「Logicool G913」レビュー。ワイヤレス技術LIGHTSPEEDを備えた薄型ゲーミングキーボード
本稿では、Logicool(ロジクール)のゲーミングキーボード「Logicool G913」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: Logicool
製品仕様と外観
「Logicool G913」は、既にお馴染みであろう独自ワイヤレス技術「LIGHTSPEED」を備えたゲーミングキーボードです。低遅延かつ省電力を謳っており、有線キーボードと同じく1msでのキー応答に加え、最大30時間のバッテリー持続時間を実現しています。
ゲーマーの間で有線ゲーミングデバイスが主に用いられている理由は、ワイヤレス接続では遅延の発生や安定性に欠けることが懸念されるからです。ただし、LIGHTSPEEDの信頼性に関しては、同ブランドのゲーミングマウス「G PRO Wireless」がプロシーンにも広く普及していることからも証明済み。G913に関しても心配は無さそうです。
G913は日本語配列のフルキーボードで、通常キーの他、メディアキーやGキーなどの各種機能キーが備わっています。
付属のUSBレシーバーをPCに差し込むだけで、LIGHTSPEEDによるワイヤレス接続が可能です。バッテリーが切れた際は、PCとキーボード本体を充電ケーブルで接続します。フル充電は0%からわずか3時間で行え、バッテリー持続時間は30時間(LEDライティング輝度100%)。
この他、Bluetoothによるデバイスへの接続もでき、本体上部に備わったボタンで2デバイス間を切り替えられます。
本体背面には、電源スイッチと充電ポートが備わっています。
キースイッチには「コンパクトGLメカニカルスイッチ」が搭載されています。これはKailh製のロープロファイル(低背)キースイッチで、通常のキースイッチよりも背が低いのが特徴です。キースイッチは3種類から選択可能で、それぞれのスペックと比較は以下の通り。
- GLクリッキー (青軸)
- GLタクタイル (茶軸)
- GLリニア (赤軸)
- Cherry MX Blue (青軸)
- Cherry MX Brown (茶軸)
- Cherry MX Red (赤軸)
- 50g
- 50g
- 50g
- 50g
- 45g
- 45g
- 2.7mm
- 2.7mm
- 2.7mm
- 4mm
- 4mm
- 4mm
- 1.5mm
- 1.5mm
- 1.5mm
- 2.2mm
- 2mm
- 2mm
キーストロークが2.7mmと非常に浅いほか、通常のキースイッチよりもアクチュエーションポイントが25%短くなっています。押下荷重は50g統一で、Cherry MX製キースイッチと比較するとやや重ため。キーが浅いことによる誤爆を防止するためでしょうか。
なお、今回のレビュー機はGLリニア(赤軸)搭載モデルとなります。
キースイッチの背が低いだけでなくキーボード本体も薄く、本体の高さはわずか22mmとなっています。プレートは非常にしっかりとしており、中心を押さえつけてもほとんど沈みません。
裏面には滑り止め防止ラバーが貼り付けられているほか、2段階の角度調節スタンドが備わっています。角度はそれぞれ4°と8°。
スペック
Logicool G913 製品仕様 | |
接続方式 | USB無線接続 / Bluetooth接続 |
配列・キー数 | 日本語配列, フルキー |
キースイッチ | ロープロファイルGLスイッチ (赤軸, 茶軸, 青軸) |
キーストローク | 2.7mm |
作動点 | 1.5mm |
押下荷重 | 50g |
キー耐久性 | 未公開 |
ポーリングレート | 1000Hz |
LEDライティング | 対応 (RGB, LIGHTSYNC) |
ソフトウェア | 対応 (Logicool G HUB) |
価格 | 29,997円 (本稿執筆時点) |
パフォーマンス
キータッチ・打鍵音
G913に搭載されたキースイッチは、Kailh製のロープロファイル(低背)キースイッチで、3種類から選択可能です。今回のレビュー機に搭載された GLリニア は、クリック感が一切無い、赤軸に近いものとなります。まず、各キーの押し心地はしっかりとしており、誤入力が発生しづらいです。正確なキー入力に重きを置かれているという印象を受けます。
通常の赤軸キースイッチと比べてキーストロークが短く、アクチュエーションポイントも約0.5mm短縮されていることで、通常の赤軸よりも少ない力でキーが入力できます。また、感覚的にはキーの浅さを感じづらいです。メカニカルというよりもメンブレン方式のそれに近いと感じました。
キーキャップは少しグラつきますが許容範囲。キーを斜めから押し込んでもスイッチの引っ掛かりは一切感じません。
各キーの押し心地がしっかりとしている(押下荷重50g)ので、誤入力してしまう心配は無さそうです。ロープロファイルなので打鍵感に少し癖がありますが、一般的なメカニカルキーボードからの乗り換えでも比較的慣れやすいかと思います。普段からキーを底打ちする方には物足りなさそうです。
キースイッチのパーツ接触によるカチャカチャ音は発生せず、打鍵音はかなり控えめ。浅めにタイピングしても深めに押し込んでも、一貫して「スコスコ」といった音が鳴ります。その他のメカニカルキーボードと比較して、ボイスチャットに操作音が入りづらいのではないかと思います。
今回のレビュー機であるGLリニア搭載モデルは、カチャカチャと心地良くタイピングしたい方には不向きですが、キー操作の正確性と静音性を求める方には適していると思います。通常のメカニカルキーボードでは味わえないスマートな打鍵感です。
