「Vancer ICE」レビュー。操作性・耐久性などあらゆる面で優れるガラスと布のハイブリッドパッド
本稿では、Vancerのゲーミングマウスパッド「Vancer ICE」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: HID-Labs
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この製品について
Vancer ICEは滑走面にガラスコーティングが施された布製マウスパッドです。Artisan 紫電改よりも滑りが速く、かなりスピードを重視した操作感ですが、適度な止めやすさも感じられます。
ファーストインプレッション(筆者のYouTubeに飛びます)で触った部分に跡がつきやすいとお伝えしましたが、これは耐水性・耐油性によって汚れがしみ込まず浮いたままになるからで、拭き取ることで綺麗になるので他のマウスパッドにはないメリットとも言えます。また、耐水性もあるので手入れが簡単で、水をかけてクロスで拭き取ると簡単に綺麗になります。
耐摩耗性にも優れていて、かなりの高耐久が期待できます。滑りが速いマウスパッドを探している方だけでなく、耐久性やメンテナンス性の観点からガラス製などのハードタイプを使用しているという方にとっても、かなり好条件なゲーミングマウスパッドとなっています。
製品仕様とスペック
材質 | 布製 | 表面 | Fiberglass top layer |
---|---|---|---|
サイズ | 450 x 400mm | 厚さ | 4.0mm |
エッジ | ステッチ加工 | ベース | すべり止めラバー |
カラー | ブラック |
基本仕様をチェック
パッケージと内容物
丸い筒に巻かれた状態で入っています。内容物はマウスパッドのみ。
巻き癖
開封直後は巻き癖が弱めについており、巻かれたときに内側になっている左端は少し浮いた状態になります。これは数日でほぼ真っすぐになり、マウス操作には支障をきたしません。
バリエーション
サイズ
ICEの寸法は450 x 400mmで、ローセンシにも対応する大判サイズとなっています。
厚さは4.0mm。これは布製ゲーミングマウスパッドの一般的な厚みです。
カラー
ブラックの1色のみ。やや灰色がかった薄めの色味で、角度をつけて見ると光沢感があります。
エッジ
エッジのステッチ加工はかなり頑丈です。肌触りはやや硬めで、神経質な方は気になるかもしれません。
ステッチと滑走面の高さがほぼ同じになっており、腕や手首に引っ掛かることはありません。また、ステッチ幅も標準的です。マウス操作に干渉しない、とても優れた処理だと感じます。
底面
底面のすべり止めラバーはよく見かけるタイプのもので、グリップ性能は可もなく不可もなく。ホワイト天板ではうまく機能しますが、ラバーウッド天板だと少しスリップします。
パフォーマンス
滑走面
ICEの滑走面を拡大すると、縫い目が見えないコーティングされた表面、その上にある細かな凹凸が確認できます。縦横の滑りに体感できるような差はなく、マウスをどの方向に動かしても操作感は変わりません。
手触りはサラサラとしていて、マウス操作時に手首や腕が擦れても一切痛くなく、長袖やアームカバーを着用していても引っ掛かりません。
耐水性・耐油性にも優れています。触った部分に跡が残りますが、これは手汗などが滑走面にしみ込まず浮いたままになるからです。これにより滑走面の劣化が抑えられます。使用していると見た目がすぐに悪くなってしまいますが、水を含んだクロスで拭き取ると簡単に綺麗になります。
また、耐摩耗性にも優れており、マウスを何度も滑らせるなどの摩耗による劣化を抑えます。約1ヵ月ほど検証した段階では、到着時点から滑りの変化は感じられません。
操作感
ICEはハイスピードタイプに属するゲーミングマウスパッドです。他社製マウスパッドと滑走速度を比較すると、「Logicool G440」をはじめとしたプラスチック製よりも遅く、布製マウスパッドでは最速クラスの「EsportsTiger BLAZE」「Artisan 紫電改 Mid」よりもわずかに速いといった具合です。
滑り出しはとても軽く、滑走中もとてもスムーズな感触です。ガラス粒のような硬いものと擦れているような感触ではありませんが、独特な擦れ感と滑走音を伴います。減速させると若干の引きずり感があり、適度な止めやすさも感じられます。
中間層のスポンジは硬く、マウスに圧を掛けても滑走速度が変化しづらいです。しっかりと圧を掛けると若干滑りが鈍くなり、多少のストッピングアシストが得られます。ハードタイプ並みの滑走速度を持ちながら、布製マウスパッド特有のメリットも受けられます。
トラッキングエイムが主体となる『Apex Legends』との相性が良いです。また、全体で見ると非常に滑りの速いマウスパッドではあるものの、スピードタイプ相当の滑りの速さに慣れている場合、フリックエイムが主体となる『VALORANT』のようなタイトルも問題無くプレイできます。
