「ninjutso Origin One X」レビュー。IE3.0のシェイプを中サイズで再現した、わずか66gの超軽量ワイヤレスマウス

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「ninjutso Origin One X」レビュー。IE3.0のシェイプを中サイズで再現した、わずか66gの超軽量ワイヤレスマウス

本稿では、ninjutsoのゲーミングマウス「ninjutso Origin One X」のレビューをお届けします。

レビューサンプル提供: Ninjutso

ninjutso Origin One X
価格:11,580円(執筆時点)  ふもっふのおみせ

ファーストインプレッション

IE3.0 (=Pro IntelliMouse) の形状を忠実に再現しつつ、日本人にも馴染みやすい中サイズに調整されたゲーミングマウス。ワイヤレスかつソリッドシェル採用ながら、わずか66gの軽量設計であることも魅力。

バッテリー持続時間が最大48時間と、主流マウスと比べてやや非力。またマイクロスイッチはコミュニティ間で高い評価を得ているKailh GM 8.0を採用しているのに対し、センサーはPixArt PAW3335。ここがPAW3370ならば、より高く評価できたように思います。

致命的な欠点はありませんが、好みが分かれるポイントとして、主流マウスと比べてクリック感が固いことと、グリップ性能は十分ながら手にぺたぺたと張り付くコーティングの2点が挙げられます。

79.99ドルにしては充実した仕様となっており、まだまだ選択肢が少ない超軽量ワイヤレスマウスの中でも、ソリッドシェルのIE3.0クローンを探している方は現状これがベストかと思います。

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製品仕様とスペック

カラー ブラック 表面処理 マットコーティング
形状 左右非対称 サイズ 58.0 × 121.4 × 39.9mm
本体重量 66g ボタン数 5つ
センサー PixArt PAW3335 解像度 最大16,000DPI
最大加速度 40G 最大速度 400IPS
レポートレート 1,000Hz LoD 実測値1.0mm
プロセッサ オンボードメモリ
接続方式 2.4GHz / 有線 バッテリー寿命 48時間
マウスソール PTFE ケーブル パラコードケーブル
スイッチ Kailh GM 8.0 エンコーダー
ライティング 非搭載 ソフトウェア 不要
メーカー保証

パッケージと内容物

内容物は Origin One X本体、USBドングル、充電用USB-Cパラコードケーブル、USB-A to USB-C変換アダプター、予備マウスソール1セット、取扱説明書。

パフォーマンス

接続とバッテリー

Origin One Xは付属のUSBドングルによる2.4GHzワイヤレス接続に対応しています。ドングルをPCに接続後、マウス本体底面の電源スイッチをONにすると動作します。ソフトウェア不要のプラグアンドプレイ設計です。

付属の充電用ケーブルと延長アダプターを組み合わせることで、USBドングルをマウスに近付けて使用することができます。

バッテリー持続時間は最大48時間で、1日10時間のプレイと仮定すると約5日間持ちます。バッテリー容量は大手メーカー製のワイヤレスマウスに劣りますが、USB-Cによる急速充電に対応しており、数十分の充電で1日分のバッテリーを確保できるため、不便には感じません。

USBドングルは本体に格納することができないので紛失しないよう注意しましょう。

ケーブル

充電用ケーブルはパラコードになっています。やや固めで芯が残っているので、取り回しづらくはありますが、充電中もそれなりに快適に使用できます。

ビルドクオリティ

Origin One Xのビルドクオリティは良好です。ソリッドシェル採用でわずか66gの軽量設計ということもあり、各部を強い力で押し込むと少し軋むことがありますが、通常使用において一切問題はありません。

スイッチやホイールは適切に取り付けられており、各部のフィーリンクに違和感は無く、本体を激しく振っても音が鳴ることはありません。

本体重量

公称値は66gで、実測値は66.5gと差はほとんどありません。

このサイズ感かつソリッドシェル採用で66gは非常に軽い部類であると言えます。ただしバッテリー容量は他社製の主力ワイヤレスマウスに劣るので、そういった部分も影響しているでしょうか (フル充電で最大48時間)。

グリップ性能

Origin One Xの表面にはマットコーティングが施されています。ラバーに近いようにも思える独特な質感で、手が乾いていたり軽く油分を含んだ状態では強いグリップ性能が得られ、多く手汗をかいた状態では滑りやすいです。グリップ性能自体は悪くありませんが、手にぺたぺた張り付くのが不快に感じる人もいるかもしれません。

他社製マウスのマットコーティングと同様、触った部分に跡が残りやすいです。

形状と大きさ

中サイズの左右非対称ゲーミングマウスで、寸法は58.0 × 121.4 × 39.9mm。

このマウスのベースとなっているIE3.0といえば、同系統のゲーミングマウスの中でもかなり大きな部類ですが、Origin One Xは日本人にも馴染みやすい中サイズとなっています。

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手前側には大きな膨らみがあり、親指の指先を配置するあたりが深く窪んでいます。同系統のマウスと比べても窪みが深いので、マウスに対して真っすぐ握り込むよりも、親指がフィットする角度を基準に、やや斜めにグリップするのに適した形状となっています。

