「SteelSeries Aerox 3 Wireless」レビュー。完成度が高い66gの軽量ワイヤレスマウス
本稿では、SteelSeries(スティールシリーズ)のゲーミングマウス「SteelSeries Aerox 3 Wireless」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: SteelSeries Japan
製品仕様と外観
ゲーマーにとって”マウスを無線化すること”のメリットは多く、「〇〇のワイヤレスが出たら買う」といった発信もよく見かけます。また、軽量設計であることが業界のスタンダードとなりつつあり、多くのユーザーがワイヤレスかつ軽いマウスを求めています。
今回はSteelSeriesから発売された「Aerox 3 Wireless」をチェック。特徴は2.4GHz/Bluetoothのデュアルワイヤレス接続に対応しつつ、ハニカムシェル採用で本体重量わずか66gという点。先日発売された「Rival 3 Wireless」の軽量版という位置付けです。早速見ていきましょう。
Aerox 3 Wirelessは、6ボタンを搭載する左右対称ゲーミングマウス。
本体カラーはブラック1色、表面はマット仕上げのプラスチックです。ザラつきのある乾いた材質で、触った部分に跡がつきづらいです。ただし手汗をかくと防滑性が著しく失われます。
本体は派手に肉抜きされていますが、IP54準拠の「Aqua Barrier保護」により耐久性が確保されています。直接の水洗いなどは不可能で、「水の飛沫による影響を受けず、粉塵が内部に侵入することを防止し、若干の侵入があっても正常に動作する」とのこと。
形状を4方向からチェック。「Rival 3」と全く同じ形状で、ハニカムシェル採用により大幅に軽量化を実現したモデルです。つかみ持ちやつまみ持ちに適したシェイプ。
寸法は67.00 x 120.60 x 37.90mmで中型~小型に分類されます。やや小さめのサイズ感です。
本体重量は公称値66g、実測値68.2g。有線モデル「Aerox 3」との差はわずか9gだけ。
PixArtと共同開発の SteelSeries TrueMove Airセンサーを搭載しています。主なスペックは200~18,000DPI(100刻み)、最大加速度40G、最大速度400IPS。
初期DPIは400/800/1200/2400/3200の5段階で、ホイール下部のスイッチから切り替えられます。
接続方法は2.4GHzワイヤレスとBluetoothの2種類で、本体底面のスイッチから瞬時に切り替えられます。バッテリー持続時間は、2.4GHzワイヤレス接続時に最長80時間、Bluetooth接続時に最長200時間。また充電中、有線マウスとして使用することも可能です。
注意点として、ドングルはUSB Type-Cなので、主流のUSB Type-Aで接続する場合はアダプターとケーブルを経由する必要があります。ドングルとマウス本体はなるべく近づけておく方が好ましいので、そこまで大きな問題ではありません。
SteelSeries製デバイスの統合ソフトウェア「SteelSeries Engine 3」に対応しており、DPIやポーリングレート調整、ボタン割り当て、加速/減速、アングルスナップ、ライティングなどの設定が可能。
パフォーマンス
持ち方の相性
Aerox 3はやや小さめのサイズ感で、つかみ持ちやつまみ持ちに適した形状です。一見するとシンプルな左右対称ゲーミングマウスですが、理にかなったシェイプとなっています。
本体後部はお尻から3~4センチほど急な勾配がつけられていますが、幅が狭まるあたりから緩やかになっています。この急な勾配となった部分はつかみ持ちでグリップするときに手のひらが触れるポジションで、ここにしっかりと角度をつけることで安定感が生まれます。
またサイドのシェイプに着目すると、本体後部は幅が広がっており、中央から先端はほぼ水平となっています。深めにグリップするつかみ持ちでは指先が水平なポジションに、浅めにグリップするつまみ持ちでは角度のついた部分に小指を引っ掛けられるなど、左右対称ながら無駄がありません。
これらを踏まえたうえで、一般的な持ち方3種類との相性をチェック。筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があることを前置きしておきます。
かぶせ持ち
かぶせ持ちは相性が悪いです。本体が小さすぎるのも理由の一つですが、薬指と小指を不自然な角度で折り込む必要があり、自然にフィットするポジションを見つけられない可能性が高いです。
つかみ持ち
