VAXEE PB 2023 レビュー
VAXEEのゲーミングマウスパッド VAXEE PB 2023 をレビューします。
レビュー用サンプル提供:VAXEE JAPAN
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この製品について
2022年4月、VAXEEはVAXEE PB Black という3層構造のゲーミングマウスパッドをリリースしましたが、時間経過によってエッジが反り返ってしまうという問題が見つかったため製造中止になってしまいました。
それから1年半以上が経ち、ついに新たな中間層基材とともに品質と安定性の確保に成功した新モデル VAXEE PB 2023 が販売開始となりました。
VAXEE PA | VAXEE PA Black | VAXEE PB 2023 | |
表面 | クロスファイバー 熱転写インク使用 |
クロスファイバー 熱転写インク未使用 |
|
滑走度 | 3.0 / 5.0 | 2.0 / 5.0 | 2.5 / 5.0 |
基材 | 単層素材ベース | 複合素材ベース | |
基材の厚さ | 3.5mm ± 0.2mm | 4.8mm ± 0.3mm | |
基材の硬さ | 2.0 / 5.0 | 2.0 / 5.0 | 3.5 / 5.0 |
滑り止め効果 | Great | Excellent | |
パッケージ | スタンディングパッケージ | フラットパッケージ | |
持ち運び | 丸めて持ち運び可能 | 丸めて持ち運び不可 (防塵袋が付属) |
VAXEE曰く、PB 2023の滑走度はPAとPA Blackの中間で、ベース材が分厚くて硬いことを特長としています。VAXEEのラインナップでは唯一フラットパッケージに梱包されています。
結論から言うとPB 2023はPAやPA Blackとは全く違った操作感になっています。いったいどのようなものなのか詳しく解説していきます。
サイズ
VAXEE公式サイトには 470 x 390mm (±10mm) と表記されています。
他社の大型マウスパッドと比べて若干奥行きが狭いので、現在使用しているマウスパッドの寸法を調べたうえで、問題が無いかチェックすることをお勧めします。
エッジ
エッジは切りっぱなし。ステッチ加工は施されていません。
表面やベースに柔らかい素材が使われているので、腕や手首が擦れてもあまり痛くありません。
ベース
最近のゲーミングマウスパッドは表面とベースの2層構造のものが主流となっていますが、VAXEE PB 2023は一番下にシリコン素材を敷いた3層構造になっています。ベースに厚みを持たせることを狙いつつ、柔らかくしすぎないように工夫しているそう。
硬度を測ってみると、表面硬度は55、裏面硬度は62でした。これはVAXEE PAやVAXEE PA Blackと比べて硬いことはもちろん、布製マウスパッド全体で見ても硬い部類になります。
- 表面硬度:滑走面に硬度計を当てて測定した硬度
- 裏面硬度:ベース側に硬度計を当てて測定した硬度
表面硬度と裏面硬度は似通った結果がでるものもあれば、著しく異なるマウスパッドもあります。
硬度の値が小さければ柔らかく、コントロール寄りの使用感になる傾向にあります。また、値が大きければ硬くスピード寄りの使用感になる傾向にあります。しかし、一概にすべてそうなるとは限りません。
筆者の経験上、本来の2層構造で分厚くすると、深く沈み込んでしまって滑り性が不安定になりがちです。このマウスパッドは新しい中間層素材にシリコンベースを組み合わせることで、ある程度の弾力と硬さを両立しており、沈み込みづらく、滑り性が安定しています。
硬いマウスパッドはそれなりに種類がありますが、硬さと分厚さを両立したマウスパッドは珍しく、何のためにそう設計したかの理由もハッキリとしているPB 2023は高く評価できます。
裏面の滑り止めは非常に強力で、マウスを激しく動かしても一切ズレません。
表面の質感
表面はさらさらとしています。VAXEEが同じ表面だと説明しているPA Blackでは目立っていた毛羽立ちがほとんどなく、指でなぞったときにまとわりつくような感触も軽減されています。
CW-Xアームカバーを着用した状態で腕を滑らせたとき、PA Blackはずるずると引き摺るのに対し、PB 2023はどの方向でもスムーズに滑ります。手首や腕が擦れても痛くありません。
理由はよく分かりませんが、おそらく製造時の工程の違いで差が出ているものだと思われます。表面の布生地とベース材がぴったりと貼り合わせられているような感じ?
