「SkyPAD 3.0 XL」レビュー。前作より大きく、薄く、滑りも向上したガラス製マウスパッド
本稿では、SkyPAD(スカイパッド)のゲーミングマウスパッド「SkyPAD 3.0 XL」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: SkyPAD
ファーストインプレッション
以前より取り上げているSkyPADの強化ガラス製マウスパッドの最新作となります。2.0XLでは特にアナウンスがなかったものの2.0と比べて若干の表面処理の変化が見られましたが、3.0 XLは公式が「スピード50%アップ」を謳っており、より滑らかな表面処理が施されているとのことです。
スペックを確認する限りでは、サイズが500x400mmと2.0XLよりもさらに大きくなったことや、ガラス自体の厚みだったり底面の滑り止めラバーが薄いものへと変更され3mm厚になるなど、もともとニッチな製品ながらもあらゆるユーザーに向けた展開を進めている印象を受けます。
また今作はクラウドファンディングサイト「MAKUAKE」での先行販売が実施されており、国内展開にも力を入れている印象です。これにより入手の敷居が下がることも、国内ユーザーにとっては嬉しいポイントになるのではないでしょうか。なお、キャンペーン実施期間は3/21(月)18時までとなっています。
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製品仕様とスペック
材質 | 強化ガラス | 表面 | 焼き入れ硬化処理 サンドブラスト処理 |
---|---|---|---|
サイズ | 500 x 400 x 3mm | エッジ | コーナーR加工 ラウンドエッジ加工 |
ベース | 4点ラバー | カラー | ブラック / ホワイト |
パッケージと内容物
勿論のことですがフラットなパッケージに入っています。内容物はマウスパッド本体のみ。
バリエーション
カラー
ブラックとホワイトの2色展開です。
前作の2.0 XLでは、ホワイトカラーを選択した際に底面の滑り止めラバーがわずかに表面に透けていましたが、本作ではラバーの素材の変更により改善されています。
また比較画像の通り、3.0 XL(画像下)は前作よりも純白に近い色味となっています。
サイズ
サイズは500 x 400 x 3mmと、ローセンシ対応の大判サイズとなっています。
ちなみに前作の2.0 XLは450 x 370 x 6mmとなっており、一回り大きくなっています。
ガラス部分がやや薄くなっているほか、底面の滑り止めラバーが薄いものへと変更され、厚さ6mm→3mmに。
6mm厚だった前作の2.0 XLは、一般的なマウスパッドよりもデスクとマウスパッドの間に高さができてしまうため、腕や肘をしっかりとデスクに据えてマウスを操作するユーザーにとってはやや気になる部分となっていました。
パフォーマンス
滑走面
数少ない強化ガラス製のマウスパッドで、完全にフラットな滑走面。
滑走面を指でなぞると2.0 XLでは確認できたわずかなザラつきも感じられず、より表面が滑らかになっていることが分かります。拡大して撮影すると微細な凹凸が確認できるものの、肌が触れたときにすべすべとした感触を得られる、全くの別物となっています。
シリーズ中の表面の滑らかさを比較すると 3.0 XL >>> 2.0 XL > 2.0。前作2.0や2.0 XLとは異なる表面処理が、マウス操作時のフィーリングにも変化をもたらしています。
ガラス製マウスパッドの注意点としては、室温によっては表面が冷えることと、肌が乾ききった状態でなければ張り付きが気になること。長袖やアームカバー等を着用し、肌が直接触れない状態で使用することをお勧めします。
操作感
3.0 XLはハイスピードタイプに属するゲーミングマウスパッド (他社製マウスパッドとの比較は後に記載) です。ハードタイプ特有の速い滑走速度、どの方向に滑らせても均一な滑走速度と抵抗感を持ちます。
同じハイスピードタイプで比較すると、SkyPADの前作「SkyPAD 2.0」や「SkyPAD 2.0 XL」よりも滑走速度が速く、Artisanの滑走面にガラスを配合した布製マウスパッド「Artisan 紫電改 Xsoft」よりもやや遅いです。
初動から極めてスムーズで、どの方向に動かしても滑走速度と抵抗感は均一。ストッピングアシストはほぼ期待できないので摩擦に頼らずしっかりと止める必要があります。
この傾向から、トラッキングエイムが主体となるタイトルの適性が高く、フリックエイムが頻繁に求められるタイトルではマウスをピンポイントで止めるのには苦戦する印象です。
