「Razer BlackShark V2 Pro」レビュー。バランスが取れた”失敗しづらい”無線ゲーミングヘッドセット

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「Razer BlackShark V2 Pro」レビュー。バランスが取れた”失敗しづらい”無線ゲーミングヘッドセット

本稿では、Razer(レイザー)のゲーミングヘッドセット「Razer BlackShark V2 Pro」のレビューをお届けします。

レビューサンプル提供: Razer

Razer BlackShark V2 Pro
価格: -円 (本稿執筆時点)

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製品仕様と外観

今回は、BlackSharkシリーズの最上位モデルとして登場した「BlackShark V2 Pro」を見ていきます。有線版の上位モデルの仕様を受け継ぎつつ、Razer独自の無線技術であるHyperSpeed 2.4Ghzワイヤレス接続と3.5mm有線接続の両方に対応しているのが特徴。

ワイヤレスヘッドセットながらソフトウェア「Razer Synapse」による詳細設定に対応しており、サウンドやマイクのイコライジングや、多くのゲームタイトルをサポートするバーチャル7.1chサラウンド「THX Spatial Audio」も利用可能です。

以前にレビューした有線版のエントリー向けモデル「BlackShark V2 X」が非常に良かったこと、また有線版の上位モデル「BlackShark V2」には触れていないだけに、最上位モデルには期待が持てます。早速見ていきましょう。

内容物は、BlackShark V2 Proヘッドセット本体、USBレシーバー、着脱式マイク、充電用ケーブル、有線接続用ケーブル(1.3m)、持ち運び用ポーチ。

ヘッドセット本体は PUレザーのヘッドバンド、マット表面のイヤーカップ、布製メッシュ(FlowKnit)のクッションで構成されています。他のハイエンド帯の製品と比べると、細い金属で作られたスライダー部分が目立ちます。チープではありませんが、高級感はそこまで感じません。

本体重量は公称値320g。同シリーズの有線版と比較すると、BlackShark V2が262g、下位機種のBlackShark V2 Xが240gなので、バッテリーを搭載するぶん重量はそれなりに増加しています。

有線版の上位機種であるBlackShark V2と同じく、このBlackShark V2 Proにもチタンコートのダイヤフラムを備えた「Razer Triforce Titanium 50mm」ドライバーが採用されています。主なスペックは 周波数特性12~28,000Hz、インピーダンス32Ω、感度100dBSPL/mW @1kHz。

ヘッドバンドはPUレザーで覆われており、フチもしっかりと縫われています。なんとなくハイエンド帯のゲーミングヘッドセットはこのような見た目のものが多い気がします。

クッション部分に採用されているのは、FlowKnit製メモリーフォームイヤークッション。メーカーいわく通気性に優れた素材で、汗や肌の接触による熱の蓄積を最小限に抑えるほか、ヘッドセットの締め付けを軽減するとのこと。

「Razer HyperClear スーパーカーディオイドマイク」は取り外し可能な9.9mmのマイクで、ポップガードが標準で搭載されています。主なスペックは 単一指向性(カーディオイド)、周波数特性100~10,000Hz、S/N比≥60dB、感度-42±3dB(1kHz)。

左イヤーカップには、電源ボタン、ケーブル接続ジャック、音量調整、マイクミュートがまとめて搭載されています。

接続方法は2種類(HyperSpeed 2.4Ghzワイヤレス接続、3.5mm有線接続)。ワイヤレス接続の場合、付属のUSBレシーバーをPC本体に接続するだけでセットアップは完了です。バッテリー持続時間は最大24時間、ワイヤレス通信可能範囲は非公開。

PCにHyperSpeed 2.4Ghzワイヤレス接続で使用する場合、Razer製デバイスの統合ソフトウェア「Razer Synapse」による制御が可能です。高度な7.1chサラウンドサウンド「THX Spatial Audio」やイコライジング、詳細なマイク設定などのオプションが利用できます。

スペック&ギャラリー

仕様/スペックをチェックする (開閉できます)
Razer BlackShark V2 Pro 製品仕様
対応機種 PC(2.4Ghzワイヤレス)、3.5mm接続対応デバイス
ドライバー Razer TriForce Titanium カスタムダイナミック50mm径
周波数特性 12 ~ 28,000Hz
インピーダンス 32Ω
感度 100dBSPL/mW、1KHz
イヤーカップ内径 65 x 40 mm
ケーブル長 1.3m
本体重量 320g
イヤークッション FlowKnit製メモリーフォームクッション
マイク 9.9mm
周波数特性 100 ~ 10,000Hz
S/N比 ≥ 60 dB
感度 -42±3dB (1kHz)
集音パターン 単一指向性
コントロール 音量調整、マイクミュート切り替え
ソフトウェア 対応 (Razer Synapse)
価格 -円 (本稿執筆時点)
製品イメージをチェックする (開閉できます)
Razer BlackShark V2 Pro
価格: -円 (本稿執筆時点)

