「Logicool G203 LIGHTSYNC」レビュー。廉価センサーながら短いLOD、万人に勧められるエントリーモデル
本稿では、Logicool(ロジクール)のゲーミングマウス「Logicool G203 LIGHTSYNC」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: Logicool
製品仕様と外観
ゲーミングマウスの良し悪しは様々な要素から判断されます。大きさ、形状、重たさ、センサー性能、センサーの位置、クリック感… などなど。ただ単に本体重量が軽かったり、センサー性能がひたすらに高いことが正義ではないのです。
ただ低価格帯のゲーミングマウスとなると、求められるものはよりシンプルになります。ゲームを問題無くプレイできる性能、かつ致命的な欠点ができるだけ少ないこと。筆者としても、総合点が高ければ”コストパフォーマンスが良い”と評しやすいですし。
今回は、ハイエンドゲーミングマウス市場で猛威を振るうLogicoolが、エントリーモデル「Logicool G203 LIGHTSYNC」を拡充したということでチェックしていきます。直近の製品に対する印象がとても良いだけに期待できます。
G203 LIGHTSYNCは、計6ボタンを備える左右対称ゲーミングマウス。
ホワイト・ブラックの2色展開で、表面はいずれも艶消しのマット。製品名にLIGHTSYNCとある通り、本体後部のフチに沿ってRGB LEDを備えているのが特徴で、ソフトウェアから詳細設定が可能です。
形状を4方向からチェックします。全体的に平べったいデザインで、底面に近づくにつれて幅が狭くなっていく逆台形のようなシルエット。寸法は幅62.15 全長116.6 高さ38.2mmで、小型サイズに分類されます。
現行モデルで同じ形状なのは、エントリー向けのワイヤレスモデルG304と、ハイエンド有線モデルG Pro HERO。再度お伝えしておくと、G203 LIGHTSYNCはエントリー向けの有線モデルという位置付け。
本体重量は公称値85g(ケーブルを除く)で、実測値もちょうど85.0gでした。
最大8,000DPIに対応するセンサーを搭載しています (詳細はメーカー未公表)。ホイール手前のDPI変更ボタンにより切り替えが可能で、初期DPIは400/800/1600/3200。
G304やG Pro HEROと比べると大幅なダウングレードと予想されるため、このセンサーがどれほどの性能を持ち合わせているかによって、G203 LIGHTSYNCの評価が大きく変わってくるのかなと思います。
その他、Logicool製デバイスの統合ソフトウェア「Logicool G HUB」に対応しています。
スペック&ギャラリー
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Logicool G203 LIGHTSYNC 製品仕様 形状 左右対称型 表面素材 プラスチック サイズ 幅62.15 全長116.6 高さ38.2mm 重量 85g (ケーブルを除く) ボタン数 6 センサー – DPI 200~8,000DPI (50刻み) ポーリングレート 125/250/500/1000Hz LoD 1.1mm~ (実測値) スイッチ – ケーブル ビニール製 (2.1m) ソフトウェア 対応 (Logicool G HUB) 価格 4,000円 (Amazon.co.jp、本稿執筆時点) - 製品イメージをチェックする (開閉できます)
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パフォーマンス
持ち方の相性・操作感
改めて、G203 LIGHTSYNCは小型サイズに分類される左右対称ゲーミングマウス。両サイドが底面にかけて絞られていく逆台形シルエットが特徴的で、サイドの3本指が引っ掛かりやすいよう設計されています。
手を覆い被せられるほど大きくないため、基本的にはつかみ持ちかつまみ持ちでの運用となります。最も背が高いのはやや手前側で、小さいとはいえ手のひらを固定するのは意外と容易いです。
これらを踏まえたうえで、一般的な持ち方3種類との相性をチェック。筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があることを前置きしておきます。
かぶせ持ち
本項目の冒頭でもお伝えした通り、かぶせ持ちは難しいです。サイドの形状が人差し指・中指と干渉するため、通常の操作に違和感が生じるほど深く握り込まなければ不安定になってしまいます。
手の形や大きさによっては合うのかもしれませんが、基本的には非常に相性が悪いかと思います。
つかみ持ち
本体後部は意外にもがっちりと手のひらを支えてくれるため、指を自然な位置に添えるだけで握れます。精密な操作が行いやすく、両サイドに角度がついているので軽々と持ち上がります。
筆者の手の大きさ(主に指の長さ)では指にそれなりの角度をつける必要があります。人によってはやや窮屈に感じるかもしれません。
つまみ持ち
個人的にG203 LIGHTSYNCと最も相性が良い持ち方です。指を立たせても寝かせても干渉せず、あらゆるユーザーに適合するかと思います。
ただ、G304のレビューの際にも指摘しましたが、G203 LIGHTSYNCも表面コーティングがなされておらずプラスチック剥き出しなため、指が滑りやすいのが難点です。グリップテープを活用することを推奨します。
ボタン配置・クリック感
メインスイッチ
メインボタンは非常に軽いクリック感で、ストロークも短いです。クリック感に難があると評したG304よりも明らかに跳ね返りが強く、指の力を抜き切らなくてもスイッチが押し戻ってきます。 ※筆者の手元にあるG304×3と比較