どれだけマウスに圧を掛けても摩擦の変化が極めて少なく、いついかなる状況でも手や手首の動きが忠実に再現されるので、理論上は操作の安定性は高いと言えます。ただし安定したピンポイントでのマウス静止には相当な慣れと技術が必要です。
マウス感度について、より正確な位置でのマウス静止が求められるハイセンシよりも、ミドルセンシからローセンシのユーザーの方が扱いやすいと感じる可能性が高いと言えます。またマウス側の重量については、より軽量なものと組み合わせると慣性が働きづらいため止めやすさが増します。
基本性能
ガラス素材を用いたハードタイプのマウスパッド。布製マウスパッドのようにXY軸で滑りの変化がなく、どの方向に動かしても滑走速度と抵抗感が均一です。
硬度が高いガラス1枚板で造られているため、マウスに圧が掛かっても布製マウスパッドのように沈み込むことはありません。力の入り具合で摩擦がほぼ変わらないため、マウスを静止するときは手首や腕でしっかりと止める必要があります。
プラスチック製と比較して、やや劣るがほぼ同等の滑走速度を維持しつつ、「ガリガリ」とソールが削れるような感触が少ないです。(前作の2.0や2.0 XLよりも表面処理が滑らかになった影響で、よりソールの摩耗が抑えられた。とはいえ布製と比べると摩耗は激しい。) また、プラスチック製よりもコントロールし易いです。
相変わらずマウスソールの材質やエッジの処理の違いによる操作感と滑走音の変化が大きいですが、2.0や2.0 XLと比べると緩和されているように感じます。詳しくは後述の【ソール相性】の項で。
2.0 / 2.0 XLとの比較
メーカーは「3.0は2.0と比べてスピード50%アップ」と謳っており、実際に試しても表面処理が滑らかになった影響で、2.0や2.0 XLと比べて滑りは若干速いです。
滑走面を手でなぞったときに明確な違いが感じ取れるように、表面のザラつきが抑えられたぶんマウスがスムーズに滑走するうえに、滑走音も小さくなっています。
また、2.0とは滑り出しと止めのアプローチが異なります。前作では滑り出しに若干の抵抗感があったのに対し、3.0は初動からスムーズです。マウスを止める際には、2.0はハードタイプとしては珍しく僅かなストッピングアシストが感じられたのが3.0では若干薄れており、より摩擦に頼らずにしっかりと止める必要が出てきているように感じます。
表面処理による質感の変化などを見ると、製品としてのクオリティはさらに向上しています。ただし操作面にフォーカスすると、シリーズ間それぞれに異なる特徴があるため優劣はつけづらいです。スピーディーなハードパッドの特徴を抑えながら制御しやすかった2.0、コントロール性能をやや犠牲にしてスムーズになった2.0 XL、さらに滑走速度を重視した3.0といった具合です。
2.0と3.0のどちらが優れていると感じるかはユーザー次第。SkyPADに初めて手を出す場合は問題無いですが、ハードタイプ特有の滑走速度に加えて若干のコントロール性能も併せ持つ前作の独特な操作感に惹かれていたユーザーは少し注意が必要かと思います。
他社製マウスパッドとの滑り比較
3.0 XLは「ハイスピード」タイプに属します。
※それぞれ上から滑走速度が速い順に並べています。筆者の肌感覚なので変動する可能性有り。
エッジ
エッジは丁寧に処理されています。角を丸めるコーナーR加工、側面を丸く磨くラウンドエッジ加工により、手首や腕が擦れてもダメージは一切なく、激しいマウス操作にも干渉しません。
ただし【滑走面】の項でも少し触れたように、ガラス素材の性質上、肌が乾燥しきった状態でなければ張り付きや擦れが気になるため、アームカバー等を装着しての使用を強くお勧めします。
これは前作の2.0や2.0 XLにも見られましたが、ホワイトカラーでは加工の跡のようなもの (写真のような黒い線) が若干残っています。目を凝らさないと分からない程度のものではありますが、気になる方はブラックを選択することを推奨します。
底面
底面の四隅には丸い滑り止めラバーが貼り付けられています。【サイズ】の項でも触れた通り、2.0や2.0 XLのものよりも薄いため、デスクと滑走面に段ができなくなりました。
以前のものと比べてグリップ性能自体はやや劣りますが、マウスパッド自体に重みがあるので、激しくマウスを操作してもデスク上で動くことはありません。また、ラバーの高さは均一でガタつきません。
センサー相性
各種マウスセンサーとの相性をチェック。それぞれの組み合わせでカーソルが正確に追従するかを確かめるほか、センサー挙動を可視化するソフトウェア「Mouse Tester」での測定も行います。
