「HyperX Cloud Stinger Core Wireless」レビュー。約9,000円で買えるエントリー向けワイヤレスヘッドセット
本稿では、HyperX(ハイパーエックス)のゲーミングヘッドセット「HyperX Cloud Stinger Core Wireless」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: HyperX Japan
製品仕様と外観
今回見ていくのは、以前レビューした「HyperX Cloud Stinger Core Wireless +7.1」からバーチャルサラウンドを省略したモデル。前モデルも価格は約1万円とワイヤレスヘッドセットとしては非常に安価なものでしたが、機能が省略されたことで8,980円とさらに入手しやすい価格になっています。
ゲーミングヘッドセット市場全体を見渡しても”ワイヤレス対応で1万円以下”の製品は非常に少なく、予算が限られている方にとって貴重な選択肢となりそうなだけに、パフォーマンスが気になるところです。早速見ていきます。
内容物は Cloud Stinger Core Wirelessヘッドセット本体、USBレシーバー、充電ケーブル、取扱説明書。
本体は、ホワイトの艶消しプラスチックをベースに構成されており、ヘッドバンド内部はスチール製、クッション部はメッシュで覆われています。コストが抑えられていることもあり、ややチープな印象を受けます。
7.1chバーチャルサラウンド搭載モデルはブラックなので、本体カラーで差別化されています。
本体重量は公称値244g、実測値が245.7gでした。ワイヤレスヘッドセットとしては非常に軽量。
ネオジム磁石ダイナミック40mm径ドライバー。主なスペックは 周波数応答20~20,000Hz、インピーダンス16Ω、音圧レベル95.5dBSPL/1mW、T.H.D2%以下。
イヤーカップはちょうど耳全体を覆うくらいのサイズ感。クッション部分は布製のメッシュ素材で覆われており、肌触りは悪くはないものの質感はチープです。ヘッドレストも同様です。
マイクは取り外し不可能で、ポップガードは付属していません。跳ね上げた状態ではミュートになり、ON/OFFが切り替わる部分でクリック感があります。主なスペックは 単一指向性、アナログノイズキャンセリング、周波数応答50~18,000Hz、感度-40dB (1V/Pa 1kHz時)。
各種操作ボタンは左イヤーカップの側面にまとまって配置されています。手前から 電源ボタン、音量調整バー、充電ケーブル接続ジャック。
ソフトウェア非対応。付属のUSBレシーバーをPCやPlayStation 4に接続するだけで利用可能です。
バッテリー駆動時間は最大17時間で、ワイヤレス接続距離は最大12m (遮蔽物無し)。ハイエンドな製品と比べると数値は劣りますが、1日中持つので充電さえ欠かさず行えば問題は無いでしょう。
付属の充電ケーブル (USB Type-A to USB Type-C) は、少し短いので注意。PCに接続せずにコンセント経由で充電することも可能です。
スペック&ギャラリー
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HyperX Cloud Stinger Core Wireless 製品仕様 対応機種 PC, PlayStation 4 ドライバー ネオジム磁石 ダイナミック40mm径 周波数帯域 20~20,000Hz インピーダンス 16Ω T.H.D 2%以下 音圧レベル 95.5dBSPL、1mw (1kHz時) バッテリー駆動時間 最大17時間 ワイヤレス接続距離 2.4GHz – 最大12m (遮蔽物が無い場合) マイク方式 エレクトレットコンデンサーマイク 極性パターン 単一指向性、ノイズキャンセリング 周波数応答 50~18,000Hz 感度 -40dB (1V/Pa 1kHz時) 価格 8,980円 (本稿執筆時点) - 製品イメージをチェックする (開閉できます)
パフォーマンス
サウンド
Cloud Stinger Core Wirelessの音質傾向をリスニングで検証したところ、低音域と高音域が持ち上げられている一方で中音域は若干弱い、分かりやすいドンシャリ傾向でした。
フィルターが掛かったような音の籠りがあり、普段から聞き慣れている人の声や楽曲のフレーズなどが少し違ったように聞こえ、少し違和感を感じます。ざっと聴いた感じでは、中音域が結構痩せてるような…。
