「XROUND AERO Wireless」レビュー。低遅延を実現したゲーム向け完全ワイヤレスイヤホン
本稿では、XROUND(エックスラウンド)の完全ワイヤレスイヤホン「XROUND AERO Wireless」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: XROUND
ファーストインプレッション
低遅延を謳う完全ワイヤレスイヤホンが増えている中、XROUNDよりAAC/SBCコーデックで50msの低遅延を実現したイヤホンが登場。実際に手持ちのiPhoneで検証したところ遅延は体感できないレベル。iOS/Android機でバトロワなどの競技性の高いゲームをプレイしている方に適しています。
専用のiOS/Androidアプリからイコライジングなどのカスタマイズが可能なので、用途に合わせて細かく調節することも。その他の基本性能も申し分なく、価格設定とのバランスが取れているため、幅広いユーザーの選択肢になるかなと。
別売りのBluetoothトランスミッター「XT01」と組み合わせるとPCやPS5、Nintendo Switchなどにも接続可能に。ただし筆者が検証する限り、FPSなどの本格的なPCゲームには適していないように思います。PS5やNintendo Switchは未検証。
製品仕様とスペック
ドライバー | 6mmチタンコートドライバー | 感度 | 103dB |
---|---|---|---|
インピーダンス | 16Ω | 防塵・防水性能 | IP54 |
重量 | イヤホン:約4.2g x2 充電ケース:約45.8g |
充電時間 | 0%から1時間でフル充電 |
再生時間 | イヤホン:最大6時間 充電ケース:最大24時間 音量50%、AACコーデック |
マイク | 4*MEMS (片側2*MEMS) |
Bluetooth方式 | Bluetooth ver. 5.0 | 最大通信距離 | 約10メートル |
対応通信プロファイル | AVRCP1.6 / HSP1.2 / HFP1.7 / A2DP1.3.1 | 対応Bluetoothコーデック | SBC、AAC |
再生周波数帯域(A2DP) | 20~20,000Hz | メーカー保証 | 購入日より1年間 |
パッケージと内容物
内容物は AERO Wirelessイヤホン本体、充電ケース、USB-C充電ケーブル(約15cm)、SpinFitコンフォートイヤーピース(S,M,L)、AERO遮音イヤーピース(S,M,L)、取扱説明書。
パフォーマンス
ビルドクオリティ
イヤホンと充電ケースはプラスチック製で、質感はチープすぎず、価格相応といったところ。
寸法は56 x 56 x 29mmとよく見かけるサイズ感ですが、イヤホンは片側4.2g、充電ケースが約45.8gとかなり軽く、気軽に持ち運べます。
接続
AERO WirelessはBluetooth 5.0に対応した完全ワイヤレスイヤホン。最大通信距離は公称値10メートルと短めで、対応BluetoothコーデックはSBC、AAC。メーカー独自に開発した低遅延技術によって、Bluetooth接続時の音ズレを極限まで抑えているのとこと。
イヤホンを充電ケースに取り付けてから蓋を閉じ、再度開けた状態で数秒待つとペアリングモードに移行します。手持ちのiPhone SEではスムーズに導入できました。
XT01との併用でPCやPS5にも
別売りのBluetoothトランスミッター「XROUND XT01」を用意すれば、PCやPS5、Nintendo Switchなどのあらゆるデバイスで使用可能となります。通信距離は最大15メートル、Bluetoothバージョンは5.0で、aptX、aptX LLなどの高音質なBluetoothコーデックに対応しています。
USB Type-C to Type-A変換ケーブルが付属しているので、USB-Cポートが無いデバイスでも問題なく接続できます。またトランスミッターを介した際はマイクが無効となりますが、外付けのマイクも付属しています。
遅延は体感できるのか
AERO WirelessのAAC/SBCにおける遅延は最小50ms(0.05秒)を謳っています。同コーデックに対応する他社製ワイヤレスイヤホンと比べて遅延が極めて少ないのが特徴です。XROUND公式ブログの遅延に関する資料ではメーカー名は伏せられていますが実測値も公開されています。
アプリから「ゲーミングモード」に切り替えたうえで実際にスマートフォンで使用しましたが、筆者の感覚では遅延を感じることはなく、リアルタイムで音が届いているように感じました。