なお、使用環境やファームウェアのバージョンの違いなど、様々な要因によって結果が変動する可能性があり、この検証結果が100%正しいものではないことをお伝えしておきます。また同じセンサーを搭載していても種類が異なるゲーミングマウスでは結果は変動するので、ご参考までに。
〇 正常に動作する
△ 動作に問題は無いが、MouseTesterの波形に乱れが見られる
✖ 通常使用が不可能
現行ゲーミングマウスに搭載されたセンサー9種類との相性を検証したところ、すべて正常に動作しました。また『Apex Legends』や『VALORANT』などでもプレイテストを行っていますが、これといった問題は見られません。
ソール相性
3.0 XLは滑走面の性質上、マウスソールの材質やエッジの処理の違いによる操作感と滑走音の変化が大きいマウスパッドです。
とはいえ滑走面の表面処理が滑らかになったぶん、前作2.0や2.0 XLと比べると明らかに相性が悪いと感じるものは少なくなった印象です。特にソールの大小による設置面積の変化による影響を受けづらくなったように感じます。
PTFE(純度を問わない)との相性が良く、高分子ポリエチレン製ソールも問題無し
エッジがしっかりと処理されたものが好ましい
ソールのサイズは大小問わない
厚さは問わない(布製のように沈み込まないため)
ナイロン製ソールでは不均一な抵抗感が生まれる
布製マウスパッドよりも接地面積による操作感・滑走音の変化がやや大きい
角が取れていないソールの場合は激しく擦れるような感触と大きな滑走音を伴う
筆者が推奨しているエッジが丸められたEsports Tiger製ソールのほか、エッジが緩やかな傾斜になったCorepad製ソールなど、幅広いサードパーティ製マウスソールで違和感なく操作できます。
耐久性・湿気への耐性
布製やプラスチック製と比べて耐摩耗性に優れており、滑走面の摩耗による滑走速度の変化などは見られません。家庭用ガラスクリーナーで表面を拭き取るなど、定期的なメンテナンスを続けていれば、新品に近い状態で使い続けることができます。
一般的な布製マウスパッドは、劣化による滑走速度の変化などが発生し得るため、同じ操作感を維持するために定期的に買い替える必要があります。それが不要となる点は非常に大きなメリットであると言えます。
またブラック・ホワイトの2色を展開していますが、透明のガラス板の底面に着色したものを表面に浮かび上がらせているため、摩耗による色落ちはありません。
手首や腕が触れた状態が続くと、蒸れによって肌とマウスパッド表面が張り付いてしまうため、長袖かアームカバー等を着用して使用することをお勧めします。
結論とターゲット
「SkyPAD 3.0 XL」について詳しく見てきました。前作2.0や2.0 XLよりもさらに表面処理が滑らかになり、実際の操作感も滑走速度を重視したものとなっています。より初動からスムーズになり、どの方向に動かしても滑走速度と抵抗感は均一というメリットは相変わらずです。
ただし、2.0(や2.0 XL)のハードタイプとしては珍しいストッピングアシストも得られる操作感を気に入っていた場合は注意。それらを想定して3.0 XLを手に取ると、滑りがスムーズすぎて制御しづらいと感じる可能性があります。
前作では6mmだった厚みが大半の布製マウスパッドに近しい3mmへと変更されたことは好印象です。また表面処理の変化により、マウスソールの相性問題もかなり緩和されており、エッジの処理さえしっかりとしたものと組み合わせればサイズの大小を問わず違和感なく操作できます。
厄介な湿気や摩耗による操作感の変化を防げることや、耐用年数が長いことを考えると、この操作感を気に入ってさえしまえば極めて高いコストパフォーマンスを誇ると言えます。既存の滑走速度が速いとされる布製マウスパッドで物足りなく感じたり、SkyPADの前作よりもさらにスピードを求める方にお勧め。
総合評価4.5 out of 5.0 stars
初動から極めてスムーズ
より滑らかな表面処理、滑走速度も速い
どの方向に動かしても滑走速度と抵抗感が均一
しっかりと丸められたエッジ
主流マウスセンサーと相性が良い
使用月数や環境の違いで操作感が変化しない
底面の滑り止め性能に優れる
手首や腕が擦れても痛まない
ソールの違いによる操作感の変化が緩和した
主流の布製マウスパッドと同等の3mm厚に
(2.0や2.0 XLのユーザー向け: 前作までの個性とも言える止め性能はより薄れた)
以上、SkyPAD(スカイパッド)のゲーミングマウスパッド「SkyPAD 3.0 XL」のレビューでした。