリーを搭載した競合製品よりも長い持続時間を誇ります。
SoCには省電力なNoldic NRF52840を、センサーは独自に調整されたFinalsensorを採用し、ファームウェア側で電力効率を最適化することで、消費電力を下げる工夫がされているようです。
マウスを動かさないまま一定時間経つとスリープモードに移行するため、余計なバッテリー消費は防ぐことができます。
付属のパラコードケーブル(レシーバー接続用と兼用)で充電しながら使用することができます。端子はMicro-USBなので注意すること。
ビルドクオリティ
Starlight-12 Phantom Mのビルドクオリティは優れています。
トップシェル・サイドシェルには、実用金属の中で最も軽いとされるマグネシウム合金を使用しています。表面処理・加工に高い費用が掛かるものの、軽量かつ耐久性に優れる素材です。
ボトムシェルにはワイヤレス信号を逃がすためにULTEM(ポリエーテルイミド)が採用されています。
グリップしたときに軋んだりカタつくことはなく、本体を激しく振っても音は鳴りません。
スイッチは適切に取り付けられており、それぞれのフィーリングに違和感はありません。ホイールは反応性にやや難を抱えており、既にFinalMouse公式Discordサーバーで修正版のファームウェアがリリース済み。
グリップ性能
Starlight-12 Phantom Mのグリップ性能は低く、力の入れ具合によってはとにかく滑ります。
表面はサラッとした手触りで、室温によってはひんやりとします。メインボタン・両サイドを指先でグリップする場合は特に滑りやすい印象です。シェルに描かれた模様の凹凸は気にならない程度です。
個人的にはグリップテープを貼って対策するのは気が引けます。マグネシウム合金の質感や、独創的なデザインが隠れてしまうので…。
サイドシェルは肉抜きされているので、穴あきマウス特有の手触りが苦手という方は注意。
触った部分には跡が残りづらく、汗や皮脂による汚れは目立ちづらいです。
本体重量
公称値は47g(Smallは42g)、実測値は47.gでした。
同等なサイズ感の無線ゲーミングマウスの中では最も軽いです。他社製の最軽量モデルは60g前後となっています。(例:Logicool G PRO X SUPERLIGHTが63g、Razer Viper V2 Proが58g)
* 無線接続のゲーミングマウスは充電式バッテリーを内蔵するため、有線接続のマウスよりも重たくなる傾向にあります。Starlight-12 Phantom Mは250mAのバッテリーを内蔵し、最大160時間の連続動作を可能としています。
重量バランス
Starlight-12 Phantom Mの重心は中心に調整されています。
大半のゲーミングマウスは、これと同じように重心が真ん中に調整されています。操作時に違和感が生じることはなく、重量バランスは適切に調整されていると言えます。
形状と大きさ
Starlight-12 Phantom Mは、FinalMouseが設計したオリジナル形状の左右対称ゲーミングマウス。
寸法は121.0 × 56.5 × 36.5mmで、小~中サイズに分類されます。筆者が確認する限りでは、FinalMouse Ultralightシリーズとほぼ同じ形状のように見えます。
横から見ると全体的に平べったく、本体後部はかなり背が低めに設計されています。傾斜の作り方はZowie FKやRazer Viperに近いですが、角度の付け方がうまく、つかみ持ちでは手のひらへのホールド感がやや強めに得られるのが特徴。
両サイドは程よい窪みがあります。これは無難なものといった印象で、どこに指先を配置しても違和感が出づらいものの、強いフィット感が得られるものではないです。
左右メインボタンは中央が若干窪んでおり、指を寝かせても立てても多少のフィット感が得られます。
一般的なMediumよりやや小さめに設計されており、平均的な手の大きさではつかみ持ち・つまみ持ちに適した形状のように思えます。
形状を8方向からチェック
持ち方の相性
代表的な3種類の持ち方 かぶせ持ち・つかみ持ち・つまみ持ち との相性をチェック。
筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があります。
かぶせ持ち
かぶせ持ちとの相性は悪くありませんが、そこまでフィット感は得られません。また、手が小さめの方向けで、筆者のような平均的な手の大きさでは窮屈に感じます。
両サイドはそれなりに指に張り付くような感覚が得られますが、全体的に平べったいこともあり薬指と小指がやや窮屈です。また、本体後部の背が低めに設計されているので、手のひらへのホールド感に欠けます。
これらのことから、グリップする角度・深さを調整しづらく、うまくフィットする持ち方を見つけづらいです。左右メインボタンは指に沿うように中央が窪んでいるので、多少のフィット感が得られます。
サイドボタンやホイールの配置は適切で、それぞれに指が届きやすく、無理なく押し込むことができます。
