「ROCCAT Vulcan TKL Pro」レビュー。滑らかなキータッチの光学式スイッチを採用したテンキーレスキーボード
本稿では、ROCCAT(ロキャット)のゲーミングキーボード「ROCCAT Vulcan TKL Pro」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: ROCCAT Japan
製品仕様と外観
Vulcanシリーズ は、ライティングが映える独特なデザイン、独自に開発したキースイッチを特色とした、ROCCATがゼロベースで設計したゲーミングキーボード。
今回チェックするVulcan TKL Proは、同じ仕様をそのままテンキーレスサイズに落とし込み、ROCCATが新たに開発した光学式スイッチ Titan Switch Optical を搭載したもの。実用性と外観を両立したキーボードのように見えますが、使用感はどうなのでしょうか。早速見ていきます。
内容物は、Vulcan TKL Proキーボード本体、接続ケーブル、取扱説明書。
Vulcan TKL Proは英語配列のテンキーレスキーボード。フルサイズよりも幅が狭いので、より大きなマウスパッドを設置して、マウスの可動域を広く確保できることが利点です。
表面は独特な質感のメタルプレート、筐体からスイッチが飛び出した構造によってライティングが際立つデザインとなっています。
本体は薄型設計で、重量は660gと想像よりも軽いです。
キースイッチはROCCATが独自に開発した光学式のリニアスイッチ Titan Switch Optical で、主なスペックは アクチュエーションポイント1.4mm、1億回のキーストローク耐久。その他のスペックは未公開。
右上には音量調整ツマミ、ミュートボタンが搭載されています。テンキーレスサイズになっても(用途不明だったFXボタンを除き)フルサイズのVulcanシリーズに備わっていた機能をそのまま利用できます。
本体の裏側には 滑り止めラバー、角度調整スタンドが備わっています。キーボード本体の角度を2段階で調整できます。
耐久性の高い編組ケーブル。フルキーモデルとは異なり、テンキーレスモデルでは取り外し可能となっています。キーボード側には主流のUSB Type-Cポートが採用されているので、交換用のケーブルも使用できます。
ROCCAT製デバイスの統合ソフトウェア「ROCCAT Swarm」による詳細設定が可能で、互換デバイス間で同期できるAIMOライティングエンジンに対応しています。
パフォーマンス
操作感
キータッチ
Vulcan TKL Proに搭載されているキースイッチは、ROCCATが独自に開発した Titan Switch Optical。主なスペックは アクチュエーションポイント1.4mm、その他は未公開。タクタイル感やクリック音はなく、押し下げるほどキーが重たくなっていくリニアスイッチです。
押下荷重とキーストロークは未公開ですが、筆者が実際に確認する限り、Titan Speed Switchよりもわずかに押下荷重が軽いという印象を受けました。そこまで大きな差ではありません。
キースイッチ名称 | 押下荷重 | キーストローク | 作動点 |
Cherry MX Red (赤軸) | 45g | 4.0mm | 2.0mm |
Cherry MX Speed Silver (銀軸) | 45g | 3.4mm | 1.2mm |
ROCCAT Titan Speed Switch | 45g | 3.6mm | 1.4mm |
ROCCAT Titan Switch Optical | ? | ? | 1.4mm |
代表的なCherry MX製のリニアスイッチと比較した際に、銀軸よりはわずかに深く、赤軸よりも浅い位置でキーが反応することが分かります。これは決して極端なものではなく、とてもバランスが取れた調整で、反応を重視しつつも初見で誤入力しづらいものになっているかと思います。
同社の赤軸メカニカルスイッチ Titan Speed Switch と打ち比べて感じたのは、キーを降ろすのに必要な力がわずかに少なく、滑らかに降りていくということ。わずかな違いではあるものの、そういった感覚が得られるのは確かで、スムーズなキー入力を行えるといった印象です。