滑走面
ビデオ顕微鏡で表面を拡大して撮影してみたところ、最も標準的と言えるパターンでした。
確かにVAXEEが謳っている通り、PAやPA Blackと同じ布生地が使われていることは分かりますが、製法の違いからか繊維が潰れているような感じ?とにかく何らかの差が出ているように見えます。
操作感
縦・横・斜め方向での滑りの差は、横方向が若干鈍いですが、その差は比較的少ないように感じます。マウスをあらゆる方向に動かしていてもあまり気になりません。
滑走速度は コントロールバランスタイプ に分類できます。VAXEE PAよりも若干遅く、VAXEE PA Blackよりも若干速いです。コントロールバランスタイプの中でもやや速めといったところ。
初動はやや軽め。軽い力ですっと動かし始めることができ、マウスを押し下げながら動かし始めても引っ掛かりを感じません。
左右に切り返したときの抵抗は並みです。マウスを切り返すときに圧が掛かっていても、引っ掛かるような感触はありません。
さらさら系とざらざら系の滑り性の違い
- 表面が滑らかでさらさらとしているマウスパッド:滑走感もしっとりとしていて、マウスにまとわりつくような感触を得られることが多い
- 表面が粗くてざらつきのあるマウスパッド:マウスを動かすときのもたつきが少なく、キレのある操作感のように感じることが多い
マウスパッドに求める特性は人それぞれ違うと思うので、どちらが優れているという話ではありません。あくまでも傾向で、必ずしもこうなるとは限りません。
表面がさらさらしたマウスパッドは滑走感もしっとりとしていて、マウスにまとわりつくような感触であることが多いです。表面に熱昇華プリントが施されたVAXEE PAなんかはまさしくそうで、ぬるっと滑らかな操作感を特長としています。
PB 2023はPAのしっとり感を少し抑えたような感じで、ベース材が硬くて沈み込まないぶん表面が滑らかなマウスパッドにありがちなキレの悪さをあまり感じません。それでも全体で見たときには滑らかな部類で、肌触りの良さや扱いやすさも兼ね備えています。
マウスを押し下げても柔らかいマウスパッドのような追加の摩擦はあまり得られませんが、不意に力んでしまったりしても滑り性が変わりづらく安定したマウス操作を行えるのは強みです。
競合製品との比較
SteelSeries QcK Heavyのような分厚いマウスパッドと比較したときに、PB 2023は深く沈み込まないので滑りが不安定になりづらいです。
VAXEE PAやPA Blackはクッション性があり、沈み込みによって多少は滑りが変化しますが、PB 2023はほとんど沈み込まず、人間の感覚ではほぼ一定なように感じられるくらいには滑りの変化が抑えられています。
また、PB 2023はPAとPA Blackよりも初動が軽いように感じます。滑走速度はPAとPA Blackの中間くらいですが、PB 2023が最もマウスを動かし始めるときに力が要りません。マウスを動かす範囲の狭いセンシが高い人にとってはPB 2023が最も速いと感じる可能性もあります。
よくある柔らかいコントロール系マウスパッドと比べたとき、マウスソールの形状や厚みの違いによる滑り性の変化が少ないのも特長と言えます。これは硬いマウスパッドによくある傾向です。
結論とターゲット
VAXEE PB 2023について詳しく見てきました。価格に見合った高品質な造りのゲーミングマウスパッドです。PAやPA Blackとは違ってフラットな状態で梱包されているので、届いた瞬間から快適に使えます。
基本的にマウスパッドは硬ければ硬いほどスピード寄りになる傾向にあるので、PB 2023のような硬くて滑りが遅めなマウスパッドは貴重です。
硬いマウスパッドは力んだりしても滑りが変化しづらく、慣れると操作が安定するのが強みです。しかし、細かなブレや震えがカーソルの動きに反映されやすく、柔らかいマウスパッドを使っているときのような感覚でマウスを押し下げても追加の摩擦が得られづらいです。
柔らかいマウスパッドに慣れている人にとって、硬いマウスパッドは良くも悪くも素直に動くというか、ピンポイントで止めづらかったり、コントロール性が足りないように感じられると思います。
ただ、PB 2023は硬いマウスパッドの中でも滑りが遅く、充分な表面摩擦があります。他の硬いマウスパッドと比べてコントロールしやすく、沈み込みに頼らずマウスを止める練習にぴったりです。既に硬いマウスパッドの扱いに慣れている人の乗り換え先にはもちろん、これから慣れていきたいと考えている人にもお勧めできます。
以上、VAXEEのゲーミングマウスパッド VAXEE PB 2023 のレビューでした。