少し指に力が入ると誤爆してしまう柔らかいスイッチは、どこかG Pro Wirelessに似ている印象です。当然、慣れれば改善されますが、逆に大半のゲーミングマウスのクリック感を「固いな」と感じてしまうキッカケにもなりそう
サイドボタン
サイドボタンは思ったよりも上側に配置されており、ストロークが長めで沈み込ませて反応させる必要があります。ボタン自体が細くて短いため、親指で探っても瞬時に見つかりづらいです。
個人的に、手前側が押しづらく、奥側が押しやすいと感じます。何にせよこれは好みが分かれそう。
ホイール
ホイールはチープな造りですが、確かなノッチ感があり、操作した回数が把握しやすいです。瞬間的に求められる1ノッチ分の操作も正確に行えますし、誤爆する心配もありません
ホイールクリックは固くて詰まった感じの押し心地で、跳ね返りが弱いため複数回の連打は難しいです。
センサー性能
G203 LIGHTSYNCのセンサー仕様は、最大8,000DPI、最大加速度25G、最大速度200IPS。型番は未公表ですが、安価なゲーミングマウスによく積まれている廉価センサーの類ですね。なんにせよ、このセンサーの性能次第でG203 LIGHTSYNCの評価は大きく変わると言えます。
ホイール手前のDPI変更ボタンから400/800/1600/3200DPIの4段階に切り替えることができるほか、ソフトウェアから200~8,000DPIで数値を調整可能です。
例のごとく、Mouse Tester (xCount, xSumの2種)でセンサーの正確性を検証。DPIは400/800/1600/3200で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「PureTrak Talent」上でテストを実施しました。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。
MouseTester: xCounts
MouseTester: xSum
xSumでは綺麗に波形に沿った点が確認でき、xCountsでも波形の大きな乱れは見られません。
実際にゲームで使用しても違和感は無く、よほどシビアな環境を求めるコアゲーマーでない限りは安心して使用できる性能だと評します。
リフトオフディスタンス (LoD)
マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。使用するマウスパッドによって数値が変動する可能性があります。
マウスパッド「PureTrak Talent」上で計測した結果、G203 LIGHTSYNCのリフトオフディスタンスは1.1mmでした。廉価センサーとしては短すぎない…?ということで他の布製マウスパッドでも検証しましたが、同じく平均1.1mm前後となりました。凄い。
※検証に使ったマウスパッド一覧:PureTrak Talent, SteelSeries QcK Heavy, BenQ ZOWIE G-SR, Artisan 零 Soft, Logicool G640, Xtrfy GP2
他社製のエントリーモデル (最近だとRazer Viper Mini, SteelSeries Rival 3, ASUS ROG STRIX IMPACT IIなど) は、廉価センサーによる”LoDの長さ”が一つの懸念点となっていました。今回の結果をLogicoolが意図的に調整したものと見るならば、今後のエントリー向け製品の展開にも非常に期待できます。
マウスソール
マウスソールは、四隅に楕円形が4枚、センサー周りにO型が1枚。角が丸められており引っ掛かりはありませんが、やや滑りが劣るように思います。
小型のものであれば汎用ソールが乗っかるので、気になる方は交換してみては。
ケーブル
ビニール製ケーブルはそれなりに硬いですが、編組ケーブルほどの抵抗は感じません。ケーブルは実測値2.6mmと細いため、一部のマウスバンジーではしっかり固定できません
何やらブッシュ部分がとてつもなく長いのが気になりましたが、ケーブルをマウスバンジーで浮かせたときにマウスパッドとの接地を防ぐことができるため、これはこれで悪くないかもしれません
ソフトウェア
G203 LIGHTSYNCは、Logicool製デバイスの統合ソフトウェア「Logicool G HUB」に対応しています。以下のURLよりダウンロード可能です。
Logicool G HUB:https://gaming.logicool.co.jp/ja-jp/innovation/g-hub.html
設定項目は、LEDライティングに関する設定、6ボタンへのキー・マクロ割り当て、200~8,000(50刻み)のDPI調整となります。とてもシンプルです。
結論とターゲット
「Logicool G203 LIGHTSYNC」について詳しく見てきました。エントリー向けの製品としては文句無し… 強調したいのは、廉価センサーを搭載しているにもかかわらず、実測値1.1mmというLoDの短さを実現している点です。
もしこれがLogicoolの独自調整によるものならば、廉価センサーの可能性が広がるかもしれませんね。よほど要求が高くない限りはセンサー挙動も問題無いですし、今後も同スペックで異なる形状のモデルを展開してほしいです。
そもそも低価格な製品なので当然っちゃ当然なのですが、プラスチック剥き出しの表面や、ホイールの物理的ギミックなどにはチープさを感じます。それを考慮しても十分すぎる仕様、形状が気に入るならば間違いなく低価格帯で勧められるゲーミングマウスの一つです。
以上、Logicool(ロジクール)のゲーミングマウス「Logicool G203 LIGHTSYNC」のレビューでした。