Titan Switch Opticalの要点をまとめると、滑らかなキータッチ、深すぎず浅すぎないアクチュエーションポイント、高い耐久性 の3点となります。赤軸や銀軸などのリニアスイッチが好みならば、このVulcan TKL Proも気に入るのではないかと思います。
ビルド
ライティング搭載のキースイッチなので透明のハウジング、軸は赤色。キースイッチはしっかりと固定されていて、普通にタイピングしている分には揺れは感じません。ただキーキャップを取り外すのが若干固く、スイッチが揺れるほど力を入れて引き抜く必要があるのが少し心配です。
軸のグラつきやキーキャップのカタつきはごく僅か。スタビライザーの打撃音もそこまでうるさくなく、固定ShiftやSpaceなどの横長キーを斜めに押し込んでも引っ掛かりは感じません。
打鍵音
過去のVulcanシリーズに搭載されていた Titan Speed Switch とほとんど変わらず、「カタカタ」とやや高めの音が鳴ります。底打ちしてもそこまで響かず、甲高い音を発することはありません。それと比べ、横長キーはやや低めの音が鳴りますが、そこまで差異は気になりません。
軸が擦れる音がほとんどなく、とても心地の良い打鍵音だと感じます。Spaceバーのバネが戻る音もかなり抑えられているため、キー入力時に耳に障るような音は発生しないという印象です。
キーキャップ
指が滑りづらくグリップ感のあるキーキャップ。それと引き換えに指紋や跡がつきやすいです。
ちなみにVulcanシリーズには、ホームポジションのFとJキーのほか、FPSをはじめとしたWASDキーで操作するゲームにおけるホームポジションであるWキーにも突起があります。
各種機能
本体右上にはメディアキーが搭載されています。左の ―ボタン を押すとミュート状態になり、右のツマミからは音量調整が行えます。前へ、停止、再生/一時停止、次へ の機能はFn+F9~F11の同時押しで利用できます。
音量調整ツマミは回すときに強めのクリック感があるので、急激なボリューム変化は避けられ、細かな調整が行えます。またキートップよりも僅かに背が高いため、簡単にアクセスできます。
ソフトウェア
Vulcan TKL Proは、ROCCAT製デバイスの統合ソフトウェア「ROCCAT Swarm」に対応しています。以下のURLよりダウンロード可能です。
ROCCAT Swarm:https://ja.roccat.org/Support/Product/ROCCAT-Swarm
設定項目は、キー・マクロ割り当て、LEDライティング、キーリピート速度の調整。AIMOイルミネーションに対応しており、互換性のあるデバイスとライティングを同期することができます。
Easy-Shiftを割り当てたキーを長押ししながら他のキーを押したときだけ第2のキー割り当てを反映させられる「Easy-Shift」にも対応しており、より多くの操作を割り当てることが可能です。
結論とターゲット
「ROCCAT Vulcan TKL Pro」について詳しく見てきました。初採用の光学式リニアスイッチTitan Switch Opticalは、以前までのVulcanシリーズに搭載されていたTitan Speed Switchと比べて少しだけキーが軽く、滑らかに降りていくのが特徴です。
本体が想像以上に軽くて少し不安でしたが、ビルドクオリティにこれといった難もなく、ゲームプレイ中に指に力が入ってしまう方でも安心して使用できる剛性があります。
テンキーレスになってもメディアキーは健在な点、またケーブルが取り外し可能になり、キーボード側にUSB Type-Cポートを採用したことで交換用ケーブルにも対応する点はとても好印象です。コンパクトながら機能性と拡張性を備えたキーボードです。
光学スイッチのオプションによって多少値は張りますが、それと引き換えに滑らかなキータッチと高い耐久性を得られるので、滑らかにキーが降りていくリニアスイッチが好みな方はこの製品を選択する価値は大いにあると言っていいでしょう。
以上、ROCCAT(ロキャット)のゲーミングキーボード「ROCCAT Vulcan TKL Pro」のレビューでした。
vulcan 122を使っているのですが2ヶ月くらいでキーキャップの塗装が剥げ始めました。黒い色かつ記事の製品では長期間使用してそのようなことが起きたりしていないか気になります。どうですか?