Artisan Shidenkai V2 Mid レビュー
今回はArtisanのゲーミングマウスパッド「Artisan Shidenkai V2 Mid」をレビューします。
レビューサンプル提供: Artisan
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この製品について
先日このマウスパッドの開封をTwitchの配信上で行っていたところ、最近Artisanに入社されたuNleashedjpことtaharaさんが来てくださいました。PTFEでも超高分子量ポリエチレンでもない丸形汎用ソールを出すこと、滑走面とスポンジが分かれていて自由に取り換えられるRMシリーズの開発が進行しているそうです。現状Artisanは公式のSNSアカウントを持たず、こういった情報はtaharaさんの個人アカウントで公開される形になるかと思います。
Artisan 紫電改はある日を境に製造がストップして各ショップからも姿を消していましたが、今後近いうちに新しい滑走面を採用した新型が販売される予定です。今回はその新型のサンプルを鈴木ノリアキさん経由で送付いただいたので発売前にレビューを掲載しています。
ラインナップ
ブラック・ホワイト・オレンジの3色展開
梱包・巻き癖
いつものフラットパッケージ。巻き癖ゼロで使い始めることができます。
サイズ
Artisan 紫電改 Midレビュー用サンプルの寸法は490 x 420mmです。
以前と同じであればこれより小さいサイズも展開されるかと思います。
厚さ
以前と同じであればXsoftが4mm、Midが3mm。
エッジ
エッジはステッチ加工が施されています。手触りは硬くてステッチ幅は狭め。スポンジ硬度Midでは滑走面よりもステッチの方がわずかに背が高いです。ステッチにマウスが乗り上げると引っ掛かります。
他のArtisan製マウスパッドと同様、SoftやXsoftでは滑走面よりもエッジの背が低くなっている可能性があります。そもそもArtisanはスポンジ硬度により厚みが異なり、SoftとXsoftが4mm厚なのに対し、Midのみ3mm厚とやや薄いものが使われています。この厚みの違いによりエッジと滑走面の高さの関係が逆転してしまっているのではないかと推測します。
ベース
底面には高機能ウレタンフォーム「PORON」が採用されています。高密度で平坦度が高いのが特徴です。
Soft・Xsoftはデスク天板に吸着しやすく、一度設置した場所から動くことはありません。Midもほぼ同様のグリップ性が得られますが、デスク天板を軽く濡らしてから設置するなどの工夫が必要です。ラバーウッド天板とメラミン化粧板の両方でうまく機能することを確認しています。
表面特性
旧型との比較ベースで解説すると、まず表面の質感が変化しており粉感が無くなっています。これは中の人曰く、ガラスが離脱しづらいように少し深めに埋めてあるからだそうです。この影響か、旧型はマウス滑走時に浮遊しているような感覚であったのに対し、新型は滑らせている感触が手元にしっかりと伝わるようになりました。
操作感に関して、旧型は止めを度外視して滑りに特化した性能であったのに対し、新型は滑りを大きく落とさないまま旧型にはないブレーキ感も現れ、コントロール性が感じられるものになっています。滑走速度はわずかに遅いもののそこまで落ちておらず、「Artisan 疾風乙 XSoft」「Odin Gaming Infinity」より速く「Artisan 飛燕」「Razer Strider」より遅いといったところ。スピードタイプに分類できます。
表面の質感はサラサラとしています。肌に触れるのは樹脂層のためテクスチャは感じません。アームカバーとの相性について、「ワコール CW-X」は少し引きずって腕が振りづらいですが、「ダイソー 水を汚さず着色したスポーツ用縫製アームカバー(吸水速乾)」と「SkyPAD ゲーミングアームスリーブ」では抵抗が少なく快適に操作できます。
ちなみに紫電改の樹脂コーティングを剥がすと飛燕のような梨地織りの布が出てくるというのは一部の層に知られた話ですが、あれは厳密には飛燕と同じ布ではなくその辺で買えるアムンゼン生地とのこと。他のArtisanの滑走面に使われる布はすべて特注で、布自体はあまり影響のない紫電改だけは市販のものを使っているという話みたいです。これもTwitch配信上に現れたtaharaさんが教えてくださいました。
