仕様・スペック
| 配列 | JIS |
|---|---|
| サイズ | 65% |
| 寸法 | 313 x 104 x 37mm |
| 手前の高さ | |
| 重量 | 1.15kg |
| タイピング角度 | 5° |
| ケーブル差し込み口 | 左 |
| 端子の種類 | USB Type-C |
| ケース | 6063 CNC フルアルミニウム |
| プレート | |
| マウント方式 | ガスケットマウント |
| キーキャップ | Dye-sub PBT (Cherry Profile) |
| ソフトウェア | Webドライバー |
|---|---|
| ポーリングレート | 8000 |
| スキャンレート | 32000 |
| レイテンシー | 0.087ms |
| スイッチ | VARO Non-Contact Magnetic |
| 検知方式 | 磁気 |
| アクチュエーションポイント | 0.1mm |
| Rapid Trigger | 対応 |
| RT中間精度 | 0.01mm |
| RT底部精度 | 0.01mm |
| SOCD | ☑️ |
| ライティング | |
|---|---|
| ライティングの向き | |
| Fnキー再配置 | |
| プロファイル切り替え |
レイテンシー 比較
はじめに
VAROのゲーミングキーボード「VARO VM65HE」をレビューします。
レビュー用サンプル提供: VARO
今回レビューするVM65HEは、日本語配列かつ矢印キー付きの65%レイアウトを採用したラピッドトリガーキーボードです。
いくつかの差別化ポイントがあり、その1つが「分割スペース」です。本来は横に長いスペースバーが真ん中で綺麗に2つに分かれています。
どちらも親指で楽に押せる位置にあるので、ゲームでのキャラ操作などのキー割り当ての自由度が上がります。
もう1つが、ラバードーム採用の静音磁気スイッチ「VARO Non-Contact Magnetic Switch」を標準で搭載していること。以前も動画で取り上げた、まるでリアフォのような感触と音の静かさを、低遅延かつ高精度な磁気スイッチに落とし込んだものです。
VAROは海外メーカーながら日本語配列のキーボードを積極的に展開していますが、ただ日本語配列にするだけではなく、”刺さる人に刺さる要素”をしっかりと取り入れてきているように感じます。
基本仕様
まずは本体のデザインからチェックしていきます。見ての通りシンプルなデザインで、目立つような装飾はありません。
ケースは表面の仕上げが綺麗で、アルミニウム特有の質感の良さを感じます。角が丸められていて、少し柔らかい印象を受けます。
キーキャップはベーシックなフォントで中央に印字されており、日本語配列キーボードらしくないクールさを感じます。テカリやベタつきに強いPBT素材でできています。表面はさらさらとしていて快適で、指先が引っかかることはありませんでした。
見た目で差別化を狙うのではなくシンプルなデザインを貫く路線は個人的に好みです。
キー配列やレイアウトについて改めて触れておきます。
本体がコンパクトながら矢印キーが付いているのは65%レイアウトの強みといえます。
また、無変換キーや変換キーなど、最下段のキー数が多いのは日本語配列の特徴ですが、さらにスペースバーが2分割されています。(日本語配列と英語配列の比較)
WEBドライバーでキーリマップを行うことで、これらのキーを有効活用できます。好きなキーを割り当てられるのはもちろん、3層のFNレイヤーが用意されており、FNキーの位置も自由に動かせます。
一般的なキーボードでは、親指が届く範囲の大部分をスペースバーが占拠してしまいます。このキーボードなら複数のキーを押せるので、たとえば VCを入れる ピンを出す 何でも良いのですが、使いやすいキーを割り当てて、効率的に操作ができます。
真ん中で綺麗に2つに割れているのも、左右両方のキーに親指が無理なく届いて良い感じ。
Shift が2U 少し幅が狭い 交換用キーキャップを購入するときにかなり注意が必要
ケーブル差し込み口は背面の左側にあります。接続端子はType-Cで、ケーブルが1本付属します。
タイピング角度は約5°と少し控えめでした。一般的には6~7°のものが多いです。ただし、そこまで違和感を感じることはなく、使っているうちに自然に馴染んでくれました。
裏面には滑り止めラバーが貼り付けられています。フルアルミケースということもあり、角度調整のためのチルトスタンドは搭載されていません。
打鍵感
このキーボードはガスケットマウント構造を採用しています。打鍵時の硬さを和らげたり、底打ちの衝撃吸収、タイピング音の最適化などの効果あり。
60%や65%のラピトリキーボードはトレイマウント採用機が圧倒的多数です。これはコストが低くて量産しやすいからだと推測できます。既に出来上がっている市場のスタンダードに乗せられず、しっかりと作り込むその姿勢にはこだわりを感じます。
キースイッチは2種類から選択可能です。
- VARO Very Peri Magnetic Switch
