「Razer Viper Ultimate」レビュー。一強を打ち崩す完成度と言っていい無線ゲーミングマウス

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「Razer Viper Ultimate」レビュー。一強を打ち崩す完成度と言っていい無線ゲーミングマウス

本稿では、Razer(レイザー)の無線ゲーミングマウス「Razer Viper Ultimate」のレビューをお届けします。

レビューサンプル提供: Razer

Razer Viper Ultimate
価格: 16,980円 (本稿執筆時点)

※国内発売日は10月31日(木)。Amazon.co.jpにて予約受付開始。

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製品仕様と外観

Razerが今年8月に発売したViperは、肉抜き無しで本体重量69gの有線ゲーミングマウス。LEDライティングをONにしなければ本体後部のRazerロゴが現れないことからも、Viperには相当な本気度を感じましたし、まさかの軽量マウス市場への参戦に度肝を抜かれた読者も多いことでしょう。

しかしRazerはさらなる隠し玉「Razer Viper Ultimate」を既に用意済みでした。単なるViperの無線版でも納得できそうなものですが、Viper Ultimateには新たなセンサーを組み込み、バッテリー持続時間も充分、さらに本体重量もわずか74gに留めてきました。詳しく見ていきます。

Viper Ultimateは、計7ボタンを備える左右対称型ゲーミングマウスです。サイズは幅66.2 全長126.7 高さ37.8mmと中型です。Zowie FK1 (=Glorious Model O) に似た、全体的に平べったい形状です。

表面コーティングは、前面がマット、両サイドにはラバーグリップが貼られています。

ベースはZowie FK1系統ですが、完全なクローンではありません。メインスイッチ部が窪んでいたり両サイドの形状が細かく異なるほか、Viper Ultimateの方が本体後部が約2mmほどカットされています。

Logicool G Pro Wirelessとの比較。シルエットから見たサイズ感はほぼ同等に見えますが、実は大きく異なる部分が2つ。

本体後部はG Pro WirelessよりもViper Ultimateの方が浅いため、手のひらへのグリップ感が劣ります。一方で、両サイドはViper Ultimateの方が窪んでおり、3本指でしっかりと握り込めます。

今後、この2種が頻繁に比較されることが想定できますが、”全体的な背の高さと両サイドの窪みが異なる”とざっくり覚えておくと良いかもしれません。

本体重量は公称値74g、実測値も同じく74gでした。現状、無線ゲーミングマウスの中では最軽量かつ、流行りの軽量系ゲーミングマウスにも引けを取らない軽さとなっています。

底面のカバーは0.5gと誤差レベルです。少しでも軽量化したい方は外しておきましょう。

到着後、Viper Ultimateの使用開始には3ステップ必要です。

Viper Ultimate本体底面に格納されたUSBレシーバーを取り出し、付属のマウス充電ドックに差し込んだうえで、マウス充電ドックを付属のUSBケーブルでPC本体に接続すれば完了です。

電源スイッチは本体裏側に備わっており、その上部はDPI変更ボタンとなります。

なお、付属のUSBケーブルを直接Viper Ultimate本体に繋ぎ、有線ゲーミングマウスとして使用することも可能。有線Viperと同等の疑似パラコードケーブルです。

スペック

Razer Viper Ultimate 製品仕様
形状 左右対称型
表面素材 マット (両サイドはラバーグリップ)
サイズ 幅66.2 全長126.7 高さ37.8mm
重量 74g
ボタン数 7つ
センサー Razer Focus+ (PixArt PMW3399カスタム)
DPI 100~20,000DPI (50刻み)
ポーリングレート 125/500/1000Hz
LoD 1.1mm~ (実測値)
スイッチ 光学式 (Razer Optical Mouse Switch)
付属品 USBケーブル(疑似パラコード)、マウス充電ドッグ
ソフトウェア 対応 (Razer Synapse 3)
価格 -円 (Amazon.co.jp、本稿執筆時点)

ギャラリー

製品イメージをチェックする (開閉できます)
Razer Viper Ultimate
価格: 16,980円 (本稿執筆時点)

パフォーマンス

持ち方の相性・操作感

Viper Ultimateは全体的に平べったいのですが、両サイドの窪みによって握り込める形状となっています。大きく窪んだメインスイッチは人差し指・中指のガイドとなっており、フィット感もそれなりに得られます。

Zowie FK1やGlorious Model Oよりも本体後部が削られており、高さもほとんど無いため、手が大きい方だと手のひらでグリップすることが不可能。平均的な手のサイズかそれ以下の方に適したサイズ感です。