右サイドは薬指と小指を這わせられるカーブがあり、指先を置く先端あたりはわずかに窪んでいます。

横から見ると真ん中あたりが最も背が高く、先端や後部にかけて急な勾配となっているため、手全体を接地させたときに短いと感じづらいです。

Pro IntelliMouse (IE3.0) との比較

Pro IntelliMouse (IE3.0と同形状) との比較。手の形に沿うように作られた両サイドのカーブから、両メインボタンに存在する人差し指と中指のガイドとなる僅かな窪みまで、IE3.0の形状がかなり忠実に再現されています。これぞIE3.0クローンといった感じ。

名称 ninjutso Origin One X Microsoft Pro IntelliMouse BenQ ZOWIE EC2 BenQ ZOWIE EC1
58.0 69.0 64.0 69.0
全長 121.4 132.0 120.0 128.0
高さ 39.9 43.0 40.0 43.0

それぞれの寸法を比較してみると、Pro IntelliMouse (IE3.0) はEC1よりもさらに寸法が大きいのに対し、Origin One XはEC2と近いサイズ感であることが分かります。最近ではIE3.0クローンも中サイズが主流となっているため、現代向けに調整してきたといったところでしょうか。

持ち方の相性

代表的な3種類の持ち方 かぶせ持ち・つかみ持ち・つまみ持ち との相性をチェックします。

筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があります。

かぶせ持ち

かぶせ持ちとは非常に相性が良いです。各部の膨らみや窪みがハッキリとしたIE3.0の形状が忠実に再現されており、強いフィット感を得られます。いわゆるIE3.0クローンは数多く存在しますが、それら大多数よりもピッタリと手に張り付く感覚が強いです。

サイズ感に関しては、日本人に馴染みやすい中サイズとなっています。大サイズの本家よりも万人向けであると言えます。筆者の手の大きさではちょうど良く、手首を浮かせるかマウスパッドに接地させるかを選べます。

つかみ持ち

つかみ持ちとも相性が良いです。IE3.0の形状がベースとなっているため、かぶせ持ちと同様にどの部分も干渉せず、自然なフォームのままグリップすることが可能です。

IE3.0クローンと呼ばれるこの手の形状は、後方から見たときに左右に急な角度がついているため、マウスに対して若干斜めにグリップすることを強制されがち。左右対称マウスとはフィーリングが少し異なるので注意。

つまみ持ち

つまみ持ちとは相性が良くありません。親指側の窪みがやや奥側にあるので、深めにつまむことを強制されます。そうなるとマウス本体と手のひらの間に十分なスペースが生まれず、指の関節を使ってマウスを下方向に動かすときに本体後部が手のひらと干渉してしまいます。浅めにグリップすることができるマウスでは、指の関節を使ったエイムの可動域がより広がります。

詳しくは後述しますが、Origin One Xはセンサーがややフロント寄りなので、深めにグリップしても手首でのマウスの可動域が広いです。つまり、つまみ持ちよりもやや深めにグリップするつかみ持ちでも、一般的なセンサー配置のマウスをつまみ持ちで動かしたときに近いセンサー挙動を実現できます。

指をべったりと寝かせて固定する方法では違和感なくグリップできます(が、そもそもつまみ持ちの利点を活かせないので、そのような持ち方はあまり推奨していません)。

スイッチ

メインボタン

マイクロスイッチにはKailh GM 8.0を採用しています。海外コミュニティでは高く評価されており、筆者個人としても好みではあるものの、広く普及している大手メーカーの主要マウスは軽いスイッチを採用する傾向にあり、それらと比べると固いので注意すること。

やや固めではあるものの無駄な遊びが無く、くっきりとした感触があり、跳ね返りの強さも適切です。タップ撃ちと連打の両方をこなしやすいです。

クリック箇所による押し心地のムラはほとんどありません。また、セパレートになった全体がクリック可能で、根本はやや詰まったような押し心地になるものの、ホイールより約1cmほど手前側でのクリックにも最適化されています。

サイドボタン

サイドボタンは、セパレートになったメインボタンの継ぎ目に沿って並んでいます。配置は適切で、ちょうど親指の上側にくるので、両側のボタンに指が届きます。中央部分が盛り上がったような形状になっており、親指をそのまま上側にスライドしてもボタンのエッジが干渉しません。

押し心地は固すぎず柔らかすぎず、やや長めのストロークに高めのクリック音もあり、ややチープなようにも感じられますが、決して押しづらくはありません。

ホイール

ホイールはメインボタンから十分に飛び出していてアクセスしやすいです(本家IE3.0のホイールはメインボタンからほとんど飛び出していません)。水平方向に切り込みが入ったリングは、十分なグリップ感が得られます。

ノッチ感が強く、ハッキリとしたフィードバックが得られます。1ノッチ単位の細かな動作と高速スクロールの両方で分離感が感じられます。

ホイールクリックはちょうどいい固さで押しやすく、跳ね返りの強さも適切です。ちなみに、真下に押し込むだけではなく、ホイールを右側に倒すように押し込んでも押下されます。これは本家IE3.0もそのような仕様なので、内部設計を寄せたのだと思われます。