つかみ持ちは非常に相性が良いです。手のひらと指先でグリップしたとき、本体後部の幅や角度、サイドのシェイプが自然と馴染みます。がっちりとしたフィット感に加え、全長が短くて本体重量も軽いため、手とマウスが一体となった感覚が強く得られます。
Aerox 3の背の高さに着目すると、前述の通りお尻から3~4センチほどは急な勾配となっており、そこから緩やかに盛り上がり、また中央あたりからなだらかに降りていきます。
つかみ持ちでグリップする場合、その急な勾配となった本体後部に”小指の付け根のみ”をあてるか、”手のひらを満遍なく”あてるかといった選択肢が生まれます。これがガイドのような役割を果たし、ベストポジションを探りやすいです。
つまみ持ち
つまみ持ちとも相性が良いです。指先を配置する部分にこれといった癖がありません。また全長が短いので、指の関節を曲げたときに本体後部が干渉しづらく、可動域が広く確保されます。
筆者の場合、サイドの中央あたりに親指を配置し、本体後部から中央にかけて急な角度がついた部分に小指を引っ掛けるように配置すると、指先での細かな制御がききやすいように感じます。
ボタン配置・クリック感
メインスイッチ
8,000万回のクリック耐久性と防塵性を備えたIP54準拠のマイクロスイッチ。押し心地は若干固めではあるものの、短いストロークと歯切れの良さから明瞭なフィードバックが得られます。単発撃ちやタップ撃ちに適しています。
セパレートタイプで、穴が空いていない部分から先端までは押し心地がほぼ一定です。
サイドボタン
サイドボタンは細長くて面積が小さいですが、ちょうど親指を配置する中央あたりが本体から最も飛び出した設計となっており、意外とアクセスしやすいです。
ただし、ストロークがやや長めに取られており、しっかりと奥まで押し込んでやる必要があります。誤クリックとは無縁ですが若干押しづらさを感じる場面もあります。
ホイール
ホイールは軽すぎず重すぎない回し心地で、強めのノッチ感があり、しっかりとした触覚フィードバックが得られます。瞬時に1ノッチ回すのも複数回回すのも容易で、とても優れた操作感です。
一つ気になる点を挙げるとすれば、メインボタンに角度がついており、中央側にかけて背が高くなっていく設計なので、本体からホイールがあまり飛び出していないこと。筆者はそこまで気にならないですが、好みが分かれそうなポイントではあります。
ホイールクリックは固すぎず柔らかすぎず、跳ね返りも適切で押しやすいです。ゲームプレイ中、カーソルを合わせながら短いスパンで押し込む必要のあるシーンでもストレスを感じません。
センサー
Aerox 3 WirelessのセンサーはSteelSeries TrueMove Air。主なスペックは200~18,000DPI(100刻み)、最大加速度40G、最大速度400IPSで、位置付けとしては、無線マウス向けの省電力かつ高性能なセンサーといったところ。
初期DPIは400/800/1200/2400/3200の5段階で、ホイール下部のスイッチから切り替え可能。またソフトウェア「SteelSeries Engine 3」から200~18,000DPIを100刻みで調整できます。
例のごとく、Mouse Tester (xCount, xSumの2種)でセンサーの正確性を検証。DPIは400/800/1600/3200で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「PureTrak Talent」上でテストを実施。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。
MouseTester: xCounts
MouseTester: xSum
MouseTesterの波形に激しい乱れは見られず、ゲームプレイでのセンサー挙動も良好です。
リフトオフディスタンス (LoD)
マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。使用するマウスパッドによって数値が変動する可能性があります。
リフトオフディスタンスが長すぎると、マウスを大きく振ったあと、元の位置に戻すために持ち上げたときにカーソルが余分に動いてしまい、ゲームプレイ中の精密な操作を妨げてしまいます。個人的には1.5mm以下なら〇、1mm前後であれば◎。
「PureTrak Talent」上で計測した結果、Aerox 3 Wirelessのリフトオフディスタンスは1.2mmでした。とても扱いやすい、ちょうど良い短さです。
センサーの位置
Aerox 3 Wirelessのセンサー位置はやや後部寄り。SteelSeries製マウスによく見られる傾向です。