つかみ持ち
つかみ持ちとは相性が良いです。サイズ感は万人向け~やや小さめといったところで、筆者のような平均的な手の大きさでうまくフィットします。
本体後部は低めに設計されていますが、角度の付け方がうまく、手のひらへのホールド感がそれなりに得られます。また、手のひらのどの部分で支えるかを調整しやすいです。
両サイドは程よく窪んでおり、どこに指を配置しても干渉しづらく、グリップする角度や深さを調整しやすいです。それなりにフィット感も得られます。
左右メインボタンは指に沿うように中央が窪んでおり、指先を置く位置が定まりやすいです。
ボタン配置については、よほど深めにグリップしない限り、両方のサイドボタンに指が届きます。ホイールの配置も適切で、自然にアクセスできる位置にあります。
つまみ持ち
つまみ持ちとも相性が良いです。やや本体幅が広めに設計されているため、手の幅や指の長さによっては指の関節の曲げ具合がちょうどいい塩梅になり、安定感が増す可能性があります。
両サイドは本体後部の膨らみを除けばほぼ水平になっているので、どこに指先を配置してもマウスを固定しやすく、グリップする深さを調整しやすいです。付属のグリップテープを貼り付けると、より指先が滑りづらくなります。
全長は約124mmと長すぎないので、マウスと手のひらの間に十分なスペースを確保できます。これにより、指の関節を使ってマウスを上下に動かすときの可動域が広く確保できます。これよりも背が低く全長が短いマウスもたくさん存在するため、つまみ持ち向けの設計とまでは言えません。
本体重量47gと軽めに設計されているので、指先や手首での操作も軽々と行えます。また、左右メインボタンの中央に設けられた窪みにより、指先を置く位置が定まりやすいです。
浅めにグリップした際も両方のサイドボタンに指が届きやすく、ホイールの配置も適切で、どちらも容易にアクセスできます。
メインボタンやサイドボタンに指を配置したとき、指先がかなり滑りやすく固定しづらいので、手汗の量が多い方は避けた方がいいでしょう。
スイッチ
メインボタン
メインボタンにはKailh GM 8.0が搭載されています。主に海外コミュニティで高い評価を受けるマイクロスイッチで、最近ではあらゆるマウスに標準搭載されるようになりました。跳ね返りの強さ・歯切れの良さが特徴となります。
押し心地はやや固め。シェルにマグネシウム合金が採用されているため、一般的なマウスと比べてかなり鋭い押し心地・クリック音となっています。とても歯切れが良く、跳ね返りの強さも適切です。ストロークは短く調整されており、押下時の感触がしっかりと指先に伝わります。
どの角度で押し込んでも軋みやカタつきはなく、とても安定したフィーリングです。
メインボタンが分離したセパレートタイプで、押し込む場所によるクリック感の変化が抑えられています。手前側にいくにつれて押下圧と跳ね返り感が若干増しますが、大半のゲーミングマウスよりも変化が少なく、かなり手前側でも問題なく押し込めます。
ゲームでのパフォーマンスは良好で、FPSにおけるバースト・タップ撃ちの両方を高い精度で行えます。しかし押し心地が固く、力んだときに指先が滑りやすいことも相まって、つまみ持ちではやや苦戦する印象を受けます。
サイドボタン
サイドボタンはやや小さめですが、本体からしっかりと飛び出しています。親指側のエッジは面取り加工がされていて、親指をスライドさせても引っ掛かるような感覚はありません。
やや奥側に寄っているようにも見えますが、配置は適切です。かなり浅めにつまみ持ちする場合を除いて、両方のボタンに指が届きます。
押し心地はとても柔らかく、とても軽い力で押し込むことができます。とても歯切れが良く、押下時の感触が指に伝わりやすいです。
FPSなどでキャラクター操作に関わる重要なキーを割り当ててもうまく機能します。ただし、親指が常にサイドボタンに掛かるような持ち方では、誤クリックしてしまう可能性があります。
ホイール
ホイールは本体からあまり飛び出しておらず、やや背が低いです。ホイールリングには模様が描かれていますが、指で触ったときに凹凸感がほぼ感じられません。転がしづらいとまでは感じませんが、やや指に引っ掛かりづらいです。
やや鈍めの回し心地で、弱めのノッチ感があります。それなりに分離感が感じられ、1ノッチ単位の細かな操作、連続したスクロールのどちらも行いやすいです。
非常に細かい部分ではありますが、ホイールが真ん中から少しだけズレている個体が多いようで、レビュー個体はやや右に寄っています。操作感には特に影響ありません。
ホイールクリックは柔らかめで、カチッと軽快な音が鳴ります。とても押しやすいのですが、指先に力が入りがちな方だと、ホイールに指を伸ばしたときに誤作動してしまう可能性があります。
センサー
Starlight-12 Phantomは、FinalMouseが独自に調整したセンサー「Finalsensor」を搭載しています。バッテリー持続時間を高めるために電力消費が抑えられており、最大トラッキング速度450IPSとスペックも高め。