XT01側はaptX LLに対応していますが、AERO Wirelessは未対応なので、XT01を介して接続した場合はAACコーデックになります。XT01を介してAERO WirelessをPCに接続しながら『Apex Legends』をプレイして検証しましたが、ハッキリと体感できるほどの遅延は発生しません。
aptX LL対応の他社製イヤホンをXT01を介して接続し、入念に使い比べましたが、体感できるような差はありませんでした。ミリ秒単位の遅延も妥協したくないコアゲーマーならこの手のイヤホンは避けた方が無難ですが、PCゲームに併用しても問題無いほど遅延は抑えられていると言えます。
バッテリー
イヤホンは最大6時間の連続再生が可能で、充電ケースは最大24時間のバッテリーを備えています。(AACコーデック、音量50%でテスト時) 実際にスマートフォンとペアリングした状態で、音量50%で音を鳴らしっ放しにしたところ、6時間以上は持続しました。
使用する頻度にもよりますが、出先で数時間の使用という用途を想定すると、充電ケース込みで数日は持ってくれます。充電ケースを開いたときにバッテリー残量をLEDで示してくれるので、チェックしておけば充電し忘れも防げます。バッテリー周りに関しては優秀だと思います。
イヤホン・ケースのどちらも、フル充電に要するのはたった1時間です。充電速度は十分に速く、出先で充電が切れてもモバイルバッテリーに数十分繋いでおけば、その日は使い続けることができます。
ただしPCやPS5などで1日中ゲームするような用途には向いていません。音量にもよりますが、大体6時間おきに1回は充電が必要です。この手のイヤホンは「出先での音楽鑑賞やスマホゲームでも使えて、さらに自宅でのゲーム”にも”使いまわせる」といった具合で、PCやPS5のゲーム専用に導入するには不向きです。
サウンド
AERO Wirelessの音質に関しては、スマートフォンとPCで印象が大きく変わるように思います。
iPhone SEにペアリングしてステレオ再生すると、ドンシャリ気味でやや中音域が控えめ。これはこれでスッキリとした聴き疲れしない音という印象を受けるのですが、専用アプリ「XROUND MyTune」から7バンドのイコライザー設定が可能なので、好みに合わなければ容易に改善できます。
また、特許取得済のバーチャルサラウンド技術「XROUND Lite」も利用でき、Level1とLevel2の2段階を選択できます。Level1よりもLevel2の方がゲインが掛かって全体的に出力が大きくなり、ステレオでは埋もれ気味だった中音域が持ち上がる印象です。
バーチャルサラウンドはしっかりと役割を果たし、ステレオ再生と比べて明らかに方向感を掴みやすくなります。リスニングでも確かに音場が広がりますが、ゲームで使用すると奥行きが深くなるのがすぐに感じ取れます。この価格帯のワイヤレスイヤホンとしては音のクオリティは高く、特にバーチャルサラウンドの効果には光るものがあります。
ただしバーチャルサラウンドとイコライジングの同時利用は不可能です。
一方で、XT01を使ってPCに接続して『Apex Legends』をプレイしたところ、筆者の環境ではデフォルト設定で高音が他の音域に比べてかなり大きく、耳に刺さってしまいます。銃声が耳に刺さるので音量を上げづらく、その結果足音が聴き取りづらいといった具合に。
ただ、AERO WirelessはPCに接続した状態でもスマートフォンのアプリからイコライジングやバーチャルサラウンドなどの設定を行えるので、ある程度は改善可能です。PC接続時にアプリを利用するまでの手順はやや複雑なので、以下に記しておきます。
PCに接続しながらスマホアプリを使用する方法
- アプリをインストール済みのスマートフォンにAERO Wirelessをペアリングする
- イヤホンをケースに収めたまま、アプリを開いてイコライザー調整画面に移動する
- イヤホンをケースから取り出し、もう一度ケースに入れ、オレンジ色のLEDが点灯するか確認する
- アプリを開いたまま、AERO Wirelessケースに搭載されたボタンを3秒間長押しし、左右イヤホンの白色のLEDが点灯したら指を離す
- XT01をPCに接続し、XT01側面のボタンを長押ししてペアリングモードに移行し、AERO Wirelessに接続する
- もう一度アプリ上の「接続」ボタンを押すと、PCに接続した状態でアプリ制御が行える
PCゲームにおけるイコライジングもある程度は機能し、高音を耳に刺さらないようカットしつつある程度の音量を確保できました。ただし、毎度同じ手順を踏むのはかなり手間が掛かるので、PCなどで利用する際のセッティングをあらかじめ決めておくとストレスフリーかと思います。