これらを踏まえたうえで、一般的な持ち方3種類との相性をチェック。筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があることを前置きしておきます。

かぶせ持ち

かぶせ持ちでは違和感なく全ての指を配置できます。左右対称型ながらしっかりと握り込むことでフィット感を得られますし、サイドのグリップ感も問題ありませす。

ただし平均的な手のサイズの筆者の場合、手のひらの余った部分や小指がマウスパッドに接地します。好ましくないという方は注意。手が小さめの方ならば完全に手を浮かせることができますが、人を選びそうです。

つかみ持ち

つかみ持ちは相性が良いです。前述の通りViper Ultimateは本体後部がかなり浅いので、手のひらを配置するスペースが限られますが、安定するポジションが見つかるはずです。

全長・本体幅のどちらも適切で、自然なフォームを維持したまま操作が可能です。以前にも左右対称マウスを扱ったことがあるという方ならば馴染みやすいかと思います。

つまみ持ち

つまみ持ちは相性抜群です。サイドの窪みが3本指のガイドとなっており、自然と握り込むことが可能です。軽量なので手首支点での操作も軽々と行えますし、浅めに握っても奥側のサイドボタンに指が届きます。

結論として、かぶせ持ち・つまみ持ちとの相性が良かったです。筆者個人の操作感としては、手のひらが触れる部分が頼りないので、サイドの3本指で調整しながらAIMするといった感覚で、つまみ持ちが最も安定しました。

ボタン配置・クリック感

Viper Ultimateのメインスイッチは「Razer Optical Mouse Switch」です。これはメーカー側がクリック反応速度 最高速0.2msと謳う光学式スイッチです。クリック耐久性も7,000万回と高め。

以前おこなったViperレビューの際にも評価した通り、軽めのクリック感でストロークは短いのですが、跳ね返りが若干弱いのが気になるところ。

従来のスイッチは押し込んだあとに意識せずとも自然に跳ね上がってくるのに対し、こちらは少し力を抜いただけでは押下されっぱなし。クリック感の好みは分かれそうです。

サイドボタンのクリック感は軽く、ストロークは短め。しかし本体からほぼ飛び出しておらず、親指の端ではやや押しづらいです。両側にサイドボタンを配置した完全な左右対称型なため、誤爆を防ぐための設計でしょうか。

ホイールは固めでノッチ感が非常に強いです。何度回したかが分かりやすいうえ、初動が重たいので誤爆はまず無さそうです。

ホイールクリックは軽めで瞬時に押し込みやすく、押下時のガタつきもありません。

センサー挙動・リフトオフディスタンス

Viper Ultimateの搭載センサーは Razer Focus + (PixArt PMW3399カスタムセンサー)。初期DPIは400/800/1200/1600/3200で、ソフトウェアから200~20,000DPIを50刻みで調整できるほか、リフトオフディスタンス調整、キャリブレーションにも対応しています。

例のごとく、Mouse Testerでセンサーの正確性を検証。DPIはそれぞれ400, 800, 1600, 3200で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「PureTrak Talent」上でテストを実施しました。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。

MouseTesterの見方について
基本的には、波形に点が綺麗に沿っていれば、マウスのセンサーが正確なトラッキングを行えている、という認識で構いません。マウスを動かす速度が速いほど、波形が縦方向に長く生成されます。つまり、波形の折り返し地点は、マウスが最高速度に達したことを表します。

  • 横軸 Time(ms):経過時間を表す、1000分の1秒
  • 縦軸 xCounts:マウスの左右への移動量。右に動かすと波形が上方向に、左に動かすと波形が下方向に生成される。マウスを動かす速度が速くなるほど、縦方向に大きな波形が生成される。

例えば、「中間地点の波形に点が綺麗に沿っているが、折り返し地点でブレが生じている」という場合、基本的には正確にトラッキングできているが、マウスを動かす速度が速いと反応がブレる、といった見方となります。 しかし、折り返し地点のブレが毎回同じような傾向だった場合、「マウスを早く動かすとカーソルが毎回その動きをする」ということですので、カーソルの動きは安定しているということになります。そのような場合、マウスを早く動かすとカーソルの動きに癖が出るものの正常、といった認識で構いません。

素直に「おお。」といった感じで、センサー挙動には全く問題ありませんでした。Razerのワイヤレス技術「HYPERSPEED」なかなか良いんじゃないでしょうか。

マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。使用するマウスパッドによって数値が変動する可能性があります。