DPIは400, 800, 1600, 3200の4段階で、ホイールの下に搭載されたスイッチを押すことで切り替えられます。
例のごとく、Mouse Tester (xCount, xSumの2種)でセンサー性能を検証。DPIは400, 800, 1600, 3200で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「PureTrak Talent」上でテストを実施しました。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。
MouseTester: xCounts
MouseTester: xSum
xCounts, xSumともに正確で、実際のセンサー挙動にも問題は見られませんでした。また、『Apex Legends』『VALORANT』でのプレイテストも実施しており、同様の結果が得られました。
Finalsensorは省電力ながら安定したパフォーマンスを発揮し、通常使用において一切問題は見られませんでした。
* パッケージに付属する延長アダプタを使用し、マウスパッドの端までUSBドングルを近付けた状態で検証しています。
センサー配置
Starlight-12 Phantomのセンサーはマウス本体のやや後ろ側に配置されています。真ん中のようにも見えますが、マウス先端が1センチほどくり抜かれていること、実際にグリップしたときのセンサー位置を考慮すると、やや後ろ側と言えると思います。
センサー配置の違いによって、手首を軸にしてマウスを動かしたときのカーソル移動量に差が出ます。一般的には真ん中に配置されているものが最も多いです。
* センサー配置によって、手首を軸にして弧を描くようにマウスを動かしたときのカーソルの可動域が異なります。センサーがフロント側に寄っているほど手首の動きを細かく捉え、水平方向へのカーソルの可動域が広くなります。
マウスソール
独自形状のマウスソールが四隅に4枚貼り付けられています。材質はPTFEです。
エッジは緩やかな角度がつけられていますが、処理部分の背が低いので、滑走面が粗かったり中間層が柔らかいマウスパッドと組み合わせると干渉する可能性があります。
操作感は可もなく不可もなくで、いたって普通のPTFEソールという印象です。滑走速度はそこまで速くなく、適度な抵抗感も感じられる、バランスの取れたタイプ。
結論とターゲット
「FinalMouse Starlight-12 Phantom M」について詳しく見てきました。本体重量47gと非常に軽いものの、バッテリー消費を抑える独自の調整により、決して大容量とは言えない250mAhのバッテリーで最大160時間の持続時間を実現しています。遅延もなく安定した動作、センサー挙動も問題ありません。ワイヤレスマウスとして非常に優れたスペックを備えています。
また、Starlightシリーズはサイズを選択できます。このMサイズは万人向けのマウスと比べて若干小さめの造りとなっており、基本的にはつかみ持ち・つまみ持ち向け。それなりにフィット感を得られながらも干渉しづらいシェイプなので、小型マウスを好む層に刺さりそうです。
トップシェル・サイドシェルにマグネシウム合金を採用し、軽量かつ頑丈に造られています。ビルドクオリティは良好で、グリップ時に軋んだりカタつくことはありません。操作感には影響を及ぼしませんが、ホイールがやや右寄りに取り付けられています。
金属シェルが採用されていることもあり、他のマウスにはない鋭く歯切れの良いクリック感が味わえます。押し心地がやや固くはあるものの、ゲームでのパフォーマンスは良好です。マウス表面が滑りやすいことも相まって、つまみ持ちでは安定性に欠ける印象です。
結論として、とにかく軽いワイヤレスマウスを求めている方にとっては非常に魅力的なゲーミングマウスです。既存ワイヤレスマウスと比べてバッテリー持ちもよく、とても利便性が高いです。しかし、クリック感の堅さ、グリップ性能の低さは懸念すべき点となります。また、このシリーズは数量限定で販売されるため入手が非常に難しく、価格も高いので、費用対効果の面では評価し難いです。
総合評価3.5 out of 5.0 stars
干渉しづらい形状
安定性の高い通信 / 延長アダプタ付属
最大160時間持続するバッテリー
本体重量47gと超軽量
重量バランスは良好
非常に歯切れの良いクリック感
軽い力で押し込めるサイドボタン
適度に分離感のあるホイール
高精度かつ安定したセンサー
標準的なマウスソール
メインボタンのクリックが固い
ホイールが右寄りに実装されている
数量限定販売で入手性が低い
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以上、FinalMouseのゲーミングマウス「FinalMouse Starlight-12 Phantom M」のレビューでした。
youtubeでも見たのですがposeidonを含めて7種類ではないでしょうか?