センサー

Origin One Xのセンサーは「PixArt PAW3335」。無線ゲーミングマウスによく用いられる省電力センサーで、それなりの性能を有していますが、比較的安価なマウスにも搭載されています。主なスペックは最大16,000DPI、最大加速度40G、最大速度400IPS。

例のごとく、Mouse Tester (xCounts, xSum) とインゲームでの検証でセンサー挙動をチェックします。DPIは400, 800, 1600, 3200で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「PureTrak Talent」上でテストを実施しました。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。

MouseTester: xCounts

MouseTester: xSum

xCounts, xSumのどちらも極めて安定しています。センサー調整は適切であると言えます。

センサー配置

センサー配置は若干フロント寄り。全長が1cm以上も異なるPro IntelliMouseと本体後部を揃えて並べたときにセンサーが同じ位置にきます。

センサーがフロント側に寄っていると、手首を軸にしたカーソルの可動域が広がります。コミュニティの間では良しとされていますが、一般的なセンサー配置のマウスから乗り換えたときにフィーリングが変わるので注意すること。

リフトオフディスタンス (LoD)

マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。使用するマウスパッドによって数値が変動する可能性があります。

リフトオフディスタンスが長すぎると、マウスを大きく振ったあと、元の位置に戻すために持ち上げたときにカーソルが余分に動いてしまい、ゲームプレイ中の精密な操作を妨げてしまいます。個人的には1.5mm以下なら〇、1mm前後であれば◎。

「PureTrak Talent」上で計測した結果、Origin One Xのリフトオフディスタンスは1.2mmでした。十分に短い数値が出ています。

マウスソール

独自の形状にカットされたソールが合計3枚 (上1、下2)。材質はPTFEで厚さは0.65mm。

それなりに滑りやすいですが、エッジはやや処理が甘いので、中間層のスポンジが柔らかいマウスパッドとの組み合わせでは、沈み込んだときに側面が触れてしまい引きずり感が発生します。

予備が1セット付属しています。また、IE3.0用の楕円形ソールを貼り付けることもできます。

結論とターゲット

「ninjutso Origin One X」について詳しく見てきました。新興メーカーの第1作ながら、ソリッドシェルでわずか66gの超軽量ワイヤレスマウスであることや、USB-C急速充電、Kailh GM 8.0スイッチを採用するなど、コミュニティの声をそのまま反映させたような仕様となっています。

多くのゲーミングマウスを生んだIE3.0のシェイプを忠実に再現しつつ、日本人に馴染みやすいであろう中サイズに調整されています (本家IE3.0は特大サイズですが、Origin One Xは中サイズでZOWIE EC2に近いです)。あらゆる持ち方に対応する「G PRO X SUPERLIGHT」とは異なり、膨らみや窪みが深めに作られているため、特定の持ち方で強いフィット感が得られます。

他社製の主流なワイヤレスマウスと比べてセンサーがやや非力ですが、実用上問題はありません。ただ欲を言えば、若干価格を上げてでもPixArt PAW3370を搭載していてほしいとは感じます。またバッテリー持続時間が最大48時間とやや短いですが、こちらもUSB-C急速充電に対応しているため利便性を欠きません。

また、主流のワイヤレスマウスには軽いクリック感のものが多い中、Kailh GM 8.0はフィーリング重視のスイッチで、押し心地自体は固めなことには注意。クリックの軽さを重視する人にとっては好みが分かれるものとなっています。

公式サイトでの販売価格は79.99ドル(+送料)。日本からの購入だと諸々込みで約1万円ほど掛かりますが、その追加分を考慮しても十分に満足できるものであると言えます。

総合評価4.5 out of 5.0 stars

 忠実なIE3.0クローン
 馴染みやすい中サイズ
 ワイヤレスかつソリッドシェルで66gの軽量設計
 十分なビルドクオリティ
 ハッキリとしたクリック感
安定したセンサー
 十分なグリップ性能のコーティング
十分な品質のソール
 USB-C急速充電に対応
79.99ドルと価格が安い (日本から買うと送料込みで約1万円に)
 主流マウスと比べて左右クリックが固め
 ソールはエッジの処理が甘い
 バッテリー持続時間はやや短い
 表面に手がぺたぺたと張り付くのは好みが分かれそう

ninjutso Origin One X
価格: 11,580円 (本稿執筆時点)

以上、ninjutsoのゲーミングマウス「ninjutso Origin One X」のレビューでした。

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この記事を書いた人

ミオニ
eスポーツ向け ゲーミング周辺機器のレビュアー
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かびごん

Origin One Xを購入し使用してみているのですがミオニさんが仰っていた通りマウスソールの沈み込みが少し気になります。そこで新たにマウスソールの購入を検討しているのですがこのマウス用のおすすめはありますか?ありましたら教えていただけると嬉しいです。
ゲームは主にValorantをプレイしておりマウスパッドはArtisan FX ZeroのXsoftを使用しています。