「Razer Viper Mini」レビュー。ありそうで無かった形状の小型軽量ゲーミングマウス
本稿では、Razer(レイザー)のゲーミングマウス「Razer Viper Mini」のレビューをお届けします。
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製品仕様と外観
「Razer Viper Mini」は、Razerから以前発売された軽量ゲーミングマウス Viper の小型軽量モデル。Viperからセンサー性能がダウングレードされ、39.99ドルと良心的な価格設定となっていることから、エントリーユーザー向けの製品と言えます。
最近のRazerは同シリーズに複数のモデルを展開する傾向にあることから、このViper Miniも上位機種がリリースされる可能性は大いにありそうですが、ひとまずどのような性能を持ち合わせているのか、詳しくチェックしていきましょう。
Viper Miniは 6ボタンを搭載する左右対称ゲーミングマウス。寸法は幅53.5 全長118.3 高さ38.3mmで、小型サイズに分類されます。現状、本体カラーはブラックのみ。
本体表面はマイクロテクスチャーのプラスチック。Viperには両サイドに滑り止めラバーが貼り付けられていましたが、Viper Miniでは撤廃されています (手前がViper Mini)。
形状を4方向からチェック。ViperよりもViper Miniの方が小さいのはもちろんですが、背が高いのはViper Miniの方。単なるViperの小型版ではない印象を受けます。詳しくは後述します。
本体重量は公称値61g(ケーブルを除く)、実測値は60.1gでした(何故か公称値より軽かった)。現状では、肉抜き無しで50g台に迫るマウスは他に存在しませんね。
センサーは最大8,500DPIに対応するPixArt PMW3359が搭載されています。このような性能の劣るセンサーを採用している場合、リフトオフディスタンス(LoD)の長さが気になるところです。後ほどチェックします。
その他、Razer製デバイスの統合ソフトウェア「Razer Synapse」に対応しています。
スペック&ギャラリー
- 仕様/スペックをチェックする (開閉できます)
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Razer Viper Mini 製品仕様 形状 左右対称型 表面素材 プラスチック サイズ 幅53.5 全長118.3 高さ38.3mm 重量 61g ボタン数 6 センサー PixArt PMW3359 DPI 最大8,500DPI (100刻み) ポーリングレート 125/250/500/1000Hz LoD 最短1.6mm (実測値) スイッチ 光学式 (Razer Optical Switch) ケーブル 疑似パラコード (Razer Speedflex Cable) ソフトウェア 対応 (Razer Synapse) 価格 -円 (Amazon.co.jp、本稿執筆時点) - 製品イメージをチェックする (開閉できます)
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パフォーマンス
持ち方の相性・操作感
Viper Miniは、Viperの全長が短くなって背が高くなったような形状です。そのまま小さくした、という表現は合わないです。横から見ると分かりやすいのが、Viperのような後部の平べったさが無く、傾斜が急になっています。
手のひらが本体後部に収まりやすくなったため、よりつかみ持ちに適正のある形状になったという印象。また、両サイドの深めの窪みはそのままなので、つまみ持ちのグリップ感にも長けています。
XM1ほど窪みは深くなく、ZOWIE S2よりも若干深め。コブの位置はこれらよりも前(ほとんど真ん中)。ざっくりと「〇〇に似てるね」とは言えるものの、完全にフィーリングが一致する形状のマウスは見当たりません。
これらを踏まえたうえで、一般的な持ち方3種類との相性をチェック。筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があることを前置きしておきます。
かぶせ持ち
かぶせ持ちは決して相性は良くないですが、手が小さめの方ならば持てなくはないです。全体的に平べったいですが、真ん中あたりにコブがあるので、意外とグリップ感に長けています。
参考程度に、筆者の手の大きさでは小さすぎます。手の長さが17cm以下の方ならば適性がありそうです。
つかみ持ち
つかみ持ちはとても相性が良く、全長が短めのマウスを好む方に勧めたいです。
全体的にそこまで高さはないものの、Viperよりも本体後部の傾斜が急なため、手のひらが吸い付きます。サイドの形状も一切干渉しません。
つまみ持ち
つまみ持ちは最も相性が良いです。全長が短いうえ、高さも適切。サイドの3本指を配置するには困らないほどのスペースがあります。
両サイドのラバーは撤廃されましたが、窪みが深い形状なためグリップ感は十分です。筆者はつまみ持ちで運用しています。
ボタン配置・クリック感
メインスイッチはViperから引き続き、光学式の「Razer Optical Switch」が採用されています。ストロークは非常に短く、軽いクリック感です。
以前のレビューで「Viperは跳ね返りが弱くて連打しづらい」と評しましたが、Viper Miniはより軽くなったうえに跳ね返りの強さも適切で、連打・指切りが容易に行えます。明確な違いがあります。
※筆者の手元にあるのは初期ロットのViper。「少し遅れて入手したViperは普通に連打しやすいとの声があったので、サイレントでアップデートされている可能性有り。
サイドボタンはストローク短めでやや固い、タイトな押し心地です。こちらはViperと大差ありません。本体からほとんど飛び出しておらず、押す際には親指をしっかりと寄せる必要があります。
Viperとは違い、サイドボタンは左側のみに搭載されています。
ホイールはViperよりもやや軽めで、ノッチ感もやや弱め。ゴロゴロと回ります。一方で、ホイールクリックはViperよりも固いものの、タイトめ(より詰まった感じ)で押しやすいです。
センサー挙動・リフトオフディスタンス
