「Razer BlackWidow V3 Pro」レビュー。2.4GHzワイヤレスとBluetooth両対応のハイエンドゲーミングキーボード
本稿では、Razer(レイザー)のゲーミングキーボード「Razer BlackWidow V3 Pro」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: Razer
製品仕様と外観
ゲーミングデバイスを無線化するメリットとして第一に挙げられるのが、煩わしいケーブルから解放されること。ただし、ほとんど定位置に置きっぱなしのキーボードの場合だと恩恵を得られないのが本音。
最近になってRazerはマウスやキーボードをはじめとしたワイヤレス製品を拡充していますが、ゲーマー向けの製品でも2.4GHzワイヤレスとBluetoothの両方に対応させることで、1台で複数デバイスを操作するなど用途を広げるという方式を取っています。
今回チェックするのはフルサイズのゲーミングキーボード「Razer BlackWidow V3 Pro」。3種類の接続方法 2.4GHzワイヤレス/Bluetooth/有線接続 に対応しており、メディアキー搭載やリストレスト付属など豪華な仕様で、価格は約30,000円。早速見ていきましょう。
内容物は BlackWidow V3 Pro本体、リストレスト、着脱可能なケーブル、取扱説明書。
BlackWidow V3 Proは、英語配列のフルキーボード。右上にはメディアキーを搭載、本体下部にはRazerロゴが配置されており、それぞれがライティングゾーンとなっています。
キーボード本体を見ていきます。トップフレームはマット仕上げのアルミニウムで、ライティングが柔らかく反射します。側面や底面は梨地加工のプラスチックです。
底面には角度調整スタンド、滑り止めラバーが備わっています。
2.4GHzワイヤレス接続に必要となるUSBレシーバーも底面に格納されています(蓋付き)。
Razerが独自に開発した「Razer Green Mechanical Switch (通称:緑軸)」キースイッチが搭載されています。主なスペックは 押下荷重50g、キーストローク4.0mm、アクチュエーションポイント1.9mm。
タクタイル感に加えて「カチッ」とクリック感もある、青軸に近い性質を持つスイッチです。
接続方式はUSB Type-Cによる有線接続、付属のUSBレシーバーによる2.4GHzワイヤレス接続、Bluetooth接続の3種類。本体側面のスイッチから2.4GHzワイヤレスとBluetooth接続を切り替えられるので、複数のデバイスへ同時に接続することも可能です。
PUレザー張り、柔らかい形状記憶クッションのリストレストが付属しています。本体に装着する仕組みではなく、添えるだけで隙間なく設置できるようそれぞれに角度がつけられています。
Razer製デバイスの統合ソフトウェア「Razer Synapse」による詳細設定に対応しています。
パフォーマンス
操作感
キータッチ・打鍵音
BlackWidow V3 Proに搭載されたキースイッチは、Razer独自開発の「Razer Green Mechanical Switch (通称:緑軸)」。タクタイル感とクリック感のある、青軸に近い性質のスイッチです。主なスペックは 押下荷重50g、キーストローク4.0mm、アクチュエーションポイント1.9mm。
Razer Green Switch | Cherry MX Blue | |
押下荷重 | 50g | 50g |
キーストローク | 4.0mm | 4.0mm |
作動点 | 1.9mm | 2.2mm |
耐久性 | 8,000万回 | 5,000万回 |
類似キースイッチとしてCherry MX青軸が挙げられますが、それと比べてアクチュエーションポイントが僅かに短縮されています。
キーが反応する少し手前で強めのタクタイル感があり、そのまま押し下げると「カチッ」とクリック音が鳴る、クリッキータイプ共通の性質を持ちます。また、キーが跳ね返ってくるときにも若干の抵抗とともにタクタイル感があります。
キーを押したこと、あるいはキーがリセットポイントに達した(再度キーを押せば反応する状態になった)ことを触感と聴覚の両方で感じ取れます。青軸と同様、キーの引っ掛かり感が強く、押しごたえがあるため、明確なフィードバックを求めている方に適します。
Cherry MX青軸との違いとして、タクタイル感とクリック音に粘り気が少ないことが挙げられます。わずかな違いではありますが、Green Switchの方がストロークの一貫性があるように感じます。
キーを斜めから押し込んだとき、引っ掛かりが少なく、ほぼ一定の荷重でストロークが行えます。目新しさのないキータッチですが、ゲームプレイに最適化されていると言われれば頷けます。
ただし、スタビライザーが備え付けられた横長キー(ShiftやSpaceなど)と通常キーとの打鍵音の差異が大きいです。またSpaceバーは押しどころによる変化が著しく、中央あたりはバネ鳴りが目立ちます。
