「Razer DeathAdder V2」レビュー。まだ欠点は抱えつつも大幅にアップデート

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「Razer DeathAdder V2」レビュー。まだ欠点は抱えつつも大幅にアップデート

本稿では、Razer(レイザー)のゲーミングマウス「Razer DeathAdder V2」のレビューをお届けします。

Razer DeathAdder V2
価格: 9,680円 (本稿執筆時点)

製品仕様と外観

DeathAdderシリーズは2006年に初めて発売され、これまでで累計1,000万台以上が販売されている、非常に有名なゲーミングマウスの一つです。大半のゲーマーが知っていると言っても過言ではないのではないしょうか。

そんなポピュラーな製品ではあるものの、コアゲーマーには避けられることが多いのも事実。その要因の一つとして、新モデルは頻繁に発表されるものの革新的なアップデートは無く、いつからか競合製品と比べて劣るものになっていったことが挙げられます。

大幅にアップデートを遂げたのが今回レビューするDeathAdder V2。前作から23gの軽量化が施された(105gから82gへ)ほか、光学式メインスイッチ・高性能センサー・パラコードケーブル・100%PTFEテフロン製ソールを備えるなど、かなり気合いの入った仕様に。早速詳しく見ていきます。

DeathAdder V2は計7ボタンを備える左右非対称型ゲーミングマウスです。寸法は 全長127.0 mm 幅61.7 mm 高さ42.7 mmで、大型サイズに分類されます。

マウス表面はややザラついたプラスチックで、両サイドの指先が触れる部分には滑り止めのラバーが貼り付けられています。まずまずのグリップ感です。

形状を4方向からチェック。ありふれたIE3.0クローンのように見えますが、指先までフィットするよう細かく設計されています。左右メインボタンの大きな窪みが印象的です。

本体重量は公称値82g(ケーブルを除く)、実測値は78.9gでした。

センサーにはRazer Focus+ (PixArt PMW3399のカスタム)が搭載されています。主なスペックは ~20,000DPI、650IPS、加速度50G。リフトオフディスタンス(LoD)の調節にも対応しています。

ソフトウェア「Razer Synapse」による詳細設定に対応しています。マウス本体には、ホイール手前にDPI変更ボタン (デフォルト設定は400/800/1600/2400/3200)、底面にプロファイル切り替えスイッチが搭載されています。

スペック&ギャラリー

仕様/スペックをチェックする (開閉できます)
Razer DeathAdder V2 製品仕様
形状 左右非対称型
表面素材 プラスチック、ラバーグリップ(サイドのみ)
サイズ 幅61.7 全長127.0 奥行42.7mm
重量 82g (ケーブルを除く)
ボタン数 7
センサー Razer Focus+ (PixArt PMW3399カスタム)
DPI 最大20,000DPI
ポーリングレート 125/250/500/1000Hz
LoD 1.0mm~ (実測値)
スイッチ 光学式スイッチ (7,000万回耐久, Razer Optical Mouse Switch)
ケーブル パラコード (2.1m / Razer Speedflex Cable)
ソフトウェア 対応 (Razer Synapse 3)
ソール 100%PTFE (0.8mm)
価格 9,680円 (Amazon.co.jp、本稿執筆時点)
製品イメージをチェックする (開閉できます)
Razer DeathAdder V2
価格: 9,680円 (本稿執筆時点)

パフォーマンス

持ち方の相性・操作感

DeathAdder V2は いわゆるIE3.0クローン。人間工学に基づいて設計された左右非対称のエルゴノミクスデザインです。メインボタンにも人差し指・中指のガイドとなる窪みがあったりと、手のひらにピタッとフィットする形状となっています。

ちなみに従来のデスアダーとは全く同じ形状で、表面コーティングなどにも目立った違いはありません。

これらを踏まえたうえで、一般的な持ち方3種類との相性をチェック。筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があることを前置きしておきます。

かぶせ持ち

かぶせ持ちは非常に相性が良いです。先に薬指・小指の位置を決め、ほんの少しだけ斜めに覆い被せることで手のひらから指先まで吸い付きます。

筆者の手の大きさだと、手首を接地させることもさせないことも可能です。それなりに大きいため、小型マウスを好む方、平均よりも手が小さい方は「大きすぎる」と感じるかもしれません。

つかみ持ち

つかみ持ちとも相性が良いです。筆者の手の大きさだと、サイドのくびれている部分がちょうど指先にくるため、自然なフォームで握り込めます。また、本体後部の幅が広いので、親指の第一関節から小指の第一関節までで挟み込むような感覚で固定できます。

つまみ持ち

DeathAdder V2は背が高くて幅も広いため、つまんだときにマウスと手の間にゆとりがほとんど生まれず、指の関節を使った細かなAIMが行いづらいです。

また、左サイドの窪みがやや奥にあり、それに合わせて親指を配置しないと違和感が生じるため、つまみ持ちは基本的には難しいと言えるでしょう。

ボタン配置・クリック感

メインスイッチ

メインボタンには光学式スイッチ「Razer Optical Mouse Switch」が搭載されており、これまでのDeathAdderシリーズとは異なるクリック感となっています。メーカーいわく反応速度は最高速0.2msで、メカニカル方式と違ってチャタリングしづらいという利点もあります。

