TJ Exclusives Cerapad KIN レビュー
本稿では、TJ Exclusivesのゲーミングマウスパッド「TJ Exclusives Cerapad KIN」のレビューをお届けします。
レビューサンプル貸出: HID-Labs
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この製品について
Cerapad KINは滑走面が高耐久なセラミックになったゲーミングマウスパッドです。多くのハードタイプのマウスパッドは滑走速度が重視されていますが、Cerapad KINはそれらよりも非常に滑りの遅いコントロールを重視したものになっています。またガラス製マウスパッドと比べて肌への張り付きが軽減されており、よほど汗をかかない限りは長袖やアームカバー無しでも快適に扱えます。
製品仕様とスペック
材質 |
滑走面: セラミック
ベース: 強化ガラス
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表面 | – |
---|---|---|---|
サイズ |
PLUTONIUM: 405 x 355mm
IRIDIUM: 505 x 405mm
OSMIUM: 605 x 405mm
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厚さ | – |
エッジ | ラウンドエッジ加工 | ベース | すべり止めラバー |
カラー | グレー |
開封と仕様確認
サイズ
Cerapad KINは以下の3種類のサイズを展開しています。今回のサンプルはIRIDIUM (505 x 405mm)で、ローセンシにも対応する大判サイズとなっています。さらに大きなサイズも用意されているので、あなたがウルトラローセンシだったり、大きいサイズのマウスパッドが少し小さく感じる場合でも安心です。
- PLUTONIUM (405 x 355mm)
- IRIDIUM (505 x 405mm)
- OSMIUM (605 x 405mm)
厚さ
Cerapad KINはSkyPAD 3.0 XLと比べてわずかに厚く、SkyPAD 2.0やHID-Labs RINKよりも薄いです。底面には薄くて丸い滑り止めラバーが貼り付けられており、十分なグリップ性能を発揮します。マウスパッド自体にも重みがあるので一度設置した場所から動くことはありません。マウスパッドとデスク天板との間にわずかな隙間しかないので、動かしたいときに少し不便な思いをするかもしれません。
エッジ
側面はラウンドエッジ加工が施されていて丸く磨かれています。エッジは角が取られていて手首や腕が擦れても痛くなく、滑らかに処理されているので長袖やアームカバーが引っ掛かることもありません。マウス操作は快適に行えます。ただし、コーナーは角ばっていて指で叩くと少し痛いです。
パフォーマンス
表面特性
Cerapad KINはセラミックを滑走面に採用したゲーミングマウスパッドで、ハードタイプとしては滑走速度が非常に遅く、コントロール性を重視した操作感を特徴としています。他のハードタイプのマウスパッドはハイスピードタイプ相当の滑りの速さなのに対し、Cerapad KINはスピードバランスタイプに分類されます。滑走速度は「PureTrak Talent」よりも速く「Fnatic DASH」より遅いといった具合です。ハードパッド特有の一貫した滑りに、コントロールを容易とする滑走時の強い引きずり感を掛け合わせた、非常に珍しい操作感のマウスパッドです。縦横の滑りの差はありません。
(ただし注意点として、Cerapad KINを含むハードタイプのマウスパッドは滑りに一貫性があり、布製のように中間層の沈み込みによって摩擦の変化が生じません。つまり、マウスに圧を掛けることによりストッピングアシストは得られず、表面摩擦に頼ってマウスを止める必要があるので、布製マウスパッドとは感じ方が大きく異なる可能性があります。)
表面の質感はとても滑らかで、手触りはサラサラとしています。ガラス製マウスパッドと比べて肌の張り付きがかなり軽減されており、相当汗をかかない限りは素肌に触れる状態で使用していても快適です。もちろん、マウス操作時に手首や腕が擦れても痛くなく、長袖やアームカバーを着用していても引っ掛かりません。
大抵のハードパッドに共通して言えることですが、マウスをある程度滑らせてソールを慣らす必要があります。使い始めは滑走時にザラザラとしたり吸着しているかのような詰まり感が生じることがありますが、数時間経つと本来の滑らかな操作感が得られます。これは公式サイトのFAQにも記載されています。ソールの摩耗は布製マウスパッドと比べると速いですが、他のガラス製マウスパッドと比べるとかなり遅いようです。
メンテナンスは公式で販売されているクリーナーキットが推奨されていますが、ガラスクリーナーとマイクロファイバークロスで代用できます。また、表面にほこりや髪の毛などが付着していると操作感を大きく損なうので、定期的に表面を乾拭きすると快適に使用できます。
他社製マウスパッドとの滑り比較
Cerapad KINは「スピードバランス」タイプに属します。
※それぞれ上から滑走速度が速い順に並べています。筆者の肌感覚なので変動する可能性有り。
操作感
Cerapad KINはスピードバランスタイプに属する唯一のハードパッドです。同タイプのマウスパッドと比較して静摩擦がかなり小さく、スムーズな滑り出しによりマウスの微調整が容易に行えます。滑走中は強い引きずり感があるので、表面の摩擦に頼って止めることができます。また、どの方向に滑らせても滑りの速さは一定です。Cerapad KINはスピードバランスタイプ相当の滑りの速さに加え、ハードパッドの長所である初動の速さと一貫した滑りも兼ね備えた特異なマウスパッドです。