スポンジ硬度
Artisanはスポンジの硬度を数種類から選択できるマルチ硬度を特徴とするメーカーです。紫電改は前作と同じであればMidとXsoftが提供されるかと思います。今回のレビュー用サンプルはMidです。
指で強く押してもほとんど沈み込みません。紫電改は滑走面に硬めの樹脂層が敷かれているので、スポンジが柔らかいものを選択してもソールの沈み込みは最小限に留まります。マウスを押し下げても余分な摩擦はほとんど得られません。
操作感
Artisan 紫電改Midはスピードタイプに属するゲーミングマウスパッドです。縦横の滑りの差は感じられず、どの方向に滑らせても滑りに一貫性があります。中間層のスポンジは硬く、滑走面も樹脂層が敷かれていて硬いため、ソールがほとんど沈み込みません。マウスを押し下げても余分な摩擦が加わらず、常にほぼ一定の滑走速度が得られます。これらの特徴はハードタイプのマウスパッドに近いものであると言えます。
同タイプのマウスパッドと比較して滑り出しは標準からやや遅めに感じます。マウスを細かく動かして微調整するときに引っ掛かることはありませんが、スピードタイプのマウスパッドとしてはマウスを左右に振って切り替えすときの引きずり感が強く、低速で滑らせたときのブレーキ感が強いです。
個人的には旧型の性能アップ版と感じています。旧型と比べて滑走速度はワンランク落ちるものの、程よいブレーキ感が現れてコントロール性が感じられるようになっており、あらゆるマウスの動かし方に対応しやすいと感じます。
トラッキングエイムのような対象を追いかける動きと相性が良いうえに、フリックエイムのようなピンポイントでマウスを止める動作も難なく行えることから、一方に特化している『VALORANT』『Apex Legends』のようなタイトルはもちろん、両方の動きが求められる『オーバーウォッチ2』のようなタイトルにも適します。
しかし、従来の紫電改のようなとにかく軽快な滑りを求めているユーザーは違和感を覚えるかもしれません。使っているうちにすぐに慣れる範囲の変化ではありますが、以前のような操作感とは大きく異なります。また類似マウスパッドであるVancer ICEは、新旧紫電改の中間のようなフィーリングをもたらします。
ソール相性
マウスソールの形状や大きさの違いによる操作感の変化は少ないです。PTFEの純度など素材の違いによる変化については、その素材が持つ特徴がそのまま反映される印象です。
結論とターゲット
「Artisan 紫電改 Mid」について詳しく見てきました。フラットパッケージに梱包されているので巻き癖に悩まされることはありません。ベースには高密度で平坦度が高いうえにデスク天板に吸着する高機能ウレタンフォーム「PORON」が採用されています。エッジは滑走面よりも少しだけ浮き上がっており、マウスが乗り上げると引っ掛かります。Midよりも厚みが1ミリ増しているSoftとXsoftではエッジの方が背が低くなっている可能性があります。
旧型のようなマウス滑走時の浮遊感が無くなり、滑らせたときの感触が強めに手元に伝わります。滑りの速さはワンランク落ちてスピードタイプ相当で、同タイプのマウスパッドと比べて滑り出しは標準から少し重たいです。止めを度外視した旧型の操作感からは考えづらいですが、程よいブレーキ感が得られコントロール性も感じられるのが新型の大きな特徴です。『Apex Legends』のようなトラッキングエイム主体のタイトルだけでなく、ピンポイントでマウスを止めることが要求される『VALORANT』のようなタイトルも問題無くプレイできます。
止めを度外視して滑りに特化したピーキーな操作感の旧型とは別物ですが、筆者個人としては正当進化版として受け入れることができています。スピード系マウスパッドを好んで使用していて、滑りの速さをあまり落とさずにコントロール性を得たいと考えている方にお勧めです。また普段コントロール系マウスパッドを使う筆者目線では、コントロール系と比べて滑り出しが極めて速いところが気に入っています。
総合評価4.5 out of 5.0 stars
沈み込まない硬いベース
サラサラとした質感
縦横の滑りの差がほぼ感じられない
一度設置した場所から動かない
優れたセンサー互換性
アームカバーが引っ掛からない
耐湿性が高い
以上、Artisanのゲーミングマウスパッド「Artisan Shidenkai V2 Mid」のレビューでした。