ソフトウェアでキャリブレーションを済ませたうえで最も短い設定にし、マウスパッド「PureTrak Tallent」上で計測した結果、Viper Ultimateのリフトオフディスタンスは1.1mm前後でした。有線Viperより長いとは言えど、十分に短いですね。

またRazer Focus+センサーの新たな機能として、マウスを持ち上げている状態でトラッキングを再開するまでの距離 ランディングディスタンス も調整可能です。「非対称カットオフの有効化」にチェックを入れることで利用できます。

しかしランディングディスタンスの調整には、LoDの距離をあらかじめ最短よりも長めに調整しておく必要があります。あえてLoDを長くしてまでマウスを浮かせた状態でトラッキングを再開する意味を見い出せなかったため未検証。

もともとLoDが長めのゲーミングマウスを使っていた方がViper Ultimateに乗り換えた際、元のマウスとの操作感の擦り合わせに用いるなどが想定されますが、この機能を活用できるユーザーは限られそうです。

マウスソール

変更点として、有線Viperは横長のテフロン製ソールが上下に2枚貼られていましたが、Viper Ultimateは四隅に4枚となっています。

Viper Ultimate本体のUSBケーブル接続部や、マウス充電ドックと触れ合う部分へソールを配置することを避けた結果、このような形状・配置となったのでしょう。

有線Viperと比べてViper Ultimateの標準ソールの方が圧倒的に滑りやすく、かなり止めが効きづらいです。筆者個人としては、軽量であることやケーブルレスなことも相まって、コントロールが非常に難しいと感じました。

底面の切込みの形状・位置からして、円形や楕円形の汎用ソールへの貼り替えは容易でしょう。好みに合わせて貼り替えても良さそうです。

バッテリー充電

Viper Ultimateは、既存の無線ゲーミングマウスと比べてバッテリー充電の手軽さに長けています

例えばG Pro Wirelessは、ケーブルを接続し直す必要がありました (ワイヤレス充電に対応したマウスパッドの上に置く方法もありますが、別売りで非常に高価なものです)。

一方でViper Ultimateは、マウス充電ドック自体がレシーバーの役割を果たすうえ、マグネット式となっている底面の溝に合わせて本体をはめ込むだけで充電が可能です。

LEDライティング消灯時の最大バッテリー持続時間は70時間です。よほど連日にわたって忘れてしまうことが無い限り、充電に手間を煩わせることは無さそうです。

ソフトウェア

Viper Ultimateは、Razer製デバイス統合ソフトウェア「Razer Synapse 3」に対応しています。以下のURLよりダウンロード可能です。

Razer Synapse 3:https://www2.razer.com/jp-jp/synapse-3

設定項目は、各キーへのボタン・マクロ割り当て、100~20,000のDPI調整(50刻み)、ポーリングレート切り替え(125/500/1000)、LEDライティング設定、リフトオフディスタンス調整、キャリブレーション、バッテリーに関する設定です。

ちなみに、マウス充電ドックの底面のフチにもLEDライティングが備わっており、Synapse 3から色とパターンを制御可能です。

結論とターゲット

Razer Viperの形状そのままにワイヤレス化し、最新センサーまで組み込まれて市場に投じられた「Razer Viper Ultimate」。唯一気になることとすれば、Razer Focus+の新機能「ランディングディスタンス調整」がさほど魅力的ではなかったことくらい。

Razerのワイヤレス技術「HYPERSPEED」は、筆者が検証した限りでは安定性に難はなく、Logicool一強を崩せると言っていいほどの完成度のように思います。バッテリー持続時間や充電速度も十分ですし。

他社と明確に差別化されているのは、追加で何かを購入することなく、”付属”のマウス充電ドックにより手軽に充電を行える点。無線特有の懸念点を省いてくれたあたり、ここは高く評価したいところ。

無線ゲーミングマウスと言えばG Pro Wirelessが定番中の定番でしたが、全体的に平べったい左右対称型マウスが好みで平均的な手のサイズを上回らない方ならば、Viper Ultimateも堅い選択肢となりそうです。

Razer Viper Ultimate
価格: 16,980円 (本稿執筆時点)

以上、Razer(レイザー)のゲーミングマウス「Razer Viper Ultimate」のレビューでした。

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この記事を書いた人

ミオニ
eスポーツ向け ゲーミング周辺機器のレビュアー
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