- VARO Non-Contact Magnetic Switch
VARO Very Peri Magnetic Switch
筆者が開発に携わった磁気スイッチです。
タイピング時に心地よさを感じられるよう打鍵音を少し低めに調整し、押しと戻りでの音の粒がなるべく揃うように仕上げています。
ストロークの感触は滑らかで引っかかりなし。軸ブレは極小とまではいかないものの十分に抑えてあり、RT 0.02mm設定で問題なく使える精度です。
VARO Non-Contact Magnetic Switch
ラバードームによる無接点構造を採用した磁気スイッチです。
磁気スイッチはどれもリニアな感触ですが、これはソフトタクタイルで、まるで東プレ REALFORCEのような感触を実現しています。さらに、かなり静かなサイレントスイッチでもあります。
押下圧は45gに調整されています。軽すぎず重すぎない、自然と馴染みやすいものだと思います。
キーの揺れはかなり小さいです。底まで押し込んだあとのブレもほとんど感じず、ラピッドトリガー0.01mmのような設定にも耐えます。
こう見えてKS-20との互換性があります。つまり他の磁気キーボードでもこのスイッチは使用可能です。
通常の磁気スイッチにはスプリングが搭載されており、跳ね上がる際にキレがあります。
その一方でこのスイッチは、ラバードームの形状が戻ることでキーが跳ね上がる仕組みなので、“べこっ” とした独特な感触があります。リアフォの感触が非常に近いのですが、触った経験がない方は少し注意が必要です。
どちらのスイッチを搭載したモデルも、マイルドな底打ち、ほぼ均一な打鍵感・音を実現しています。
スタビライザーもルブ済みで、スペースバーやエンターキーまで手が抜かれておらず、一貫して感触の良さを楽しめました。
プレートの素材が硬いので、キー打鍵時に沈み込むことがなく、ゲーム操作においても不快に感じる部分は特にありませんでした。
性能/ソフトウェア
レイテンシー 比較
VARO VM65HEの性能面はトップクラスであると言えます。
実測レイテンシーは驚異の 0.087ms でした。これは他の製品と比較して非常に速く、日本語配列のカテゴリだけでなく英語配列を含めた全体で見ても最速クラスです。性能を重視する方にとてもおすすめできます。
また、ラピッドトリガー0.01mmと0.1mmで精度を検証したところ、いわゆるボトムデッドゾーンは無く、キーを押す深さにかかわらず一定の移動量でON/OFFが切り替わりました。実際のゲームプレイでも指の動きに連動して瞬時にON/OFFが切り替わり、とても反応がいいように感じました。
詳細設定はブラウザで開けるWEBドライバーから行えます。
- アクチュエーションポイント:0.1~3.4mm (0.01mm刻みで調整可)
- ラピッドトリガー:0.01~3.4mm (0.01mm刻みで調整可、ON/OFF感度を個別に調整可)
今のところスイッチの選択肢はVARO Very PeriとNon-Contactの2種類のみ。ただし筆者が検証する限り、KS-20互換スイッチであればVery Periを選んでおけば問題なく動作しました。
安定動作をサポートする機能もあり。
- トリガーガード機能:いわゆるデッドゾーンを0.01~0.5mm(0.01mm刻み)の間で意図的に追加できる
- 底部最適化:誤作動を防止するため0.1mmの底部デッドゾーンを追加できる (確実な動作を求めるユーザー向け)
自動キャリブレーションでの動作に対応しているのも強みです。
0.01mm単位のような細かな調整を可能とするラピッドトリガーキーボードのほとんどが、手動キャリブレーションを強いられます。これは、各キーのストロークを正しく検知するために定期的に行うメンテナンスで、キーを1つ1つ順番に押していくという工程を踏まなければいけません。
その一方で、このキーボードは接続時に自動でキャリブレーションが行われるので、面倒な手間をかけずに使うことができます。これは大半のユーザーにとってメリットといえるでしょう。
手動キャリブレーションの項目自体は用意されているので、万が一動作に不安を感じた場合は実施するといいでしょう。
まとめ
VARO VM65HEは日本市場で人気のある日本語配列65%レイアウトを採用しつつ、分割スペース・静音磁気スイッチを取り入れることで他の製品との差別化を図った、意欲的なラピッドトリガーキーボードです。やや高価ではありますが、それに見合うほどクオリティが高いです。
この製品の強みを再度挙げると:
- 60%/65%では一般的なトレイマウントではなくガスケットマウントを採用しています。この内部構造の違いにより、競合と比べて打鍵感・音がグレードアップしているように感じます。
- トップクラスの性能を意識した設計により、実測0.08ms台という驚異的な遅延の少なさを実現しています。
”見た目はシンプル、でも中身は超本格的”。こういったものが好みに刺さるという人は間違いなく買って損のない1台です。



