布製マウスパッドでは最速クラスになりますが、滑りの速さに対して止めやすい印象で、ハイスピード ~ スピードタイプの布製マウスパッドを使用している方や、ガラス製マウスパッドなどのハードタイプを使用している方にとって、より良い選択肢となる可能性があります。
個人的にはもっと柔らかいスポンジと組み合わせたときの操作感も気になります。
他社製マウスパッドとの滑り比較
ICEは「ハイスピード」タイプに属します。
※それぞれ上から滑走速度が速い順に並べています。筆者の肌感覚なので変動する可能性有り。
ソール相性
ICEはガラスコーティングが施された滑走面を採用しているので、ガラス素材などハードタイプのソールとの併用は推奨しません。双方が傷ついてしまう可能性があります。
角が丸まったソールと組み合わせることをお勧めします。エッジが尖ったソールと組み合わせると、不均一な引きずり感や引っ掛かりが発生します。
ソールの厚さは常識的な範囲であれば気にする必要はありません。中間層のスポンジが硬めで、クッション性が低いので、ソールが深く沈み込んで引っ掛かることはありません。
センサー相性
各種マウスセンサーとの相性をチェック。それぞれの組み合わせでカーソルが正確に追従するかを確かめるほか、センサー挙動を可視化するソフトウェア「Mouse Tester」での測定も行います。
なお、使用環境やファームウェアのバージョンの違いなど、様々な要因によって結果が変動する可能性があり、この検証結果が100%正しいものではないことをお伝えしておきます。また同じセンサーを搭載していても種類が異なるゲーミングマウスでは結果は変動するので、ご参考までに。
〇 正常に動作する
△ 動作に問題は無いが、MouseTesterの波形に乱れが見られる
✖ 通常使用が不可能
主要マウスセンサーを搭載したゲーミングマウス12種すべてで正常に動作しました。このほか『VALORANT』『Apex Legends』でのプレイテストも行い、同様の結果が得られました。
耐久性・湿気への耐性
ICEは一般的な布製マウスパッドよりも耐久性に優れており、湿気の影響による滑りの変化も感じられません。
本来、布製マウスパッドは耐湿性や耐摩耗性にはそこまで期待できません。基本的には消耗品という認識を持ってください。しかし、このICEは耐摩耗性・耐水性・耐油性に優れた素材を採用しているため、あらゆる環境下で同じ操作感を維持でき、摩耗による劣化も抑えられています。
汚れがしみ込まずに浮いたままになるので、数時間の使用でも見た目がすぐに悪くなってしまいますが、水を含んだクロスで拭き取ると新品同様の状態に戻ります。布製マウスパッドながら、ガラス製のようなハードタイプに見られるメンテナンス性の高さも備えているのも好印象です。
結論とターゲット
「Vancer ICE」は布製では最速クラスのスピード系ゲーミングマウスパッドです。「EsportsTiger BLAZE」や「Artisan 紫電改 Mid」よりわずかに滑りが速く、「Logicool G440」をはじめとしたプラスチック製マウスパッドよりも遅いです。
ガラスファイバーを配合した滑走面はあらゆる部分で優れています。優れた耐摩耗性により劣化しづらく、高い耐水性・耐油性によってあらゆる汚れによる滑走面の劣化を防ぎ、湿度による滑りの変化を抑えます。
唯一、触った部分に跡が残りやすく、かなり汚れが目立つことは懸念点と言えますが、水を含んだクロスで拭き取るだけで簡単に綺麗な状態に戻ります。本来はこういった汚れが滑走面にしみ込んで劣化に繋がりますが、このICEはその汚れが浮いて見えるだけで、メンテナンスによって簡単に綺麗な状態に戻すことができるので、逆に安心感があるように個人的には感じます。
エッジのステッチ加工は高品質で、底面のすべり止めラバーはそれなりに機能します。巻き癖は弱めで数日経つとほぼ収まります。高性能な割には価格もリーズナブルで、スピード重視な布製マウスパッドを探していたり、ハードタイプから布製への乗り換えを検討している場合はマストバイと言っていいでしょう。
総合評価5.0 out of 5.0 stars
ステッチ加工が頑丈
グリップ性能は可もなく不可もなく
長袖やアームカバーが引っ掛からない
非常に滑りが速く適度に止めやすい
ソールとの相性問題が発生しづらい
主流センサーと相性が良い
手軽にメンテナンスできる
耐久性が高い
優れた耐水性
湿気の影響を受けづらい
以上、Vancerのゲーミングマウスパッド「Vancer ICE」のレビューでした。
寿命はどうですか
筆者じゃないし亀レスで恐縮なのですが、
1.5-2ヶ月位つかうと、よく滑らせる真ん中あたりがまず劣化してきて、滑らなくなります。真ん中意外と比べると、比較的明らかに強い静止摩擦、動摩擦を感じるようになります。
なので、劣化による違和感には気付きやすいかもしれないです。
以上、ご参考までに…