Corsair K70 MAX レビュー
この記事ではCorsairのゲーミングキーボード Corsair K70 MAX をレビューします。
レビュー用サンプル提供: Corsair Japan
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この製品について
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2023年9月1日に発売されたCorsair K70 MAX。ポーリングレート8000Hz対応の磁気キースイッチ搭載キーボードとして、発表時から個人的に注目していたキーボードなのですが、2023年11月に実施されたファームウェアアップデートでRapid Trigger機能が追加されました。
もともとキーボードの分野では高く評価されていたCorsairですが、ここ数年は光学式スイッチを搭載したモデルを主力としており、磁気式スイッチを搭載したキーボードはメーカー初となります。Rapid Triggerの反応性や動作の安定性はどうなのか、詳しく検証していきます。
基本仕様
Corsair K70 MAXは日本語配列のフルサイズキーボードです。ポーリングレート8000HzやRapid Triggerを求める層にフルサイズキーボードの需要があるかは疑問ですが、Corsairの過去の傾向から、テンキーレスや60%、65%などのバリエーションも展開していく流れは容易に想像できます。
メディアキーやボリュームローラーなどが余すことなく搭載されているのはフルサイズキーボードならでは。本来はキーを同時押ししなければならない操作もボタン1つで行えるのは強みです。
しかし、サイズが非常に大きいのはFPSプレイヤーにとっては大きなデメリットになり得ます。特にミドルセンシからローセンシの場合、マウスを左に振ったときにキーボードの角にぶつかってしまいます。ぶつけないようにキーボードの位置を左にずらすと、肩が開いてしまっていつもの感覚でエイムができません。フルサイズキーボードに慣れていないとストレスに感じる可能性が高いです。
トップフレームにはアルミニウム合金フレームが使用されています。色味は真っ黒ではなくグレー寄り。上部には独自のデザインが施されています。
ボトムシェルは半透明のプラスチック。
段階式の角度調整スタンドが備わっており、タイピング角度を3段階で調整可能です。
USB Type-Cケーブルは本体の真ん中に差し込みます。
簡単に取り外しが可能なパームレストが付属しています。手首の角度を調整したり負担を和らげるのに役立ちます。落ち着いたデザインで質感も良い感じ。
キーキャップ
厚さ1.5mmを謳うPBTダブルショットキーキャップ。表面にはテクスチャ加工が施されています。ざらざらとしていて指離れがよく、細かなキー操作を妨げません。
汗や皮脂による汚れに強く、長時間使用してもベタつかないので、遠慮なく使用できます。
Cherry MXと互換性があり、あらゆるキーキャップと交換可能です。
キースイッチ
キースイッチは Corsair MGXスイッチ。最近流行りの磁気式キースイッチの一種です。主なスペックは押下圧45g、キーストローク4.0mm、1億回のキーストローク耐久性。
キースイッチ名称 | 特性 | 押下圧 | 作動範囲 | キーストローク |
Corsair MGX | Linear | 45g | 0.4-3.6mm (0.1mm単位) |
4.0mm |
キーの重たさも並みで、これといって特長は無いです。Wooting 60 HEのLekker Switchと比べて少しキーが軽いですが、全体的なフィーリングに大きな差はありません。
Gateron-KS20やそのカスタムのキースイッチはステムの揺れが激しく、キーのグラつきが目立つのが気になるところです。操作に支障が出るほどではないですが、気になる人は気になるかも。
打鍵感
YouTubeにRapid Trigger対応キーボードの打鍵音を比較する動画を投稿しました。
Corsair K70 MAXの打鍵感は悪くないです。最近になってCorsairはキーボードの内部構造を刷新し、打鍵感や打鍵音にも配慮するようになりました。このCorsair K70 MAXも内部にフォームを挟み込むことで、キーを底打ちしたときの反響音が抑えられています。
左ShiftキーやSpaceバーのスタビライザーが発する不快音は目立つものの、長時間タイピングしていてそこまで不快には感じません。まだ良くない意味でのゲーミングキーボードらしさは残っているため、タイピングの心地良さや上品な打鍵音も求めているという人にはCorsair K70 MAXは不向きです。
ソフトウェア
Corsair K70 MAXは独自に提供されているソフトウェア Corsair iCUE から詳細設定が可能で、Rapid Triggerやアクチュエーションポイントの調整が行なえます。
アクチュエーションポイント調整
アクチュエーションポイントは0.4~3.6mmの範囲を0.1mm単位で調整できます。
最小の値が0.4mmなので、普段から0.1mmや0.2mmなどアクチュエーションポイントを非常に短く設定している人には不向きです。
実際に最小の値である0.4mmに設定してみましたが、問題無く動いていると思います。海外サイトRTINGS.comのレビューでは「アクチュエーションポイントが不正確で、設定した数値よりも著しく高くなる。0.4mmに設定しても実際には2.8mm押し込まないと反応しない。」と記載されていましたが、実際には問題無いです。
Rapid Trigger
Rapid Triggerは0.1~1.0mmの範囲を0.1mm単位で調整できます。またキーを押すとき(ダウンストローク)と離すとき(アップストローク)のそれぞれでRapid Triggerの数値を個別に調整することもできます。