ビルドクオリティ
キースイッチのディテール。RGBライティングを通す透明ハウジング、サイドウォールが設けられたステム。Cherry MX互換のキースイッチが取り付けられます。
備え付けられたキースイッチに数mmのゆとりがあるのと、軸がカタつくことによるキーキャップの揺れが存在します。これはクリッキータイプのスイッチではよく見られるもので、打鍵時にキーの引っ掛かりを感じることはなく、市販製品として問題の無いクオリティです。
メディアキー
本体右上にメディアキーが搭載されています。3つのボタンは左から順に 前へ、再生/一時停止、次へ。「カチッ」とクリック感があり、それぞれ高さも適切でアクセスしやすいです。
右側に備わっているのは音量調整ツマミで、回すたびに「カチッ」とクリック感があります。中央はミュートボタンとなっています。小さなスペースに機能がうまくまとまっており、操作性にも優れています。
キーキャップ
印字が摩耗しないダブルショットのABS樹脂製キーキャップ。
ABS樹脂といえば軽量でコストが低い反面、打鍵音が甲高くなってしまうこと、また表面がベタつきやすいのが難点です。しかしBlackWidow V3 Proの標準キーキャップは表面に加工が施されており、ベタつかない乾いた質感となっているうえ、厚みが確保されていて音の響きが抑えられています。
リストレスト
PUレザー張りでソフトなクッションを備えたリストレスト。適切な角度を保てるので、手首の疲労軽減に役立てられます。わざわざ装着する必要なく添えるだけで済むのが個人的にポイントかなと。
ソフトウェア
BlackWidow V3 Proは、Razer製デバイスの統合ソフトウェア「Razer Synapse」による詳細設定に対応しています。以下のURLよりダウンロード可能です。
Razer Synapse:https://www2.razer.com/jp-jp/synapse-3
設定項目は、キーリマップやマクロ・各種機能の割り当て、ライティングの輝度と発光パターン、スリープモード移行までの時間調整など。ゲーミングキーボードに求められている一通りの機能を備えています。
「Razer HyperShift」を割り当てると、そのキーを押している間だけ特定のキーに異なる割り当てを適用できます。うまく活用することで、少ない指の移動で多くのキー操作が行えます。
接続
BlackWidow V3 Proは、低遅延を謳う独自の2.4GHzワイヤレス技術「Razer HyperSpeed Wireless」に対応しています。またBluetooth接続にも対応しており、本体側面のスイッチにより2.4GHzワイヤレス/Bluetooth接続を切り替えながら複数デバイスで使用することも可能です。
デスク上にPC本体を設置している筆者の環境では、通信の安定性に難は無く、遅延も一切感じません。
USB Type-Cケーブルによるバッテリーの充電に加えて有線接続にも対応しており、幅広い接続方式を特徴としています。バッテリー持続時間は未公開ですが、丸2日連続でハードに使用しても充電は持続していました。ソフトウェアからバッテリー残量を確認可能です。
ライティング
通常のキーに加え、メディアキー、本体下部中央のRazerロゴにライティングゾーンが割り当てられています。トッププレートがアルミニウムなのに加え、ケースからキーが飛び出した設計なので、輝度を上げるとライティングが浮かび上がります。
結論とターゲット
「Razer BlackWidow V3 Pro」について詳しく見てきました。操作性に優れたメディアキーが搭載され、ソフトウェアによる制御も可能なフルサイズのゲーミングキーボード。本体へのプロファイル保存も可能なため、プログラミングすることで複数のゲームや作業を効率よく進められます。
ただし、BlackWidow V3 Proの価格設定は有線版(BlackWidow V3)と比べて倍近く。やや仕様が異なるとはいえ、ケーブルの有無が操作性に大きく関わるマウスとは異なり、キーボードを無線化するメリットは少ないということを前提に考えれば、費用対効果が見合わないと感じます。
有線接続、2.4GHzワイヤレス、Bluetoothと3種類の接続方式が用意されており、複数のデバイスに同時接続することも可能です。なので、デスクトップPCとラップトップをキーボード1台で操作したい場合など、環境によってはむしろ高いコストパフォーマンスを発揮します。
なるべくデスク上からケーブルを排除したいなどの理由がありつつ、現時点で最高性能を備えたフルサイズのゲーミングキーボードを探していて、クリッキーな感触が好みという方にとっては良い選択肢となりそうです。ハイエンドゆえに人を選ぶ製品です。
タクタイル感やクリック音の無い「Razer Yellow Switch」を搭載したモデルの国内取り扱いもアナウンス済です
以上、Razer(レイザー)のゲーミングキーボード「Razer BlackWidow V3 Pro」のレビューでした。