中央付近にセンサーが配置されている一般的なゲーミングマウスから乗り換える場合、それらと比べて手首の動きが伝わりづらく、マウス感度が低いと感じる可能性が高いです。
マウスソール
黒い円形ソールが四隅に配置されています。直近の新製品によく採用されている真っ白のPTFEソールと比べると純度が低く、それなりに滑り、やや抵抗感があるタイプです。
エッジが処理されており、マウスパッドとの引っ掛かりは一切ありません。
ケーブル
充電用ケーブルにパラコードケーブルを採用しており、充電中も操作性を維持できます。耐久性が考慮されており、やや芯が残っていますが、従来の編組ケーブルと比べると取り回しやすいです。
ケーブルコネクタが有線マウスのブッシュよりも長く、上向きではなく水平なので、ケーブルとマウスパッドが擦れないようにマウスバンジーで浮かせるのが好ましいです。ただUSB Type-Cによる急速充電に対応しているので、急用でない限りワイヤレスで使い続けられます。
ビルドクオリティ
シェルの軋みやカタつきは見られず、堅固な造りです。メインボタンのシェルに水平方向への僅かなアソビが確認できますが、クリック感に影響を及ぼすものではありません。
Aerox 3 Wirelessは充電可能なバッテリーを搭載したワイヤレスモデルですが、適切な重量バランスで設計されています。ちょうど中央あたりに重心があります。
また、ハニカムシェルを採用したゲーミングマウスではありますが、IP54準拠の防水性・防塵性を考慮した造りなので、通常使用による故障のリスクは限りなく低いと言って良いでしょう。
ライティング
ライティングゾーンは本体底面の5箇所に配置されています。通常のライティングに加えて、メインボタンとサイドボタンのクリック効果も搭載されています。
Aerox 3 Wirelessは底面を中心に発光しますが、ハニカムシェルにより内部が見えるので、一般的なゲーミングマウスよりも派手なライティングが楽しめます。
ソフトウェアから「イルミネーションスマートモード」を有効化すると、マウスを操作している間は無点灯となり、動きを止めると再度LEDが点灯します。バッテリーの節約にオススメ。
ソフトウェア
Aerox 3 Wirelessは、SteelSeries製デバイスの統合ソフトウェア「SteelSeries Engine 3」による詳細設定に対応しています。以下のURLよりダウンロード可能です。
ちなみに初回起動の際は、USBドングルによる2.4GHzワイヤレス接続と、充電ケーブルによる有線接続の両方で合計2回のファームウェアアップデートを行う必要があります。
SteelSeries Engine 3:https://jp.steelseries.com/engine
200~18,000DPI(100刻み)でのDPI調整、ポーリングレート切り替え、ボタン割り当て、マクロ記録/保存、加速/減速、アングルスナップ、ライティングなどの設定が可能です。
TrueMove Airは高DPIに対応するセンサーですが、リフトオフディスタンスに関する設定には対応していないようです。もともと実測値1.2mmと扱いやすい長さなので大した問題にはなりません。
結論とターゲット
「SteelSeries Aerox 3 Wireless」について詳しく見てきました。つかみ持ち・つまみ持ちユーザーにとって優れた形状、適切なスイッチ調整、扱いやすいセンサー、極限まで軽量化しつつ耐久性も考慮したデザイン。とても完成度の高いゲーミングマウスです。
注意点として、ドングルがUSB Type-Cなので、主流のUSB Type-Aで接続するには付属のアダプタとケーブルを経由する必要があります。またセンサー位置が後部寄りなので、他のマウスから乗り換えたとき、同じDPIとゲーム内設定でも若干センシが低く感じる可能性があります。
上記を除けばこれといった欠点がなく、形状と重たさの好みさえ合うならば試して損はない無線ゲーミングマウスです。他社製のハイエンドモデルと並ぶ価格帯ですが、それらと比べても見劣りしません。無線ゲーミングマウスの新たな選択肢が一つ増えました。
以上、SteelSeries(スティールシリーズ)のゲーミングマウス「SteelSeries Aerox 3 Wireless」のレビューでした。
某肉抜きなし63gマウスの発表さえなければこっち買いだったんだけどなぁ、、w
DPIトグルにキー割り当てしてる状態で長押しすると、長押ししている間は反応し続ける仕様でしょうか?それとも一回しか反応しない仕様でしょうか?お手数ながら調査して頂けると嬉しいです。