ただし、精密なショットが求められる『VALORANT』や『CS:GO』のようなタイトルでうまく扱うには慣れが必要です。マウスに圧を掛けたときの沈み込みによって発生する摩擦は、咄嗟にマウスを止めるときに役立ち、ほとんどの布製マウスパッドのユーザーが無意識に(または意識して)活用していると考えられます。Cerapad KINは他のハードパッドと比べて明らかにフリックエイムへの適性が高く『KovaaK’s』や『Aim Labs』で検証しても全く問題無いように思えます。しかし、インゲームで急に敵が飛び出してきてマウスを握る手に力を入れながら咄嗟にフリックするようなシーンでは、沈み込みが利用できないために力の逃げ場がなく、マウスが震えたり波打つことがあります。
『オーバーウォッチ2』や『Apex Legends』では常に快適です。敵に照準を合わせ続けるトラッキングエイムが主体になるタイトルでは、Cerapad KINの滑り出しのスムーズさ・滑走時の引きずり感から得られるコントロール性の両方がうまく機能します。
上記のことから、布製マウスパッドからの乗り換えを検討している場合、マウスの震えや波うちを抑えるためにマウス操作時に脱力する必要があるという点は頭に入れておいた方がいいでしょう。他のガラス製マウスパッドから乗り換える場合、滑走速度は大きく異なるものの静摩擦の少なさや滑りの一貫性といった大まかな特性は同じなので、すんなりと移行できるかと思われます。
互換性
センサー相性
各種マウスセンサーとの相性をチェック。それぞれの組み合わせでカーソルが正確に追従するかを確かめるほか、センサー挙動を可視化するソフトウェア「Mouse Tester」での測定も行います。
なお、使用環境やファームウェアのバージョンの違いなど、様々な要因によって結果が変動する可能性があり、この検証結果が100%正しいものではないことをお伝えしておきます。また同じセンサーを搭載していても種類が異なるゲーミングマウスでは結果は変動するので、ご参考までに。
〇 正常に動作する
△ 動作に問題は無いが、MouseTesterの波形に乱れが見られる
✖ 通常使用が不可能
主要マウスセンサーを搭載したゲーミングマウス11種で検証した結果、PixArt PMW3310を除く10種類で正常に動作しました。また、3310よりも古い光学式センサーでは動作しない可能性があります。このほか『VALORANT』『Apex Legends』でのプレイテストも行い、同様の結果が得られました。
ソール相性
Cerapad KINを快適に使用するには、マウスをある程度滑らせてソールを慣らす必要があります。いくつかのマウスで試したところ、「Logicool G PRO X SUPERLIGHT」や「Zygen NP-01S」など面積の大きいソールが貼り付けられたものほど使い始めの違和感が生じやすい印象ですが、慣らしさえ済んでしまえばソールの大小を問わず使用できます。
あくまで一例ですが、Esports Tigerの汎用型ソールと組み合わせると貼る個数によって滑り具合を調整できるので相性が良いように感じます。「Esports Tiger ICE 汎用型」は滑走時に純PTFEらしい滑らかなフィーリングをもたらし、低速時にもエイムの微調整が行いやすいです。「Esports Tiger Arc2 汎用型」は滑走時にザラザラと表面を削っているような引きずり感の強いフィーリングとなり、大きな動きからのピンポイントの止めが行いやすいです。「Esports Tiger Arc1 汎用型」はArc2と比べて若干引きずり感が弱いです。
結論とターゲット
「TJ Exclusives Cerapad KIN」はハードタイプの長所である少ない静摩擦と一貫した滑りはそのままに、マウスパッド全体で見ても中間程度のハードタイプとしては非常に遅い滑走速度を両立する、特殊なゲーミングマウスパッドです。
そのコントロール性の高さからフリックエイムにも適しますが、やはり『VALORANT』や『CS:GO』など咄嗟なフリックを求められるタイトルでは、布製マウスパッドのような中間層の沈み込みがないことでマウスの震えや波打ちが生じることがあります。これはハードタイプ共通の短所と言えます。
ハードパッドは万人向けではありません。布製マウスパッドからの乗り換えを検討している場合、上記の長所と短所を照らし合わせて自分は手に取るべきかを考える必要があります。一方でトラッキングエイムが主体となる『オーバーウォッチ2』『Apex Legends』のようなタイトルでは滑り出しのスムーズさ・滑走時の引きずり感から得られるコントロール性の両方がうまく機能して快適に操作できます。
布製マウスパッドを使用していて中間層の沈み込みが無くても気にならないという場合、Cerapad KINは滑走速度に対して圧倒的にスムーズな滑り出しをもたらし、同程度の滑りの布製マウスパッドよりもマウスの微調整が容易に行える、他にない長所を持った唯一の選択肢となります。もしくは既にガラス製マウスパッドをメインで使用していて、より滑走速度が遅いものを探している方にも適しています。
総合評価5.0 out of 5.0 stars
静摩擦が小さい
一貫した滑り
肌が張り付きづらい
アームカバーが引っ掛からない
設置した場所から動かない
メンテナンスが容易
十分なセンサー互換性
十分なソール互換性
3310センサーで動作しない
中間層の沈み込みがない
表面の埃を拭き取る必要がある
以上、TJ Exclusivesのゲーミングマウスパッド「TJ Exclusives Cerapad KIN」のレビューでした。