Gキーへのキー・マクロ割り当て
G913はさまざまな機能を備えたフラッグシップ機。各所に配置されたキーそれぞれの機能について掘り下げていきます。それぞれの機能をしっかり抑えておけば、かなり便利に活用できるのではないかと思います。
G913の本体左には、カスタマイズ可能なGキーが5つ備わっています。ソフトウェア「G HUB」からキー操作やマクロを割り当てることが可能です。さらに、本体上部に備わったM1 ~ M3キーを押すことでプロファイルが切り替わるので、5キーに最大15種類まで割り当てられます。
注意点として、G913ではGキー以外へのキーリマップは不可能となっています。
キーやマクロのほか、ボイスチャットツールDiscordや、録画配信ツールOBSなど、互換性があるソフトウェアの各種操作を簡単に割り当てられます。また「G PRO Wireless」と同時に接続すると、マウスDPIの切り替えなども割り当てることができました。
M1は作業用、M2はゲーム用など、それぞれの用途ごとに割り当てておけば便利に活用できるでしょう。
その他キーの役割
本体右上のメディアキーからは、各種メディア操作が行えます。上部に備わっているのが音量調節バー、下部のキーは左から順に 前へ、再生/一時停止、次へ、ミュート となります。音量調節バーは抵抗感が無いタイプで、引っ掛からずにスルスルと回ります。勢いよく転がすと、急な音量変化が発生するので注意。
本体上部に備わったキーは左から順に LIGHTSPEED、Bluetooth、ゲームモードの有効化/無効化、LEDライティングの明るさ調整 となります。
LIGHTSPEEDとBluetoothのボタンは、どちらかを押すことで接続デバイスを切り替えられます。例えば、PCにUSBレシーバーでLIGHTSPEED接続、タブレットにBluetooth接続しておけば、ワンタッチで2デバイス間を切り替えながらG913を利用することができます。
ゲームモードでは、特定キーを無効化します。ソフトウェアの項目「ゲームモード」から無効化するキーをカスタマイズできるので、ゲームプレイを妨げるキーを選択しておきましょう。
ちなみに初期設定ではWindowsキー、左Altキー、Fnキーが無効化されており、ソフトウェア上では赤く表示されています。ユーザー側で設定した無効キーは灰色で表示されます。
LEDライティングの明るさ調整ボタンは5段階です。かなり大まかに切り替わるので、細かく調整したい方はソフトウェアの項目「LIGHTSYNC」から行うのがベター。
ソフトウェア
上記でも何度か登場しましたが、改めてご紹介。G913は、Logicool製デバイスの統合ソフトウェア「Logicool G HUB」に対応しています。
- Logicool G HUB:https://gaming.logicool.co.jp/ja-jp/innovation/g-hub.html
設定項目は「LIGHTSYNC」「割り当て」「ゲームモード」の3種のタブに分かれています。
「LIGHTSYNC」ではLEDの発光色やパターンなど、ライティング関連の詳細設定を、「割り当て」では、本体左に備わったGキーへのキー・マクロ割り当て、マクロの記録・保存を行えます。「ゲームモード」では、ゲームモードをONにした際に無効化するキーを選択可能。
またG HUBでは、他のユーザーが作成したプロファイルをダウンロードして適用できます。「プロファイル」タブからゲームタイトルごとのキー割り当てを参考にしたり、「ライト」タブから自分好みのライティング設定を見つけたりと、便利に活用できそうです。
最低限しか求めていないユーザーは手軽にセッティングを済ませられ、搭載された機能を最大限に活用したいユーザーはそれなりに遊べます。ただし、それぞれの項目がどこにあるのかが初見では分かりづらいです。シンプルとは言えません。
結論とターゲット
「Logicool G913」は、メンブレンとメカニカルをミックスしたような打鍵感で、メカニカルキーボード特有のカチャカチャ音を発しません。各キーの押し心地はしっかりとしており、一般的なメカニカルキーボードから乗り換えても慣れやすそうです。また、静音性に優れているので打鍵音が気になる方には良さそうです。
ソフトウェアを駆使し、搭載された各機能を最大限に活用すれば、できることの幅は非常に広いです。シーンごとにキーの割り当てを切り替えたり、ゲームごとにライティングを変化させたりと、ある程度のカスタマイズは短時間で設定可能。多機能かつ楽しめる製品だと思います。
最後に、G913の最大の特徴である”ワイヤレス対応”についてに言及しておくと、遅延や安定性については心配無用です。また、同ブランドの無線ゲーミングマウスG PRO Wirelessと併用していましたが、干渉する様子もありませんでした。
ただし、頻繁に動かすマウスであればワイヤレスの恩恵は大きいのですが、キーボードだと話は別。筆者の場合、キーボードは定位置に置きっぱなしなので、有線でも全く困らないのが本音です。無線接続にコストを割くべきユーザーは限られると思います。
頻繁にデスク上でキーボードの位置を動かすという方や、デスク上からケーブルを取っ払いたい方にとっては非常に快適でしょう。「G913自体には魅力を感じるけど有線でも困らない」という方は、機能がそのままで価格が抑えられた有線モデル「Logicool G813」をチェックしてみてはいかがでしょうか。
以上、Logicool(ロジクール)のゲーミングキーボード「Logicool G913」のレビューでした。