装着感
AERO Wirelessの装着感は良好で、とにかく軽く、長時間装着していても快適です。
遮音性はそこまで高くありません。どちらのイヤーピースを使用していても、周囲の音を完全に遮ることはなく、音量50%では外出時に車が隣を通り過ぎたときに音楽がかき消されることも。
AERO遮音イヤーピース、SpinFit可動式コンフォートイヤーピースがそれぞれ3サイズずつ付属しています。
筆者の耳にはSpinFit社製のMサイズのイヤーピースがピッタリと合いました。薄くて柔らかいシリコンが耳に密着し、優れたフィット感をもたらします。また、筆者の場合はSpinFit社製のほうが全体的にクリアな音に聴こえるのでそちらを使用しています。
マイク
マイクは音声通話に使用するには十分な品質です。クリアな音質とは言い難いですが、ハッキリと聞き取れるほどの性能です。外出時の通話でもノイズキャンセリングのおかげである程度の環境音を遮ってくれるので、相手に不快感をそこまで与えないのが好印象。
ただし注意点として、XT01を介してUSB接続する場合、マイクは無効となります。これはAERO Wireless側の問題ではなくコーデックの仕様上避けられないので仕方のない部分ではあるのですが、Bluetoothイヤホンがゲーム用途にフィットしづらい理由の一つでもあると感じます。
XT01パッケージには外付けのマイクが同梱されているため、PS4やPS5、Nintendo Switchで利用する場合、ゲーム機本体やコントローラーにこれを取り付ければ問題なくボイスチャットが可能です。
コントロール
共通 | 2回タップ | 再生/一時停止 通話を開始/終了 |
左耳 | 上下スワイプ | 前/次の曲へ |
3回タップ | なし | |
2秒ロングタッチ | サラウンドオン/オフ | |
右耳 | 上下スワイプ | 音量を上げる/下げる |
3回タップ | なし | |
2秒ロングタッチ | 音楽/ゲーミングモード切替 |
上下スワイプによる音量調節は、1回スワイプする度に1段階切り替わるだけ。前述の数秒のラグも重なって、スムーズに操作することができません。細かな調節なら気になりませんが、大きく上下するならスマホ本体から調節した方が手っ取り早いといったところ。
専用アプリ「XROUND MyTune」からタッチパネルの操作設定を変更できます。ただしこれは好きな設定を割り当てられるわけではなく、既存機能の場所を置き換えるのに留まります。
耐久性
充電ケースやイヤホンはすべてプラスチックで出来ているため、耐衝撃性に関してはそこまで期待できなさそうですが、イヤホン自体は軽いので不意に落としてもダメージは皆無でした。
IP54に準拠した防水・防塵性能を備えており、少し水が掛かった程度であれば大丈夫なようです。それぞれ「いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けない」「機器の正常な作動に支障をきたしたり、安全を損なう程の料の粉塵が内部に侵入しない」と説明があります。
普通に使用していれば一切問題無いほどの耐久性を備えています。
結論とターゲット
「XROUND AERO Wireless」について詳しく見てきました。iOS/Android機において圧倒的な低遅延を実現しているのが本製品の魅力で、スマートフォンでバトロワなど競技性の高いゲームをプレイしている方に最適です。イコライジングやバーチャルサラウンドも利用でき、あらゆる用途に役立てられます。
別売りのBluetoothトランスミッター「XT01」によってPCやPS5、Nintendo Switchにも用途を広げられ、イコライジングやバーチャルサラウンドの利用も可能です。ただし、連続再生時間が6時間ということを考えると、本格的なPCゲーム用途には不向きです。※PS4やSwitchでは未検証
着け心地はとてもよく、長時間装着していても疲れづらいです。その他、通話に困らないマイク性能、数日は持つバッテリー持続時間も備えており、ゲームだけでなく普段使いも快適にこなせる完全ワイヤレスイヤホンとなっています。
総合評価4.0 out of 5.0 stars
iOS/Androidで低遅延を実現
優れた音質、イコライジングも可能
ハイクオリティなサラウンド技術
イヤホン・ケースともに軽量
優れた装着感
十分なマイク性能
十分なバッテリー持続時間
コントロールにやや癖あり
連続再生6時間でFPSなど本格的なPCゲームとの相性は悪い
以上、XROUND(エックスラウンド)の完全ワイヤレスイヤホン「XROUND AERO Wireless」のレビューでした。