小さい音量では全ての音がやや遠くから聞こえているかのように聴こえるため、音量を確保する必要があります。また、それぞれの音域の分離感に欠けており、定位は慣れれば掴めますが優れたものではありません。
実際にゲームで使用した感想としては、シンプルなサウンドデザイン、いくつかの音を聞き取ればいいタイトルでは問題無く使用できます。例えば『VALORANT』では、足音が強調されているため自然と耳に入ってきます。
しかし複数の音が重なると、欲しい音に集中することが難しいというか、各所で鳴った音の一つ一つを脳で処理しづらい乱雑な聞こえ方がします。競技性の高いFPSに熱心に取り組む方、または”勝つためにデバイスを選ぶ”という方には適さないレベルの品質だと思います。
そもそもこれは約9,000円の低価格なワイヤレスヘッドセットで、音質には過度に期待するべきではありません。とはいえ、さまざまな用途でラフに活用したいという方にとっては、そこまで悪くないものだと感じます。価格相応。
装着感
装着感は非常に良く、長時間の装着でもストレスは少ないです。その理由として、とにかく軽いことが挙げられます。ワイヤレスながら約245gと、軽量設計を謳った有線ヘッドセット並みの本体重量。
クッションの厚さは十分で、底打ち感はありません。それらのクッションを覆うメッシュ素材は見た目こそチープに感じるものの、柔らかくて毛羽立ちもなく、肌触りは悪くありません。側圧も強すぎず弱すぎず、ちょうど良いです。
マイク
マイク音質はクリアではありません。アナログノイズキャンセリングが強く効いているのか、マイク先端をしっかりと口に近づけなければ多少音が籠ります。当然、マイクと口までの距離が近いと呼吸音を拾いやすいですが、ポップガードを用意すれば多少は改善されるかなと思います。
ボイスチャットや通話には問題無く使用できますが、ストリーミングなどには適しません。また、マイクの品質を重視する方にとってはやや厳しいかなと思います。
コントロール
各種操作は左イヤーカップの側面にまとまっています。電源ボタンは「カチッ」とクリック感があり、オンオフの際には長押しする必要があります。誤って電源を切ってしまう心配はありません。
その下に備わっているのが音量調整バーで、手元で素早く調整できます。しっかりとノッチ感があって操作感は悪くないですが、1ノッチでWindows側の音量が”4”変わるため、細かな調整が難しいです。大雑把に回すと予想以上に音量が変わります。
マイクは跳ね上げるとミュートに、降ろした状態でのみ有効化されます。ちょうど切り替わる地点にクリック感があるため、装着中でもマイクON/OFFの状態が把握できます。
一通りの操作は手元で素早く行えるため、不足感はありません。しかし、もう少し音量を細かく調整できれば利便性が向上するのではないかと感じます。
接続・バッテリー
Cloud Stinger Core Wirelessはソフトウェア非対応で、付属のUSBレシーバーをPCやPlayStation 4に接続するだけで利用できます。使用中に通信が途切れることはなく、安定性には一切問題は無いと言えます。
最大17時間のバッテリー駆動時間を備えているため、バッテリーの持ちは気になりません。ただし、ハードな使用では2日に1回の充電が必須となるため、手に届く位置に充電ケーブルを置いておきたいところですが、付属の充電ケーブルがやや短いので注意。
結論とターゲット
「HyperX Cloud Stinger Core Wireless」について詳しく見てきました。約9,000円の安価なワイヤレスヘッドセットは、音質とマイク性能こそ価格相応ですが、軽々しい装着感で長時間の装着でもストレスが少なく、カジュアルな用途に適しています。
一方で、安価なワイヤレスデバイス特有の音の籠りを感じるほか、定位にも優れていないため、FPSなど競技性の高いゲームで勝つためにデバイスにこだわる方、音質を重視している方、本格的な環境を揃えたいと考えている方には不向きです。
予算的に低価格なエントリーモデルを検討していて、PCかPlayStation 4でゲームや音楽、動画視聴などの幅広い用途を1台でそれなりにこなしたいと考えている場合、有力な候補となるでしょう。
もしバーチャルサラウンド機能を求めている場合、価格は約1,000円上がりますが、同仕様で7.1chバーチャルサラウンドを搭載したモデル「HyperX Cloud Stinger Core Wireless +7.1」をチェックしてみては。
以上、HyperX(ハイパーエックス)のゲーミングヘッドセット「HyperX Cloud Stinger Core Wireless」のレビューでした。