Rapid Trigger対応キーボードの強みは、キーの押し込み状況にかかわらず、離すとすぐにオフ、再び押すとすぐにオンになるので、キーの連打が高速で行えたり、VALORANTでキーから指を離してストッピングするのが速くなるところです。
各社が公表している数値が正確なのかはさておき、VALORANTの射撃場でWASDを小刻みに押したり離したりするテストを行うと、Rapid Trigger対応キーボード間の違いを体感できます。
このテストでは、最もきびきびと反応するように感じるのがZENAIM KEYBOARDで、次いでRazer Huntsman V3 Pro、その次にWooting 60 HE、ELECOM VK600Aが並びます。Corsair K70 MAXはその2機種に並びます。
Wooting 60 HEやELECOM VK600Aと比べ、キーを底打ちした状態からオフになるまでの距離がほんのわずかに長いように感じますが、インゲームで差を感じることはありません。
実際にVALORANTでキャラクターを操作するときは、キーを小刻みに押したり離したりすることはなく、キーを最も底まで押し込んだ状態から一気に離すという動作がほとんどなので、インゲームではこのテストほど違いを感じ取ることはできません。これだけの精度があれば充分です。
Corsairのアクチュエーションポイント調整やRapid Triggerは充分な精度を誇り、VALORANTのゲームプレイにおいてもうまく機能します。約1週間ほどテストした段階では、大きなトラブルが起きたりすることなく、これといって不具合も見つかっていません。
結論とターゲット
Corsair K70 MAXについて詳しく見てきました。アクチュエーションポイントは最短0.4mm、Rapid Triggerは最短0.1mmでの動作に対応しており、それぞれ充分な精度を誇ります。Rapid Triggerキーボードでは数少ないポーリングレート8000Hz対応機種で、入力遅延の面でも優秀で、非常に高い応答性を誇ります。
打鍵感や打鍵音はカスタムキーボードの系譜に比べると劣りますが、内部のフォームにより反響音は抑えられています。ゲーミングキーボードはキータッチへの配慮まではされているものが少ない印象ですが、Corsairはいくつか前の製品から改善しようとする姿勢を見せています。
コンパクトなキーボードからあえてフルサイズキーボードに乗り換える意味は薄いですが、普段からフルサイズキーボードを愛用していてRapid Triggerが気になっている人にはぴったりな機種です。Razer Huntsman V3 Proのフルサイズ版のような競合製品と比べて価格もこなれています。
また、Corsairの過去の傾向から、テンキーレスや60%などのサイズ展開も予想されるので、高ポーリングレート対応のRapid Triggerキーボードが希望のサイズで手に入る日が近いかもしれません。
以上、Corsair K70 MAXのレビューでした。
Corsair HS80 MAXを開封&チェック
USBで接続する2万円台前半のワイヤレスヘッドセット Corsair HS80 MAX のサンプルも同時に送付していただいたので、今回レビューしたK70 MAXと同時にVALORANTで使用しました。レビューというよりはファーストインプレッションに近いような形で軽く紹介したいと思います。
最近のゲーミングヘッドセットは自分好みに音をカスタマイズできる仕様になっていることが多いです。HS80 MAXもそういったヘッドセットの一種なのですが、そのスタイルはとても独特なものです。2つのサンプル音声を聴き比べて、好きな方を選ぶのを何度か繰り返すだけで、自分専用のオーディオ設定が出来上がっていました。
イコライザーを正しく調整するにはある程度の知識が必要になりますが、この方法なら自分の耳を頼りにしながら直感的に設定が進められるので簡単です。とても面白い機能だと感じました。
もちろん自身でイコライザーを調整したり、あらかじめ用意されたプリセットから選択することも可能です。低音域に他の音域がかき消されてしまう傾向にあるので、イコライザーで調整するとプレイしやすいです。解像度はそこまで高くありませんが、音が鳴った方向を掴みやすいです。
遮音性は少し低めで、周囲の音はそれなりに聞こえます。ある程度は周囲の音を遮ってほしいけど、完全に聞こえなくなると困るという人に合うと思います。
ワイヤレスヘッドセットはマイクの品質が悪いものが多いですが、HS80 MAXはとても優れているように感じます。これならボイスチャットで鮮明な音を届けられ、NVIDIA BroadcastやDiscord Crispなどのノイズキャンセリングを強めに掛けてもしっかりと声が聴き取れます。
本体重量は352gと、カタログスペック上はそこまで軽くはありません。しかし経験上、ヘッドフォンの快適性は軽さが全てではありません。
HS80 MAXは頭にすんなりとフィットします。長さ調整できるヘッドバンドは頭頂部に負荷が掛かりづらいです。イヤークッションも分厚いので底つかず、長時間装着していても耳が痛くなりませんでした。
バッテリー持ちに優れていて、2.4Ghzワイヤレス接続時は最大65時間もバッテリーが持続します。これは充分に長いです。しかし、おそらくRGBライティングを有効化すると非常に短くなるので注意が必要です。
Bluetooth 5.2にも対応していて、先ほども触れたように長時間装着していても不快ではないので、PCやスマートフォンに接続して、ワイヤレスヘッドセットを装着したまま家中を動き回るといった用途で使えて便利でした。
長期間オーディオインターフェイス+イヤホン環境でゲームをプレイしているのですが、意外にもすんなり慣れることができたので、ゲームプレイに求められる音質であったり性能は満たした製品だと言えると思います。
レビュー記事ありがとうございます。
記事冒頭の動画レビューのがZENAIMキーボードになっています。
ご報告ありがとうございます・・!
修正いたしました。