パフォーマンス

サウンド

ステレオ再生・イコライザーを弄っていない状態でリスニングしてみると、低音域が前に出ていながらも薄っぺらく、高音域がクリアではなかったりと、少し貧相なサウンドに聴こえました。初期状態のフラットな設定のままでは、音質に優れているといった印象は受けません。

このBlackShark V2 Proは、ワイヤレスながらRazer Synapse上でさまざまな設定が可能で、イコライザーを弄るなどしてサウンドを調整できるのが強みです。なので、ある程度カスタマイズする前提の、元となるサウンドが提供されているように思います。

有線版の廉価モデル「Razer BlackShark V2 X」にも見られた傾向である”低音域とその他の音域との分離感が強い”という点は健在で、ゲームの効果音を聞き分けやすいように感じます。

『VALORANT』『Apex Legends』で検証しましたが、足音を独立した音のよう聞き取れるため、正確に捉えることができ、定位もまともです。初期状態のサウンドに不足感こそあるものの、このドライバーの調整には一切の難を感じません。

イコライジング

イコライザーは31~16kHzの10バンドで、+12~-12dBを1刻みで調整できます。あらかじめ4種類のプリセット(デフォルト, ゲーム, 映画, 音楽)が用意されているのに加え、カスタム設定を一つ保存しておくことも可能です。

色々と弄ってみましたが、不要な音は0のままキープし、欲しい音をいくつか持ち上げると、まともな音に聴こえるように感じました。前項でも触れたように初期状態の低音域が少し薄っぺらいことと、全体的に高音域がそこまでクリアではないため、個人的には低音を多めに、高音を少しだけ持ち上げるのが良いかなと思います

低音と高音を少しづつ持ち上げると、かなりメリハリのあるサウンドとなります。おそらく接続直後と適切なイコライザー設定を終えた後では、かなり印象が変わってくるかと思います。上記を参考に、プレイしているゲームタイトルに合わせて設定してみてください。

さまざまな楽曲を聴いてチェックしたところ、低音域の重厚さはイコライジングによって補えるものの、高音域がクリアでないという印象は拭えませんでした。ワイヤレスヘッドセット全体で見ると一定水準は超えてきますが、飛び抜けて音質が良い訳ではありません。

バーチャルサラウンド

BlackShark V2 Proは、バーチャル7.1chサラウンド技術「THX Spatial Audio」に対応しており、ソフトウェアの「ミキサー」タブから利用可能です。また、ゲームタイトルによっては専用のプロファイルがあらかじめ用意されており、リストから選択するだけで有効化できます。

バーチャル7.1chサラウンドとは、人間の聴覚の特性を利用して、2つのスピーカーでサラウンドのような音響を再現する技術です。ようは錯覚のようなもので、人の感覚によって聴こえ方が大きく異なります。またスピーカー自体が少ないぶん、はっきりと音の定位を再現するのは難しいです。

特にFPSでは音の定位を正確に捉えることが求められるので、ソフトウェアによる制御が可能なゲーミングヘッドセットに搭載される定番の機能です。しかし、そのシミュレート方法や、テストしたゲームタイトルの違いによって、得られる効果にも差が表れます。

THX Spatial Audioは、VALORANTやCS:GO、Apex Legendsといった主力タイトルを含む、複数のゲームタイトルをサポートしているため、比較的信頼できるバーチャルサラウンド技術であると言えます。

Apex Legends, Battlefield 1, CS:GO, Call of Duty: Modern Warfare, Call of Duty: Black Ops 4, Call Of Duty: Warzone, Destiny 2, DOOM Eternal, Final Fantasy XIV , Half Life: Alyx, Metro Exodus, Monster Hunter: World, Red Dead Redemption 2, Resident Evil 2, Sekiro: Shadows Die Twice, Tom Clancy’s Rainbow Siege Six, Tom Clancy’s The Division 2, VALORANT

『VALORANT』のゲームプレイで検証しましたが、残響音(リバーブ)のようなものはかからず、他のバーチャルサラウンドと比べ、フィールド全体がより細かく区分化されるというか、よりピンポイントに拾いたい音を追えるような印象を受けます。

ただしステレオと決定的に違うのは、音の発生源にある程度の距離感が無ければ、音量バランスが均一化されてしまうように聴こえる点。これはどのバーチャルサラウンドでも共通して似たようなことを感じますし、筆者がステレオに慣れているということも大きいのかなと思います。

プレイするタイトルに合わせてイコライザーやTHX Spatial Audioなどの機能を調整することで、簡単にゲームに適したサウンドが得られます。設定項目が多いので適切な設定が見つかりやすいかと思います。

マイク

BlackShark V2 Proに搭載されている「Razer HyperClear スーパーカーディオイドマイク」。これもソフトウェアの「マイク」タブから、イコライザー、ノイズゲートなどの詳細な設定が可能となっています。自身の声を跳ね返すサイドトーン機能も利用できます。

初期設定でも比較的クリアな音声を届けられ、イコライザーを適切に調整すればより聞き取りやすくなるといった印象。またノイズゲートは、少し劣化するものの正確に聞き取れる品質は保ちつつ、しっかりと周囲の音を遮ってくれます。