Viper Miniの搭載センサーはPixArt PMW3359です。ソフトウェアから最大8,500DPI(100刻み)の調整が可能なほか、簡易的なキャリブレーション(既存のRazer製マウスパッドを選択する形)にも対応しています。
例のごとく、Mouse Tester (xCount, xSumの2種)でセンサーの正確性を検証。DPIは400/800で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「PureTrak Talent」上でテストを実施しました。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。
- MouseTesterの見方について
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基本的には、波形に点が綺麗に沿っていれば、マウスのセンサーが正確なトラッキングを行えている、という認識で構いません。マウスを動かす速度が速いほど、波形が縦方向に長く生成されます。つまり、波形の折り返し地点は、マウスが最高速度に達したことを表します。
- 横軸 Time(ms):経過時間を表す、1000分の1秒
- 縦軸 xCounts:マウスの左右への移動量。右に動かすと波形が上方向に、左に動かすと波形が下方向に生成される。マウスを動かす速度が速くなるほど、縦方向に大きな波形が生成される。
例えば、「中間地点の波形に点が綺麗に沿っているが、折り返し地点でブレが生じている」という場合、基本的には正確にトラッキングできているが、マウスを動かす速度が速いと反応がブレる、といった見方となります。 しかし、折り返し地点のブレが毎回同じような傾向だった場合、「マウスを早く動かすとカーソルが毎回その動きをする」ということですので、カーソルの動きは安定しているということになります。そのような場合、マウスを早く動かすとカーソルの動きに癖が出るものの正常、といった認識で構いません。
xCounts
xSum
MouseTesterの波形はそれなりに綺麗。Viperからセンサーはダウングレードしていますが、実際にゲームプレイで試してもトラッキングに違和感は無く、ほとんどのユーザーにとって実用上は問題無いと言えます。
マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。使用するマウスパッドによって数値が変動する可能性があります。
何も設定せずマウスパッド「PureTrak Talent」上で計測した結果、Viper Miniのリフトオフディスタンスは2.2mmでした。センサーをダウングレードしているぶんLoDは長いです。
Viper Miniはソフトウェアから既存のRazer製マウスパッドを選択する形でキャリブレーションが行えます。Redditに立ち上がった「Viper MiniのLoDを短くする」と題されたスレッドを参考に、「Vespula V2 Hard」を選択し、長さを4~5に設定するとLoDが最短距離に。しかし筆者の環境では、この設定では挙動が怪しいです。
しかしViper Miniでは”どの設定でもセンサーが微かに反応する位置がコンマ数mmは存在する”ので、センサー反応が完全に途絶える距離を断点しづらく、完全なるLoDの短縮とは言えないのが難点。
PureTrak Talent上で問題無く動作する範囲で試しましたが、「Goliathus Control」を選択してLoDを1(最短)に設定した場合、LoDは約2.0mmまで短縮。また、標準ソールの上にカグスベールを重ね貼りすることで約1.6mmまで短縮できました。
マウスソール
マウスソールは厚さ0.8mmの100%PTFE(テフロン)製で、大サイズが上下に2枚貼り付けられています。適度に角が取られていてマウスパッドに引っ掛からず、質の良い滑りやすいソールです。
ただし前述の通り”LoD長すぎる問題”があるために、LoDを短縮するべくソール重ね貼りなどの対策を講じると標準ソールを活用できないというジレンマ。少し残念ですね。
ケーブル
ケーブルはViperから引き続き「Speedflex Cable」が採用されています。いわゆる疑似パラコードケーブルです。交換用パラコードケーブルと比べると歴然の差ですが、標準ケーブルとしては取り回しやすいです。
ソフトウェア
Viper Miniは、Razer製デバイスの統合ソフトウェア「Razer Synapse」に対応しています。以下のURLよりダウンロード可能です。
Razer Synapse:https://www2.razer.com/jp-jp/synapse-3
設定項目は、6ボタンへのキー・マクロ割り当て、最大8,500DPI(100刻み)の感度調整、4段階のポーリングレート切り替え、LEDライティングに関する設定、キャリブレーション(既存のRazer製マウスパッドから選択)となります。
価格設定からするにエントリー向けのViper Miniですが、RGBライティング機能「Razer Chroma」にも対応しています。ViperやViper Ultimateと違い、本体後部の底面にもLEDゾーンが存在するので、より派手に光らせられます。
結論とターゲット
「Razer Viper Mini」について詳しく見てきました。安価なゲーミングマウスとしては全体的に良い出来ですが、唯一とも言える欠点がリフトオフディスタンスが長いこと。筆者の環境ではソフトウェアの設定とソールの重ね貼りで1.6mmまで短縮できましたが、これでも決して短いとは言えません。
形状に関しては、Viperをそのまま小型化したとは言い表しがたく、全くの別物と思ってしまっていいでしょう。つかみ持ち・つまみ持ちに適した形状は、個人的には高く評価しています。
またViperは左右クリックの跳ね返りが弱かったのが、Viper Miniでは明瞭になっていたり、好みが分かれる両サイドのラバーが撤廃されたことも評価できる点。総合的に見てかなり良いゲーミングマウスだと思います。
大半の印象が良かっただけにLoDの件は残念ではありますが、これは低価格帯マウスに採用されるセンサーの弱点ですし、5,000円という価格を考えるとエントリー価格帯の製品であると言えるので仕方ないのかなと (Viper Miniはなぜか敷居が上がってしまっている印象を受けるので、この一文を締めとしておく)。
以上、Razer(レイザー)のゲーミングマウス「Razer Viper Mini」のレビューでした。