「HyperX QuadCast S」レビュー。操作性に優れたRGBライティング搭載のUSBコンデンサーマイク

本稿では、HyperX(ハイパーエックス)のUSBコンデンサーマイク「HyperX QuadCast S」のレビューをお届けします。
製品仕様と外観
ヘッドセットに搭載されたマイクの音質に悩まされているという方も多いのではないでしょうか。ボイスチャットや配信でクリアな音声を届けたい場合、単体のマイクを導入するのも一つの手です。
マイクを導入する際に、手っ取り早い選択肢となるのがUSB接続のコンデンサーマイクです。本来マイクを使用するには、ファンタム電源を確保するためのオーディオインターフェースを別途用意する必要があり、追加の費用が掛かってしまいます。
USB接続のコンデンサーマイクならば、追加費用無しで空きのUSBポートに挿すだけで使用できるので、マイクのみをアップグレードするのに適しています。今回はHyperXより新たに発売された、RGBライティングを搭載するUSBコンデンサーマイク「HyperX Quadcast S」をチェックします。
内容物は、QuadCast Sマイク本体、ショックマウント、スタンド(ここまで組み立て済み)、マウントアダプター、ケーブル(USB Type-C to USB Type-A)、取扱説明書。
マイク本体。ほどよく高さがあるので、付属のスタンドで適切な位置に持ってこれます。デスク上のスペースに困っていない場合、別売りのアームやスタンドを用意する必要は無さそうです。
スタンドは、後部のツマミを緩めることで角度が調整できます。無駄なスペースを取らないシンプルな造りで、安定感があります。
ポップフィルターがマイク内部に内蔵されているので、別途ポップガードを用意しなくてもある程度の衝撃音を抑えられます。
またこの設計により、LEDライトが過度に漏れ出さず、綺麗に発光します。
マイクの揺れや衝撃を抑えるショックマウントも付属します。
マイク本体の各部からは、以下のコントロールが直接行えます。
- マイク上部をタッチするとミュート状態となります。ミュート時にはLEDライティングも消灯するため、マイクの状態を視覚的に確認できます。
- 背面のダイヤルからは4つの極性パターン(ステレオ、無指向性、単一指向性、双指向性)へ切り替えられます。
- 底面はダイヤルとなっており、マイク感度を調整できます。
セットアップは付属のケーブル(USB Type-A to Type-C)で接続するだけで完了。PC、Mac、PlayStation 4など、複数のデバイスに対応しています。また、上部の3.5mmジャックにヘッドフォンを接続すると、自身がマイクに入力した音声をリアルタイムでモニタリングできます。
スタンド背面には穴が開いており、接続したケーブルは綺麗に後ろ側に通せます。
3/8インチと5/8インチに適合する汎用マウントアダプターが付属しており、ほとんどのマイクスタンドやアームに取り付けられます。
ソフトウェア「HyperX NGenuity」に対応しており、ライティングゾーンの発光パターンと色をカスタマイズできます。ちなみに下位モデルの Quadcast では対応カラーがレッド単色のみでしたが、このQuadCast Sは RGB (16,777,216色) に対応しています。
パフォーマンス
音質
QuadCast Sの音質は良好で、これといった癖のないクリアな音声が届けられます。ゲーム中のボイスチャットはもちろん、配信などのコンテンツに声を乗せるためのマイクとしても問題無く使用できます。
以下の音声は口元に近づけて録音したものですが、ポップノイズはほとんど乗っていません。内蔵されているポップフィルターがしっかりと役割を果たしています。またゲインは余裕を持って真ん中あたりに調整していますが、十分な音量が出ています。
ただしコンデンサーマイクの特性上、ダイナミックマイクやヘッドセット搭載マイクと比較して、周囲の音やマウス・キーボードの操作音をそれなりに拾いやすいので注意が必要です。
対策としては、できるだけマイクを口に近づけてゲインを下げるか、極性パターンを単一指向性(カーディオイド)に設定することが挙げられます。QuadCast Sはポップフィルターが内蔵されており、ポップノイズが乗りづらいため、比較的対策しやすいです。
※それぞれの極性パターンがどのような特性であるかは次項の【操作性】で解説しています