Audacityで録音した音声がこちら。各設定を有効にしながら喋っているので、聴き比べてみてください。コンデンサーマイクのような質感とまではいかないものの、ヘッドセットマイクとしては十分に優秀です。詳細なコントロールが行えるのも魅力です。

装着感

イヤークッションとヘッドバンドのクッションに採用されている「FlowKnit製メモリーフォームクッション」は、指で押すとゆっくりと元の形に戻っていく、非常に柔らかい低反発クッション。表面は繊維が立ちすぎていないメッシュという印象で、極めてソフトな肌触りとなっています。

スライダーを適切な長さに調整すれば、締め付けられるような感覚もなく、しっかりとフィットするので、長時間装着していても快適です。ただしクッション素材の影響からか、遮音性はやや低いように感じます。

装着時の難点としては、イヤーカップは水平方向の角度調整が行えないことと、スライダーが少し緩いために慎重に装着しなければ長さが変わってしまうことが挙げられますが、それらは個人的にはそこまで大きな問題ではないように思います。

有線版の下位モデルであるBlackShark V2 Xに備わっていたPUレザーのクッションと比べると、肌触りの良さが際立ちます。

コントロール

BlackShark V2 Proは左イヤーカップに各種コントロール機能がまとまっています。側面には、手前側から 電源ボタン、マイクミュートボタン、充電用ケーブル接続ジャック、有線接続用3.5mmジャック、マイク接続ジャックが、正面にはボリューム調整ツマミが搭載されています。

ボリューム調整ツマミは少し抵抗感があり、軽すぎず重たすぎずな回し心地です。ちょうど50%の部分でクリック感があるため、どれくらい音量を上下したかを掴みやすいです。

マイクミュートボタンは、有効時には引っ込み、無効時には飛び出た状態となります。余談として、本体が真っ黒なBlackShark V2 Proですが、このボタンが飛び出しているときだけブランドカラーの緑が現れます。

電源ボタンとマイクミュートボタンの形状が似ていますが、電源ボタンを短く押した場合は”再生/一時停止”が割り当てられており、ヘッドセット本体の電源は長押ししないとオフになりません。ゲームプレイ中などの致命的な操作ミスは防げます。

接続・バッテリー

BlackShark V2 Proは、HyperSpeed 2.4Ghzワイヤレス接続と3.5mm有線接続の2種類に対応しています。PCなら有線無線に両対応、コンソールやスマートフォンには有線で接続できますが、ワイヤレスであるという利点は無くなります。

この価格帯のヘッドセットで有線・無線に両対応しているのは強みではあるものの、Bluetooth接続にも対応していれば用途が広がって良かったかなと思います。また、パッケージには持ち運び用のポーチが付属していますが、この細い金属で作られたスライダー部分の耐久性が不安で、バックの中に入れて持ち運ぶのは多少危険な気もします。

ワイヤレス接続の場合、USBレシーバーをPC本体に接続するだけでセットアップが完了しますが、本稿で紹介してきたような詳細な設定を行うには「Razer Synapse」をダウンロードする必要があります。

ワイヤレス通信可能範囲は非公開ですが、10mほど離れた環境でも安定した通信が行えることは確認済み。家の広さにもよりますが、装着したまま他の部屋に移動することも可能です。

バッテリー駆動時間は最大24時間。充電しなくても丸1日、ライトな使用ならば数日は持つので、十分な長さであると言えます。本体の電源をオンにした状態でも、放置していると自動でオフになります(初期設定は15分、ソフトウェアで15~60分の間で設定可能)。

結論とターゲット

「Razer BlackShark V2 Pro」について詳しく見てきました。ハイエンド帯の競合製品と比べたときに何かに特化している訳ではありませんが、ヘッドセットに求められている全ての機能が一定の水準を超えた、バランスの良い製品となっています。

有線版のエントリー向けモデルBlackShark V2 Xレビューの際も触れましたが、ドライバーの調整が上手くいっており、定位には優れています。しかし、音の粒が細かい訳ではなく、高音域もそこまでクリアではないため、飛び抜けて音質に優れたものではないとは感じます。

とはいえソフトウェアの設定項目が幅広く、イコライジングや比較的まともなバーチャル7.1chサラウンドも利用できるため、音質に対する見方が相当シビアでない限りは、どの用途でも満足できるサウンドに持っていけます。ゲームプレイでの不足感はありません。

マイクもヘッドセットに搭載されたものとしては十分な品質で、肌触りの良いメッシュに包まれた柔らかいクッションのおかげで装着感も良好です。”失敗しづらいワイヤレスヘッドセット”を2万円前後で探している場合、無難な選択肢として挙げられるかと思います。

Razer BlackShark V2 Pro
価格: -円 (本稿執筆時点)

以上、Razer(レイザー)のゲーミングヘッドセット「Razer BlackShark V2 Pro」のレビューでした。

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この記事を書いた人

ミオニ
eスポーツ向け ゲーミング周辺機器のレビュアー
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