ViperやViper Ultimateの初期ロットで指摘した”過度な跳ね返りの弱さ”は見られませんが、やはり通常のメインボタンと比べるとテンションが足りない印象。クリック感はDeathAdder Eliteと比べても軽くなっていますが、ストロークは従来通りで少し長いです。

サイドボタン

大きめのサイドボタンは、やや固めでストロークが短く「カチッ」と歯切れの良いクリック感。

筆者の場合、親指をマウスパッドと接地するかしないかのギリギリまで下に配置しても、手前のサイドボタンに少しだけ被さります。力の加え方によっては誤爆する可能性あり。

ホイール

ホイールはノッチ感が弱く、非常に軽い力でコロコロと回ります。

この特性から、ホイールを回しかけている時にマウスを瞬時に浮かせて降ろすなどの衝撃を加えると、ホイールが1回分反応してしまいます。DeathAdderシリーズ共通の欠点であると言えます。

センサー性能

DeathAdder V2の搭載センサーは Razer Focus+ (PixArt PMW3399カスタムセンサー)。初期DPIは400/800/1200/1600/3200で、ソフトウェアから200~20,000DPIを50刻みで調整できるほか、リフトオフディスタンス調整、キャリブレーションにも対応しています。

例のごとく、Mouse Testerでセンサーの正確性を検証。DPIはそれぞれ400, 800, 1600, 3200で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「PureTrak Talent」上でテストを実施しました。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。

MouseTesterの見方について
基本的には、波形に点が綺麗に沿っていれば、マウスのセンサーが正確なトラッキングを行えている、という認識で構いません。マウスを動かす速度が速いほど、波形が縦方向に長く生成されます。つまり、波形の折り返し地点は、マウスが最高速度に達したことを表します。

  • 横軸 Time(ms):経過時間を表す、1000分の1秒
  • 縦軸 xCounts:マウスの左右への移動量。右に動かすと波形が上方向に、左に動かすと波形が下方向に生成される。マウスを動かす速度が速くなるほど、縦方向に大きな波形が生成される。

例えば、「中間地点の波形に点が綺麗に沿っているが、折り返し地点でブレが生じている」という場合、基本的には正確にトラッキングできているが、マウスを動かす速度が速いと反応がブレる、といった見方となります。 しかし、折り返し地点のブレが毎回同じような傾向だった場合、「マウスを早く動かすとカーソルが毎回その動きをする」ということですので、カーソルの動きは安定しているということになります。そのような場合、マウスを早く動かすとカーソルの動きに癖が出るものの正常、といった認識で構いません。

MouseTester: xCounts

MouseTester: xSum

ゲームプレイ中の実際のトラッキングも含め、センサー挙動は良好です。

リフトオフディスタンス (LoD)

マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。使用するマウスパッドによって数値が変動する可能性があります。

ソフトウェアでキャリブレーションを済ませたうえで最も短い設定にし、マウスパッド「PureTrak Tallent」上で計測した結果、DeathAdder V2のリフトオフディスタンスは1.0mm前後でした。十分に短い数値であると言えます。

マウスソール

DeathAdder V2に採用されているのは厚さ0.8mmの100%PTFEテフロン製ソールで、上下に2枚、センサー周りにO型が1枚。角もさほど立っておらず、非常に滑りやすいです。

ケーブル

ケーブルはViperから初採用の「Razer Speedflex Cable」。従来のケーブルよりも柔らかくて軽い、いわゆる疑似パラコードケーブルです。

交換用パラコードケーブルと比べると芯が残っていて硬いですが、標準のものとしては取り回しやすいです。

ソフトウェア

DeathAdder V2は、Razer製デバイスの統合ソフトウェア「Razer Synapse」に対応しています。以下のURLよりダウンロード可能です。

Razer Synapse:https://www2.razer.com/jp-jp/synapse-2

設定項目は、各キーへのボタン・マクロ割り当て、100~20,000のDPI調整(50刻み)、ポーリングレート切り替え(125/500/1000)、LEDライティング設定、リフトオフディスタンス調整、キャリブレーションとなります。

キャリブレーションとは、センサーを使用中のマウスパッド向けに調整し、最適化する機能です。Razer製マウスパッドから選択するか「カスタム」から新規作成し、調整しておきましょう。

結論とターゲット

「Razer DeathAdder V2」について詳しく見てきました。大型エルゴノミクスマウスは選択肢が少なく、いくつか挙げたとしても”新興の軽いもの”か”従来通り重たいもの”の2択を強いられていた印象ですが、本製品はその中間を取ったともいえる82g。明らかに操作性は向上しています。

しかし、いくつかの欠点を抱えています。主な問題点は、やはりViperやViper Ultimateのように光学スイッチの跳ね返りが物足りないことや、ホイールが緩すぎるためにゲームプレイ中に不意な衝撃を与えてしまうと誤作動が起こること。

スイッチ調整は好みの問題も大きいので、これが致命的な欠点とまでは言いません。これ以外は良く出来ており、自然と選択肢に含まれるレベルまで引き上がった印象です。「大型IE3.0クローンを探しているがDAは敬遠していた」という方も、試して損は無さそうです。

Razer DeathAdder V2
価格: 9,680円 (本稿執筆時点)

以上、Razer(レイザー)のゲーミングマウス「Razer DeathAdder V2」のレビューでした。

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この記事を書いた人

ミオニ
eスポーツ向け ゲーミング周辺機器のレビュアー
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