最近だと、録音した音声にリアルタイムでエフェクトを掛けられる、ソフトウェア対応のUSBコンデンサーマイクもいくつか出てきていますが、声質を変えたいなどの特別なこだわりが無い限り、そういった機能は不要です。
操作性
QuadCast Sは本体から以下のような操作が行えます。
- タッチパネルでマイクをミュート
- 背面のツマミで極性パターンを切り替え(ステレオ、無指向性、単一指向性、双指向性)
- 底面のダイヤルでマイク感度を調整
マイクミュートや感度調整など必要に応じて調整する必要がある機能はアクセスしやすい位置にあり、あらかじめ設定しておけばよい極性パターンの切り替えは背面に隠されています。素早く直感的に操作できる、優れたデザインであると感じます。
マイクミュート
QuadCast Sのマイク上部をタッチすると、マイクがミュート状態となります。ミュート時にはライティングが無効化されるため、マイクの状態が視覚的に分かります。
以下の音声では、マイクミュートを切り替える際にノイズが乗らないか検証しています。環境音が途切れたときに僅かに「プツッ」とノイズが乗っていることが確認できますが、それなりに音量を上げないと気付かない程度のものです。
前面にミュートボタンを搭載するマイクはいくつか存在しますが、ミュートを何度か繰り返すような状況では「カチッ」と押し込むことに多少の手間を感じます。それらと比べ、軽く触れるだけで済むタッチパネルは操作性に優れています。
極性パターンの切り替え
背面のツマミからは、ステレオ・無指向性・単一指向性・双指向性といった4つの極性パターンに切り替えられます。それぞれの特性は以下の通りです。
- 無指向性:全ての方向から同じ感度で集音する
- 単一指向性:正面からの音に対する感度が最も高く、背面からの音に対して最も感度が低い
- 双指向性:正面と背面からの音に対して同じ感度で、側面からの音に対して感度が低い
ボイスチャットや配信など、自身の声のみを録音するのに最も適しているのは単一指向性です。マイクを口元に近づけ、キーボードやマウスなどの音を発するデバイスを背面に持ってくることで、周囲の音を遮りながら声を録音することができます。
その他の極性パターンは特殊な用途で活用できます。例えば、二人で喋っている声を録音したい場合はマイクを挟んで双指向性、複数人の声を録音したい場合は無指向性にするなどが挙げられます。
マイク感度の調整
マイク底面がツマミになっており、マイク感度が調整できます。ノッチ感が無くスムーズに回りますが、誤って触れてしまうような箇所でもないため問題は無いでしょう。
先ほどの音声でも分かる通り、中間あたりで十分な音量が出ているので、過剰に上げる必要はありません。なるべくマイクを口元に近づけて感度を低く保てば、クリアな音声を録音できます。
ライティング
内蔵のポップフィルターを通してライティングがほんのり浮かび上がるため、主張しすぎず、綺麗に光ります。また、視界に入っても眩しいと感じることはありません。
HyperX NGenuityソフトウェアから発光色・パターンを制御でき、RGBにも対応しているので、デスクの雰囲気に合わせて設定できます。
結論とターゲット
「HyperX QuadCast S」について詳しく見てきました。音質に優れており、内蔵されたポップフィルターのおかげでアタック音も特に気にならないレベルまで軽減できる、扱いやすいコンデンサーマイクです。これといって分かりづらい点はなく、手元に届いた瞬間からフルに活用できます。
いくつかの音響メーカーの製品と比べ、ゲームのボイスチャットやストリーミングに最適化されたデザインとなっています。上部をタッチすればミュート状態に切り替えられ、ライティングで視覚的に判断できる点、またスムーズに回るダイヤルでマイク感度を素早く調整できる点は便利です。
ただし、ショックマウントやスタンドなど付属品が充実していることや、RGBライティングが搭載されているぶん価格設定は高いです。マイク本来の用途にフォーカスした場合、あと数千円は価格が安くて満足できる製品がいくつかあります。
QuadCast Sのアイデンティティーでもある”綺麗に発光する”という点に惹かれ、真っ黒の無機質なマイクは避けたいという方、また必要なものがオールインワンになっていて楽に扱えるコンデンサーマイクが欲しい方にお勧め。うまく取り入れることでデスクの雰囲気を変えられます。
以上、HyperX(ハイパーエックス)のUSBコンデンサーマイク「HyperX QuadCast S」のレビューでした。